不動産購入に役立つコラム

毎営業日更新の『お福分け』より、不動産購入関連のコラムを集めました

〖物件探し条件に優先順位のつけ方〗

比較的早く物件が見つかる方には共通する特徴。①あれもこれもと条件を広げ過ぎない。②探すエリアの土地価格相場観をつかむのが早い。③条件と相場を合わせる決断ができる。

もちろん、「条件を妥協するなら今は買わない」の判断もあり。それはそれで次の動きに繋がる。

 

「希望条件に優先順位をつける」にはご家族で住宅購入する目的の共通認識が大切。種々の住宅購入者アンケートには「家賃がもったいない」「いつかは家を購入したいと思っていた」「低金利だったから」が上位に。それが本当に1番?。

 

住宅購入は、家族の思い出が作られる場であり、お子さんには将来相続する実家ができることでもある。家族で方向性が定まらない場合、専門家に相談し上手に見出してもらうのも一手。不動産会社でも建設会社でも良いので、話の整理能力が長けてそうな担当者がいたら相談を。

 

 

〖土地情報を誰よりも早く手に入れる人がやっていること 〗

例えば、あなたは不動産会社の担当です。良い土地情報を、複数のお客さんのうち一番に連絡するのはどんな人。①相場的に有りそうな条件で探していて②住宅ローン事前審査が済んでいて③紹介した物件に対しての返事が早いお客さんでは?。

 

良い売地は足が早い。だから、早く情報入手し現地を見て、諸条件検討して申込するか見送るかを決めなければならない。担当者に「このお客さんはやっぱり本気だ!」と思われることが良い物件との出逢いには必要。

①条件が多くても良いので、相場に対してのすり合わせ(優先順位)をきちんと担当者と話し合っておく。

②資金的に「買える人」になっておく(ローン事前審査や仮審査を通しておく)。

③検討した結果その物件は見送るとしても、情報を知らせてくれた担当者には見送る理由と感謝を伝え、また紹介してくれるようお願いしておく。

情報は人が持ってきてくれます。担当者さんも人間です。一番に連絡くれるには?を意識することは結果的に良い物件と出会える可能性高くなる。

 

 

〖良い物件=良い○○〗

良い物件って?あなたがイメージする「住むための良い物件」は?陽当良好、南道路で整形地、駅徒歩5分、公立小中学校近く、買物便利で治安も良い。これらを満たしていたら、売主さんはこう考える「この物件ならほしい人がたくさんいて高く売れそうだな」と。それでは、陽当たりは良いけど、駅からはバスで30分ならどうだろう。これはマイナスポイントだから売値も低そうだと考えるのでは?

 

つまり、良い物件=良い価格。買主希望条件に対し、売値が安いのが良い物件。売主がマイナス点を過度に減額して、買主にはそのマイナス点はたいした事でない場合、買主にとっては良い価格になるはず。テレワークが増えた時、郊外や地方に住宅購入する人が増えた。通勤がないので職場までの手段が条件にならなかった、という例。

「価格のゆがみ」なんて表現することも。購入希望者としては、やみくもに指値(値引き)交渉をするのではなく、マイナス点含め買いたい物件の価格妥当性を吟味して売主に伝えることが大切。

 

 

〖駅まで徒歩6~7分!そんな曖昧あり?不動産広告表示〗

不動産の広告には「○○駅徒歩10分」のように表記。徒歩1分は80メートル。不動産公正取引協議会のルールでは、0~80メートルまでを1分。徒歩0分という表記は不動産広告ではない。この表示規約が2022年9月1日に改正に。最近「○○駅徒歩6~7分」のような表記を見るように。これは、多棟現場(区画)などで駅に一番近い物件は6分(400m超~480m)で一番遠い物件は480m超~560m)で7分という事。改正以前は一番近い物件の表記で問題なし。歩くスピードも人それぞれだよね、の意味ではないのでご注意を。

ちなみに、80メートル1分は直線距離でなく、実際に歩く道上をたどった距離。信号や踏切待ちは考慮しない。また坂道の上り下りの歩くスピードの変化も無視。

もちろん歩くスピードや距離の遠近の感じ方は、それこそ人それぞれなので物件購入を検討する時はご自身の足で「駅まで」と「駅から」を複数ルート歩いて確認したい。

 

 

〖新築と言っていい期間〗

不動産広告表記のルール(不動産公正競争規約)では、広告に新築と表記してよい基準が明確に定められている。新築と言って良いのは、「建築後1年未満であって、居住の⽤に供されたことがないもの」。一度でも入居された物件は、建築後1年以内であっても「中古戸建住宅」や「中古マンション」との表記に。

「購入して1年以内に売りに出すことなんてあるの?」ごもっともな疑問。実際に新築後1年以内の物件を仲介したことが。当社は購入者側の仲介業者という立場。売主様の売却理由は「離婚のため」。中古といっても数か月の入居期間のためほぼ新築です。売主さんが速やかに新たな人生のスタートをきりたいとのことで、購入時より価格を下げて販売。そのため購入者さんには「良い物件を紹介してくれて!」と感謝されたが、色々と考えさせられる取引。

 

 

〖土地探しで価格よりも先に確認したいこと〗

土地探しのお客様から「販売図面で一番に見るべきはどこ?」と聞かれる。価格・土地面積・駅距離・陽当たり・用途地域・学区域などなど確認項目数あれど、「まずは道路、そして備考欄を」と伝えている。

「土地探し」の目的は建物を建てること。気に入っても、建物が建てられないなら買わないので。建築可能か否かは道路が鍵の場合が多い。図面に小さく「建築不可」や「再建築不可(古屋付土地の場合)」と書いてあったら要注意。

「ただし建築基準法42条2項2号の許可で建築可」とある場合、可能性の確度とリスク(住宅ローンに与える影響など)を販売担当者から理解できるまで説明受けたい。良くわからない場合は危険な事と思ってあきらめることも必要。

ただ、悩ましいのは上記のような土地は販売価格が他と比べて安価なことが多い。「どうしても買いたい」ってなってしまったときは、いつか売る事になった時に売れるのか?の視点での検討もお忘れなく。

 

 

〖年代別住宅購入動機の調査〗

「なぜ、あなたは家を買いたいと思っているのですか?」住宅取得予定者の購入動機調査(住宅金融支援機構「住宅ローン利用予定者調査」2023年4月調査より)。

この調査の選択項目は「結婚、出産を機に家を持ちたい」「子供や家族のため、家を持ちたい」「老後の安心のため、家を持ちたい」「もっと質の良い住宅に住みたい」「もっと広い家に住みたい」など「その他」を含め19肢。「結婚~」「子供や家族~」は20歳代・30歳代で多く、「老後の~」は40,50,60歳代が購入動機として多くあげている。

20,30歳代は住宅を初めて購入のための選択、年代が上がるほど家族構成の変化や介護のためという理由が増えるのかも。

 

この調査は「住宅購入を考えている人」への調査、「子供や家族のため~」という選択肢は「それは当然!」という気も。「住宅購入は考えていない人」が増加しているとの調査結果もある。

 

 

〖「住宅購入」は保険見直しの好機〗

住宅ローン利用時に団体信用生命保険(団信)に加入した場合は、加入中の死亡保険を見直すタイミングです。団信とは、住宅ローン利用者が死亡または高度障害の状態になった場合に保険が適用され、住宅ローンの残高を支払う必要がなくなるものです。家族はそのまま住宅に住み続けることができます。団信の保険料は特約部分以外は金利に含まれていることがほとんどです。万一の場合は保険会社から金融機関にローン残債額が保険金として支払われます。一般的には保険金が加入者やご家族に支払われるものではありません。

 

その時点で加入している死亡保険が必要額である場合、団信加入後は保障を減額させて問題ない場合が多い。住宅購入後の必要保証額を計算し、必要以上の保障は見直してもよいのかも。必要保証額の計算はざっくり、子どもが独立するまでの生活費・それ以降の配偶者の生活費・教育費などと、遺族の収入・公的遺族年金・勤務先からの死亡退職金・預貯金の差額。

 

 

〖土地+注文建築 見切り発車は失敗のもと〗

土地購入と建物の両方に住宅ローンを利用する資金計画は細心の注意が必要。注文住宅は仕様決め完了前に土地購入の決断をしなければならない事も。他の土地探しの方も購入を検討している土地の場合は早いもの勝ちに。

建築費の高騰もあり、建築中に資材などが値上がりしてしまうこともある。条件に合う土地はなかなか見つからないので、建築の話に進めない焦りも手伝って想定土地代金を越えていても建物で調整するからと考え購入に踏み切る方も。

資金計画の内訳は「自己資金+住宅ローン」がほとんど。土地購入後に建物の細部を詰めていったら思いのほか見積金額が増えてしまったという事は良くあるが、この場合は自己資金割合などにもよりるが、住宅ローン増額ができないことも。

 

せっかく楽しみにしていたのに、予算の都合により妥協した建物になってしまうのは悲しい。土地探しと建物部分も含めたトータルの資金計画は不動産・建物の双方の知識と経験がある会社・担当者に依頼したい。

 

 

〖土地購入時の諸費用計上で気をつけたいこと〗

土地購入時の資金は土地代金+諸費用。住宅建築時も建物本体工事+付帯工事+外構工事費のほかに諸費用が必要。土地建物の依頼を同一ならトータル資金計画書、土地は不動産会社を通して、建物はハウスメーカーなどでと別々の場合は諸費用項目に抜けがないか確認を。

例えば、住宅ローンの費用。不動産会社はハウスメーカーで見てるだろう、ハウスメーカーは不動産会社で、ってなると保証料や抵当権設定費用、事務手数料、印紙代などが抜けてしまってることも。また土地部分のみや建物部分のみの費用計上になっていないかもチェックを。ローン仮審査時に発覚するとは思うが・・。不明点は面倒がらずにとにかく質問することが大切。

 

不動産会社もハウスメーカーもあなたを困らせようとしているわけではなく、ただ単に担当者が良く知らないだけのケースも多い。でも実はそんなときほど後でトラブルになったり。悪気がない嘘や勘違いは割とありますが、こちらも疑ってないので見抜くのは結構大変だから。

 

 

〖ハザードマップ図示なければ安心?〗

お住まいの地域のハザードマップ(水害関連)内容を知っているだろうか。ハザードマップは令和2(2020)年8月28日から不動産取引時の重要事項説明の対象項目に。具体的には、水防法の規定に基づき作成された水害ハザードマップにおける対象物件の所在地についての説明が、宅建業者に義務付けられている。不動産紹介時にはハザード情報もお伝えするが、ご自身でも内水と洪水に関しての情報、特に浸水歴の有無は重要なのでチェック必須。対象地に浸水歴がある場合でも何らか対策済の場合も。一方で、ハザードマップでは対象地に図示されていないから安全というわけでもない。

 

購入された土地に住むのはあなた自身。気になった場合には不動産会社からの情報だけでなく、自身でも区役所などで確認する慎重さが必要。水害以外に「土砂災害」「震度被害」「火山」などのハザードマップが作成されている場合も、地域の特徴を理解するうえでも関心を持つようにしたい。

 

 

〖売地見学、何をどう見る?〗

建築のコンサル依頼の方から「土地を見に行くのでチェックするポイントを教えて」と。個別的な要素や周辺環境以外で見るべきは、次のようなところ。「前面道路の幅員」「接道間口」「道路との高低差」「地形」「方位」「電信柱位置と電線位置」「隣地植栽の状況」「隣家の窓位置」。

 

これらは住宅建築の際に間取りプランや追加工事の発生などの予測に役立つ。目的は土地購入ではなく理想の住宅を建築すること。道路が狭い、道路から高低差あって重機が入らないなどで運搬費等が追加でかかることも。道路や隣地との高低差がある敷地は現在の擁壁(ようへき)を造り直さなければ建築確認が受けられない場合もある。これらは周辺に比べて安価な土地を見たとき、何が原因なのかを探るためにも必要。

建築時に懸念される土地の状況をご理解し、建設会社や建築家の方に伝えることで、あなたの真剣さに応えてくれる解決策が提案されることも。

 

 

〖住宅購入の失敗パターン(資金面)〗

・家賃と比較した住宅ローン返済額で購入する。・設定予算オーバー物件を根拠なく何とかなると思い購入する。・ライフプランを考慮せず購入する。

住宅購入にはメリットもデメリットも。でもそれは、あなたにとってどうかで、誰にでも共通な事ではない。だから、持家か賃貸か得なのはどっち?なんていうのは、条件が自分のケースに近いなら参考にするくらいで。

 

不動産チラシで見かける「今の家賃と比べてください」というのがあるが、これは前提条件が疑問。賃貸は家賃+2年毎の更新料・火災保険位だが、持家は住宅ローン+固定資産税等の保有税+5年毎の火災・地震保険+建物維持のためのリフォーム代と、住居費の項目がそもそも違う。だから家賃と比べるのではなく、住居費での比較が必要。少しの手間が危機管理につながる。不動産取引に詳しいファイナンシャルプランナーなどへの相談も検討を。

 

 

〖戸建住宅にも修繕積立金の発想を〗

修繕積立金は、主にマンションの共用部分について行う修繕工事に備えての積立金。専有部分で各区分所有者が行うリフォーム費用は含まれない。国交省「マンション修繕積立金に関するガイドライン 2021年9月改定」では、20階建未満・延建築面積5,000㎡未満での専有面積(1㎡当たり)平均額は毎月335円。専有面積70㎡のマンションだとすると毎月23,450円、年間で281,400円。

 

戸建住宅の販売現場で不動産会社の営業の方の「戸建は修繕積立金が不要なので毎月の費用負担が抑えられます」というトークを何度か聞いたことが。〈不要〉ではない。戸建住宅購入・建築時には購入時費用だけでなく、建物価値を維持する観点から自主的な修繕積立必要。10年後に外壁・屋根・一部内装工事が200万円だとすると、毎月16,700円を積み立てれば用意できる。年利3%の複利運用で積み立てれば毎月14,500円(税金等無考慮)。

 

 

〖住宅購入時の諸費用〗

住宅購入時に必要な諸費用の支払いは、必ずしも同時期ではない。例えば、一度だけかかる不動産取得税は購入後3~6か月後に納税通知が届くし、火災保険・地震保険なども1年更新型であれば毎年の支払いが必要になる。これらの諸費用の見積もりや支払時期は不動産会社の担当者が教えてくれるが、住宅ローン利用の仕方などで、個別にそれぞれの費用の額も変動する。

 

目安としては、新築一戸建(建売)で物件価格の5~8%程度、既存戸建住宅で物件価格の6~10%程度。

内訳は、固定資産税等清算金、登録免許税、司法書士手数料、火災保険・地震保険料、印紙税、ローン手数料、ローン保証料、抵当権設定費用、仲介手数料、適合証明手数料など。また、購入時の諸費用とは別に、毎年かかる保有費用についても把握しておくことも大切。購入後にかかる費用は、固定資産税・都市計画税、火災・地震保険料、建物維持修繕費など。できれば購入後のファイナンシャルプランニングを行い、キャッシュフロー表の作成もご検討を。