本日の『マメ知識&プチ情報』

不動産・相続などFP関連・建築などのミニコラムです。あなたの生活に役立つことを願って!

不動産・FPそして建築、この仕事は知らないことだらけで、どこまでも深くて楽しいのです。

 

不動産業界+FP業界30年以上の筆者が「あなたにも知って欲しい!」と思う情報をご紹介します。

 

毎回1~2分で読み切れる文字数です。そのため言葉足らずの場合もありますがご了承ください。

 

身体的にも精神的にも高断熱の家が良い理由       2024年9月15日(日)

断熱性能が高い家は、身体的にも精神的にも良い影響をあたえてくれます。

 

身体的には

① 高断熱性能により室内温度が安定し、急激な寒暖差がなくなり、風邪やヒートショックのリスクが低減します。

② 断熱性能が高いと湿度の管理も容易になり、結露の防止にもつながることから、カビやダニの発生が抑えられ、アレルギーや呼吸器系の問題が軽減されます。

③ 冷暖房の必要が減り、エネルギー効率が向上し、温度変化のストレスが減少し、快適な居住空間になります。

 

精神的には

① 室内温度・湿度の安定は快適な住環境をつくり出し、ストレスを軽減させます。

② エネルギー効率の向上は、光熱費の削減に繋がります。経済的な負担が軽くなることで、経済的ストレスが減少します。

 寒暖差による健康リスクが低減することで、家庭内の安全性が向上し、精神的な安心感につながります。

 

家の断熱性能を高くするとコストアップするのが一般的ですが、精神的な負担軽減の観点も含めて、総合的な費用対効果を判断したいものです。

 

 

 

社会保障制度の4本柱               2024年9月14日(土)

日本の社会保障制度は、憲法25条の生存権の保障を具体化するものとして充実が図られ、主に社会保険料で運営される「社会保険」を社会保障の中心として、「社会福祉」や「公的扶助」、「公衆衛生」がそれを補足する形で発展してきました(厚生労働省ホームページ「社会保障教育のテキスト」)。

 

社会保険は、医療・年金・介護・労働の各保険があり「防貧機能」を果たしていて、社会保障給付費の88%を占めています。

 

社会福祉は、障害者・母子家庭など社会生活を送るうえでハンディキャップを負う人々に対して公的支援を行う制度です。

 

公的扶助は、生活に困窮する人々に対し、生活・教育・住宅・医療・介護・出産・生業・葬祭の各扶助によって最低限度の生活を保障し、自立を助ける「救貧機能」を果たします。

 

公衆衛生は、病気の予防や積極的な健康づくりを公的に行う仕組みで、感染症予防・予防接種などがあります。

 

近年、高齢化による社会保障費の増加や少子化による現役世代の減少で、社会保障制度の持続可能性の確保が課題になっています。

日照阻害の受任限度           2024年9月13日(金)

マンションなどの中高層建物の建築が計画されると、日照権を理由に建築反対運動が起こることは珍しくありません。裁判例では、日影規制などの公法的規則違反がない場合に、建物一部撤去や建築工事差止めの請求が認められた事案は見受けられないそうです。

 

日照権について、裁判での「日照阻害の受忍限度」は、①公法的規則違反の有無、②受忍限度を超えるとすべき特段の理由の有無、を判断するようです。

 

そうは言っても、何十年も更地だった隣地にいきなり中高層建物が建築されると、たとえ用途地域での容積率や斜線制限で問題がなくても、やっぱり心情的にはつらいですね。

お住まいの周辺の用途地域を調べて、近所に高い建物が建つ可能性があるかどうかを確認してみることも大事です。

 

その結果、地域的に高い建物が周囲に建っていてもおかしくないのに、現段階では日当たり良好だとしたら、その状態のほうが「たまたま」ともいえるので、現状に感謝して生活することもできますね。

仲介業務は不動産だけではありません         2024年9月12日(木)

当社のお客様宅で70代の方々にミニ相続セミナー後、ある方が「銀行や保険会社に相談しても、不動産会社や建設業者に相談しても、みんな自分の会社の利益になるようなことしか提案してくれない。でも、それは仕方ないのもわかってるんです。商売だから自社が儲かることしないといけないですものね。だけど今日は、総合的に見てどうしたら良いか教えてくれる方に出会えて良かったです。」と言って下さいました。

 

知識・経験・人間性も素晴らしい専門家を、お客様にご紹介する機会が多くあります。先生方にはいつも丁寧に対応頂き感謝しています。これも仲介といえば仲介です。

 

仲介は不動産に限りません。的確に専門家に協力してもらうには、お客様の背景や課題・問題点を的確に伝えることが必要です。上手に連携できればお客様の満足度も高くなると信じています。この部分、大事なことなのにあまり触れられません。多分、経験年数とか不動産以外の周辺知識がないと難しいからだと思います。不動産以外の仲介も、これまで以上に積極的に行っていきます。

【相続】相続税の対象にならない遺産は?           2024年9月9日(月)

相続税の対象にならないもの(非課税財産)は、次のようなものです(国税庁ホームページ:タックスアンサーNO.4108より抜粋)。

 

1 墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物。投資の対象や商品としての所有物以外。

2 宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが相続や遺贈によって取得した財産。

3 地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人またはその人を扶養する人が取得する心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利。

4 相続で取得したとみなされる生命保険金等のうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分。

5 相続で取得したとみなされる退職手当金等のうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分。

6 個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で一定の要件を満たすもの。

7 相続や遺贈によって取得した財産で、相続税の申告期限までに国または地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附したもの。

今すぐできます!家計支出の見直し3選            2024年9月8日(日)

支出の見直しというと、何か苦しみが伴うような感覚になる方が一定数いらっしゃいます。家計の支出も、ある種の習慣ですので、現状を変えることに抵抗があるのかもしれません。

 

そこで、ファイナンシャルプランナーのアドバイスとしてはお馴染みの、家計改善3つのポイントです。

 

①何に使ったか覚えていない支出(使途不明金)をなくす

②物を購入するにしても、コト消費にしても、それが本当に必要な支出なのかをよく考え、衝動買いをなくし、納得したうえでお金を使う

③毎月(や毎年)支払っている固定費を減らして節約できないか検討する

 

特に効果が高いのは、ちょっと面倒だけど一度やってしまうと効果が続く、③の固定費の見直しです。

具体的には、携帯電話料金、家賃、新聞購読費、有料チャンネル視聴料、生命保険、自動車保有、継続していることも忘れているサブスク、3ヶ月に1度しか行かないスポーツジムなどです。キャッシュカードや銀行口座の取引明細やレシートなどを用意して、ぜひ取り組んでみてください。改善の余地がきっとあるはず!

相続税かかる可能性の簡易チェック          2024年9月7日(土)

相続対策というと、納税額をいかに少なくするかという節税対策を指すのが一般的です。でも、まずは相続税がかかるのか、かからないのかの確認をしないと始まりません。相続財産(遺産)として押さえるべきものは以下のとおりです。

 

①現金・預貯金②株式・債権・投資信託(時価)③土地(路線価☓敷地面積)④建物(固定資産税評価額)⑤ゴルフ会員権(通常の取引価格の70%:取引相場のある場合)⑥その他(美術品・自動車など)。

 

遺産額(①~⑥の合計額)+(死亡保険金と死亡退職金から各500万円✕法定相続人数を差し引いた額)-葬儀費用と債務-基礎控除額の金額の合計がプラスならば、相続税が課税される可能性があります。

 

上記試算で相続税がかかりそうだな!の結果でしたら専門家に早めにご相談ください。

財産評価で複雑なのは、やはり不動産の評価です。様々な控除がありますが、控除を受けるための条件も慣れていないとわかりにくいです。不動産の簡易評価は弊社でもお手伝いいたします。

 

各種保険の見直しタイミング         2024年9月6日(金)

「もう、必要ないので、そろそろ保険を解約したほうがいいですよ」とは、保険会社はなかなか言ってはくれません。違う保険商品を販売したい場合、買い替え的提案はあるかもしれませんけれど。

 

保険(ここでは保険会社の生命保険、医療保険など)を見直すタイミングは、人生の中で何度かあります。代表的なのは、子育てが終わった、住宅ローンが終わった、リタイアして年金生活になった時などです。

 

貯蓄で賄えれば、医療保険やがん保険は不要になります。貯蓄で賄う範囲は、健康保険が使えない治療の医療費、入院時の差額ベッド代、食事の自己負担分などが公的な健康保険ではカバーできない部分です。

 

個別の事情により平均的な数値が参考にならない場合が多いものです。そこで、まずは加入している保険の一覧表を作成してみてはいかがでしょうか?内容は、誰が、どの保険会社の、なんという商品に加入していて、保険料の支払い状況と保険期間はどうなっているか、どんな保障内容か?です。あわせて、高額療養費の自己負担上限額も把握しておくことをおすすめします。

社会保険適用のメリット            2024年9月5日(木)

社会保険(健康保険、厚生年金保険)の適用範囲が、2024年10月から更に拡大されます。これまでは、従業員101人以上、労働時間が週に20時間以上、賃金が月額8.8万円、学生でないことなどでした。この従業員の部分が51人以上の事業所のパート・アルバイトも加入できるようになります。

 

メリットは、老後資金としての受取年金額を増やせること。ほかにも、病気やケガで仕事を休んだ時の傷病保険や、出産時前後に休んだ場合の出産手当金の受給ができるなどがあります。

 

しかし、社会保険料の負担が増えることや、配偶者の扶養からはずれてしまい税金の負担増もあるので、社会保険加入をためらう人も多いようです。行動経済学の、損失回避(利得の喜びより損失の悲しみを大きく感じる)や時間割引(将来より現在の利益を優先する)が作用する場面なのでしょう。

該当する方は、この機会にファイナンシャルプランを見直し、しっかり数値で把握して、イメージだけでない検討をおすすめいたします。

高齢者の孤独死増加は日本人の気質が影響!?      2024年9月2日(月)

2024年1〜3月に、一人暮らしの自宅で亡くなった高齢者(65歳以上)は約1万7千人。年間ベース推計で6万8千人です。「孤独死・孤立死」の実態把握のための警察庁集計です。

 

日本では、都市化や核家族化が進む一方で、地域社会やコミュニティのつながりが薄れている傾向があります。このため、社会的な孤立が問題となっており、高齢者が社会的なサポートを受けにくい状況にあります。「親しい友人がいる」との回答が5年前の調査から激減していて、シャイな国民性のためか、新たな友人ができず、より孤独になることもあるようです。

 

内閣府の高齢社会白書(2023年版)では、心の支えとして最も多く挙げられたのは、家族(配偶者、子供、孫)で、全体の約7割を占めています。

65歳以上の単独世帯は2020年は738万世帯でしたが、2050年には1084万世帯になるそうです(国立社会保障・人口問題研究所)。生涯婚姻をしない人も増えており、高齢になり家族もない人が増えると、更に高齢者の孤独死・孤立死の増加が懸念されています。

購入地から大量の建築廃材!売主の責任は?      2024年9月1日(日)

土地探しの経験がある方なら「売地(古家付き)」という文言を見たことがあるかもしれません。買主は古屋を解体後に自宅を建築するのが一般的です。売主が古屋を解体し、即建築工事に着手できる状態で引き渡す事もあります。

 

土地の所有権が買主に移り、新築工事が始まりました。すると、地中から解体した家の廃材が大量に出てきて、撤去費用が数十万円かかってしまうことに。土地の売買契約には、「売主は土地の契約不適合責任を負わない」という特約があります。このケースでの売主の責任はどうなるのでしょう。

 

解体工事業者が建築廃材を埋めてしまったとしても、売主は買主から求められた廃材の撤去費用と建築工事の追加費用相当の損害賠償をする必要があると考えられます。契約上の特約「不適合責任を追わない」は、売主に責任がある場合は債務不履行責任があるためです。売主は生じた損害について賠償する必要があります。もちろん、損害金相当額を解体業者に解体工事請負契約上の責任に基づき請求することができると考えられます。

生命保険は「公的保険で足りない部分を補う」が前提です  2024年8月31日(土)

「生命保険はどう考えればいいの?」と聞かれることがあります。住宅ローンの団体信用生命保険もありますが、今日は一般的な生命保険のことです。

 

FP相談の方の中には「生命保険に入り過ぎ」の方がしばしばいらっしゃいます。ご自身が加入している公的保険の補償内容を確認し、それでは不足すると思われる部分を補完するのが民間保険である生命保険の役割です。家に使わない部屋があるのと同じで、必要以上の保険は費用も管理も必要で本来不要なものです。

 

でも「昔、生命保険会社の知り合いから言われ、付き合いでこんなに入っちゃって」みたいな方が多いです。不要部分はすぐに解約してください、と言いたいところですが、昔の保険は利率の良い(いわゆるお宝保険)もあって一概には結論を出しにくい。過剰に保険に入っていたけど、結果的に(保険ではないけど)得をした!なんてこともあるので、「生命保険に入りすぎてるような気がする!」という方は、解約前にFPなどに相談してください。

 

相続人がいないとき、遺産はどうなる?            2024年8月30日(金)

相続人がいない(相続人不存在)の被相続人が増加すると予測されています。原因は少子化と生涯独身の人の割合の増加です。いわゆる一人っ子で生涯独身の場合、配偶者も子供も兄弟姉妹もなく、父母もすでに他界していると、相続人不存在状態になります。このような時、遺産はどうなるのでしょうか。詳細な条件がありますが以下が概略となります。

 

ポイントとなるのは、遺言と特別縁故者です。遺言で財産を贈与する(遺贈)すると、遺贈された人は相続人となります(ただし、包括遺贈)。また、特別に縁故のあった人(特別縁故者)から家庭裁判所に財産分与を請求して認められると、特別縁故者は相続財産の一部または全部を受け取ることができます。特別縁故者として財産分与を請求できる人は、内縁の妻・夫が代表的と言われています。

 

遺言もなく、特別縁故者もいない時は、相続財産清算人が被相続人の債権者等に対し債務支払った残りの財産が、国庫に帰属する事になります。

 

 

地震保険加入件数が増加       2024年8月29日(木)

地震保険の保有契約件数(当月月末において有効な地震保険契約の件数、損害保険料率算出機構)を20年前と比較すると、全国で2.50倍(2004年5月末858万件万件→2024年5月末2,154万件)、東京都でも1.95倍に増加。また、地震保険付帯率(火災保険にあわせての地震保険契約の割合)は全国で61.4%、東京61.9%です。以前から大地震が起きると地震保険の契約件数が増えていましたが、近年は火災保険に地震保険付帯は当然になりつつあるようです。

 

建物を購入・新築時には火災・地震保険の説明をしますが、知らない方が多い事のひとつが「地震が原因の火災では、火災保険の対象にならない」こと。また意味合いも異なり、火災保険は実際の損害を補償するものですが、地震保険は被災者の生活の安定に寄与することが目的です。

 

近年、地震災害の増加で、地震保険は保険料等の改定が頻繁に行われています。建物を所有する場合には火災保険とあわせて地震保険の内容も良く理解し判断することが必要です。

 

 

戸建は管理費・修繕積立金が不要って言うけれど        2024年8月26日(月)

マンションと戸建を比較する際、必ず登場する管理費・修繕積立金。戸建はこれが不要だから良いと言われることも。

 

マンションは、共用部分の日常清掃・植栽メンテナンスは管理費に含まれています。修繕の費用も必要なときに各戸から徴収するのは面倒なので毎月、積立金という仕組みにしています。戸建は玄関前の清掃も、庭の植栽の手入れも自分でやりますので、労力に置き換わるだけですし、業者に頼めば費用がかかります。建物だけでなくカースペースや外構の修繕費用も全て自分持ちですので、修繕費用がかからない訳ではないです。その上、火災保険・地震保険はもちろんのこと、マンションなら管理組合で入る保険も自分持ちになります。

 

当然ですが、だから戸建は良くないわけではなく、一面(この場合、管理費等が必要か不要か)だけ見て判断すると大事なことを見落とす危険性もあるというお話です。住宅購入の際、マンションか戸建かを迷われたら、マンションも戸建も扱う不動産会社数社に相談し、違う角度からの意見も聞くと思わぬ発見もあると思います。

【相続相談】宅建免許業者×FPだからできること        2024年8月25日(日)

不動産実務(売買、仲介など)を行うためには、知事または国土交通大臣からの宅建業免許が必要です。では、宅建免許業者の宅建士×1級FPは何ができるのでしょう。不動産会社と違う点を、不動産をお持ちの70代の方から、相続のご相談を頂いた際にお答えした内容をご紹介します。

 

1)相続全般

・財産目録の作成:資産と負債のリストアップで全体像の把握・相続人の確認・相続税納税が必要か否かと納税資金の確認(提携税理士と共に)・相続税対策の要不要の判断と提案・遺言書作成支援

2)不動産について

・不動産の評価と分析・売却、分割、有効活用などのアドバイス

3)不動産取引のサポート

・売却、購入、賃貸管理などの支援

4)法的事項についてのアドバイス

・法的手続きや税務申告の支援

5)将来の生活設計支援

・介護費用などの準備・ライフプランの見直し

 

「不動産実務に精通してしているFP(1級やCFP)は少ない」とFPの知り合いからも言われます。もちろん、必要に応じて税理士、弁護士など専門家と連携してお手伝いいたします。

 

賃貸住宅の「東京ルール」            2024年8月24日(土)

東京に居住世帯の4割近くにあたる約270万世帯が、民間賃貸住宅に暮らしています。東京都に寄せられた、賃貸借契約の相談内容(令和2年度)では、退去時の敷金精算についての相談が37%で最多です。

 

東京都は平成16年に「賃貸住宅紛争防止条例」を施行し、宅建業者が原状回復などに関する原則の説明を契約前に借主に説明することを義務付けています。この条例は一般的に「東京ルール」と呼ばれています。対象は東京都内の居住用賃貸住宅です。

 

退去時の住宅の損耗等の復旧については、賃貸住宅トラブル防止ガイドラインが作成されています。具体的な内容は次のようなものです(一部抜粋)。

1)経年変化、通常使用による住宅損耗等の復旧は、賃貸人(貸主)の費用負担で行う。

2)賃借人(借主)の故意過失・通常の使用方法に反する使用など賃借人の責めに帰すべき事由による住宅の損傷は、賃借人が復旧費用を負担する。

 

また、例外としての特約を定めることができ、例としては、退去の際の室内クリーニング費用を賃借人は賃貸人に支払うなどがあります。

 

中古戸建の成約件数が増加        2024年8月23日(金)

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は毎月、不動産売買取引市況データを発表しています。2024年8月発表(2024年7月分)によると、中古戸建の成約件数が今年6月に続き、前年比で大幅増加しました。

 

7月の中古戸建の成約件数は前年同月比で10.8%の増加(東京都全域)。首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)で見ても、中古戸建成約は前年比で多摩地区14.1%、埼玉県13.0%、神奈川県(横浜川崎以外)13.3%、東京区部8.4%、千葉県3.7%と突然売れだしたようにも見えます。

 

原因の1つは、中古マンション購入を検討するも、価格高騰で中古戸建購入に方向転換の動きです。実際、中古マンションの成約状況を見てみますと、前年対比で成約は-0.5%、成約価格の平均は6,414万円でした(東京都)。中古戸建ての平均成約価格は5,325万円でしたので次善の策になった可能性。ただし、中古戸建ての新規登録価格も上昇がみられます。一概に今、中古戸建てが高く売れる、という訳ではありませんのでご注意ください。

火災保険更新時のチェック項目            2024年8月22日(木)

住宅火災保険の最長契約期間は2015年までは36年でした。住宅購入時に保険期間36年の契約にすれば、途中で建替えたり、売却したりもあるので、更新不要な場合も多くありました。

 

2022年10月からは最長保険期間が5年となり、火災保険は更新するものに変わりました。問題は自然災害の多発などを受けて、保険料が上昇し続けていること。場合によっては従前の1年間当たりの保険料と比べ、更新後の保険料が3倍になることも。だからといって、保険料を下げて補償が不十分になっては意味がありません。

 

火災保険更新時には次のような項目のチェックをしてみてください。

 

補償内容の確認: 建物や家財の補償範囲や補償額の過不足の確認

免責金額の確認: 免責金額が適切かを確認

特約の確認: 特約(地震保険、水災補償、盗難補償など)の必要性の再確認

保険料の比較: 他の保険会社やプランと比較

契約期間の確認: 更新の頻度や長期契約割引の有無を確認

災害リスクの確認: 地域の災害リスクが変化していないか確認し、必要に応じて補償内容を調整

 

家も終活              2024年8月19日(月)

終活という言葉は、2009年ごろに週刊誌が使い始めた造語だそうです。なので学術的な定義はありませんが、財産や相続のことで、自分の死後に家族などに迷惑がかからないようにするために準備する事の意味で使われています。

 

具体的には「エンディングノート」の作成などをし、残された人が迷ったり困ったりしないようにすることです。近年は、人生の後半にやりたい事や行きたい事などの目標を立てて、充実した生き方をする指標作りの意味合いを持たせることが増えてきました。

 

2024年6月には国土交通省他から「住まいのエンディングノート」001753549.pdf (mlit.go.jp)が発行されました。

 

これは、放置空き家の発生を防ぐため、住まいを相続した方へ住まいや土地などの情報を伝えていくことに加え、元気なうちから住まいの将来をご家族で話し合うきっかけとすることを狙いとしているもの(国土交通省)です。書き方や困った時の相談先などの情報も載っていますので、活用してみてはいかがでしょうか。

住宅新築時 10の性能評価項目の活用を            2024年8月18日(日)

「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」(平成12(2000)年4月1日に施行)に基づく「住宅性能表示制度」は、良質な住宅を安心して取得できるためにつくられました。

 

住宅性能評価を受けると、住宅ローンの金利引き下げ(フラット35S)や耐震等級に応じた地震保険料の割引が適用になる場合もあり、メリットとされています。

 

住宅性能表示で10の分野に区分された評価項目は以下のとおりです。建築時のチェック項目としても参考になります。

①構造の安定…耐震・耐風・耐積雪等級など

②火災時の安全…感知警報装置設置等級、避難安全対策、耐火等級など

③劣化の軽減…劣化対策等級

④維持管理・更新への配慮…維持管理対策等級、管理等級

⑤温熱環境・エネルギー消費量…断熱等性能等級、一次エネルギー消費量等級

⑥空気環境…ホルムアルデヒド対策、換気対策、室内空気中の化学物質の濃度等

⑦光・視環境…単純開口率、方位別開口比

⑧音環境…重・軽量床衝撃音対策、透過損失等級

⑨高齢者配慮…高齢者等配慮対策等級

⑩防犯…開口部の侵入防止対策

 

LCCM住宅              2024年8月11日(日)

政府が目標にしている2050年のカーボンニュートラル。省co₂のための住宅分野対策が、2030年度以降の新築住宅はZEH基準での省エネ性能確保です。

 

ZEH(ゼッチ)とはネット・ゼロ・エネルギー・ハウス。外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅です。

 

ZEHをさらに進め、運用時(建物利用時)だけでなく建設時と廃棄時もできるだけ省CO₂に取り組み、さらに太陽光発電などを利用した再生可能エネルギーの創出により、住宅建設時のCO₂排出量も含めライフサイクルを通じてのCO₂の収支をマイナスにする住宅がLCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅です。

 

LCCM住宅は「サステナブル建築物等先導事業(省CO₂先導型)」による一戸あたり最大140万円の補助金が支給されます。利用には条件等ご確認ください。

 

「住宅セーフティネット制度」         2024年8月10日(土)

当社お客様の6割以上が60代以上の方です。不動産売買取引完了後やコンサルティング業務期間満了後も大半の方とお付き合いさせて頂いてます。最近、高齢者は家を借りにくいと聞くけどどうなのでしょう?という質問が増えてきました。

 

住宅セーフティネット制度とは、高齢者に限らず、住宅確保要配慮者(高齢者のほかに低額所得者、被災者、障害者など)の入居を拒まない賃貸住宅の供給を促進する制度です(住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律)。民間の空き家・空き室の活用を促し空き家を減らし、賃貸住宅が借りにくいととされている住宅確保要配慮者を減らす、一石二鳥の効果が期待されています。

 

大家さんが賃貸物件を「セーフティネット住宅情報提供システム」に登録する事で、国と地方自治体による改修費補助、家賃低廉化補助などの経済的支援が用意されています。東京都のセーフティネット住宅は377棟1623戸(8月初旬時点)ありました。一般の賃貸物件検索サイトと同じように、家賃の妥当性等の判断は慎重に行ってください。

隣がずっと空き家、購入できる?               2024年8月9日(金)

東京都には約820万戸の住宅があり、2.6%の約21万戸が空き家です(2023年10月1日現在)。これは賃貸・売却用の空き家と別荘などの二次的住宅を除いた、使用目的がないとされる戸数です。隣家がずっと空き家、という方の中には、隣の空き家買いたけど所有者がわからない、という事もあります。この所有者不明不動産を解消する趣旨も含まれる民法の改正が2023年4月に施行されました。

 

それが「所有者不明土地・建物管理命令制度」です。裁判所に所有者不明不動産の管理人選任を申立て、対象不動産を裁判所の許可後に購入できる可能性があります。それまでは申立人の条件外だった隣地所有者も利害関係人として申請できるようになりました。

不在者が実際に不在であることを証明する必要やその他条件があり、戸籍の調査などの手間と費用がかかります(予納金が必要で数万円~百万円になることも)。

 

区分所有建物には利用不可で、当該制度を利用しても必ず対象不動産を取得できるとは限りません。利用検討の際は弁護士等の専門家に相談を要します。

住宅ローン控除と住宅性能の関係           2024年8月8日(木)

住宅ローン控除(新築住宅)は、年末時点ローン借入残高の0.7%を最長13年にわたり控除を受けられる制度です。建物の性能により適用になる借入限度額が異なります。2023年の入居で最大3,000万円が控除対象額だった「省エネ基準に適合しないその他の住宅」が、2024年の入居では控除が受けられなくなりました。

 

2024年入居の住宅性能別の控除対象借入額は「認定長期優良住宅・認定低炭素住宅」が最大5,000万円、「ZEH水準省エネ住宅」が最大4,500万円、「省エネ基準適合住宅」が最大4,000万円です。入居時期が2025年になると、「認定長期優良住宅・認定低炭素住宅」が最大4,500万円、「ZEH水準省エネ住宅」が最大3,500万円、「省エネ基準適合住宅」が最大3,000万円と控除対象額の減少が予定されています。

 

住宅性能の違いは建築費にも大きく影響します。建築費がどう違うのか、資金計画的にはローン控除額がどうなるのかなどを、ハウスメーカーや工務店からの説明を受けて判断することが重要です。

少額訴訟制度の概要                 2024年8月5日(月)

少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限り利用できる、特別な訴訟手続きです。不動産関連では、賃貸借契約で敷金の返還で争いが起きている場合などに利用されることがあります。

 

概要は以下のとおりです。

特徴…通常訴訟より簡易・迅速な審理・裁判手続きで、簡易裁判所が管轄。

対象…敷金返金、貸金請求、売買代金請求、損害賠償請求などの金銭支払請求で訴訟の目的の価額が60万円以下。

回数制限…同一簡易裁判所において同一年に10回まで。

手続き…審理・審判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にする。反訴の提起はできない。

一期日審理の原則…最初の口頭弁論期日(1回の期日)にて審理完了。そのため証拠は即時に取り調べ可能なものに限られる。

通常の手続への移行…被告は訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述ができる。

判決の言い渡し…口頭弁論の終結後直ちに言い渡される。判決に対し上級裁判所(地方裁判所)に控訴できない。

 

かかる費用は、裁判所へ納める申立て手数料と郵券(切手)代の合計で4,000円~1万円程です。

東京都の住宅純増数              2024年8月4日(日)

国土交通省が発表する住宅着工統計は、重要な指標でご存じの方も多いのではないでしょうか。着工件数はピーク時から半減、とはいっても全国で年間で80万戸程あります。人口減少なのに、新築をどんどん建てるから空き家も増えてしまう、そんなイメージではないでしょうか?

 

住宅着工件数ほど知られていないかもしれませんが、「建築物滅失統計調査(国土交通省)」というものもあります。着工数と滅失建物数とで住宅の純増数が推測できます。

 

東京都の滅失(除却・災害)建築物のデータによると、令和4年(1月~12月)の居住用建物(木造+非木造)の除却戸数は12,177戸です。同時期の東京都の居住用建物の着工件数は40,674戸でした。着工戸数から除却戸数を引くと、28,497戸の住宅が令和4年に東京都で増加したということになります。ちなみに東京都の令和4年の増加世帯数は、12,915世帯です(東京都統計)。

※着工戸数には居住産業併用建物も含んでいます。

かかりつけ不動産会社               2024年8月3日(土)

医療費や医療保険の解説本に「かかりつけ医・かかりつけ歯科医を持ちましょう!」とありました。必要な時にかかりつけ医に紹介状をもらい、大病院へ行くことで医療費の適正化が図れますよ、という主旨です。

 

これは「不動産も同じなのではないか?」と思います。大病院を実務専門家の司法書士や土地家屋調査士、税理士や弁護士とすると、誰に観てもらうのが良いかの判断をする、知識・経験が豊富な不動産会社(と担当者)がかかりつけ不動産会社です。不動産取引の周辺知識(建築や相続、FPなど)にも精通している不動産コンサルタントだと、なお良いですね。

 

不動産仲介ができるという事は、人と人との仲介もできるという事です(目指してます!)。身体の調子と同じように、不動産も状況を理解してくれている「かかりつけ」は、問題の対処は当然、そもそも問題が起きないようにすることも。これからは、知識・情報を組み合わせて活かせる人や会社が求められるそうです。ぜひ、かかりつけ不動産会社を持つことをご検討ください。もちろん当社でも承ります。

投資不動産への新規貸出額が増加            2024年8月2日(金)

一般的に投資不動産とは、所有地に賃貸アパート・マンションを建設したり、既存マンションやアパートを購入し運営することを指します。これらの事業を行う個人に対して銀行等が行う資金融資をアパートローンと呼んでいます。

 

このアパートローンは不正融資問題やコロナ禍などで金融機関も消極的になっていたようです。それが一転、2023年度まで3年連続で、個人による貸家業への設備投資としての新規貸出額が増加しています。2023年度は3兆684億円と前年度比7%の増加です(日銀統計より)。

 

融資額増加の原因としては、相続対策や資産形成の需要の高まりがあるからだそうです。地価や建築工事費などが高騰していますが、場所によっては家賃も上昇しているので、アパマン経営の事業計画も金融機関の融資基準に入りやすくなっているのではないでしょうか。投資用不動産物件は実需不動産とは評価方法が違うところもありますが、住宅を売買する時にもとても参考になります。

住宅を買うきっかけ、売る理由           2024年8月1日(木)

実際にお客様にお聞きした、主な住宅売買きっかけは次のとおりです。

 

〈住宅を買うきっかけ〉

結婚や家族の成長:結婚や子供の誕生、長子が来年小学校入学など。

転職や転勤:何度か転勤を繰り返した後に東京に戻り、もう転勤はないと思うから。

賃貸よりも経済的:長期的に見て、賃貸よりも持ち家の方が経済的に有利と思うから。

自分のスペースが欲しい:持ち家は、リフォームが自由にできるから。

住宅購入資金:ご両親などから住宅購入の資金援助の話があったから。

 

〈住宅を売る理由〉

家族構成の変化:子供が独立して使わない部屋があり管理が大変になった。

経済的な理由:住宅ローンの返済が厳しくなったなど、生活を立て直す必要がある場合。

転職や転勤:この地を最後にもう転勤はないと思ったから買ったけど、また…の場合。

高く売れる:不動産の価値が上昇したので、買換えまたは資金化して賃貸へ。

 

住宅の売買は大きな決断が必要で、皆さんそれぞれに物語があります。その物語の立会人になるこの仕事は、ベテランといわれる年齢になっても身が引き締まる思いがします。

単身高齢者が住宅を借りやすくする契約条項        2024年7月29日(月)

2022年の65歳以上の単身高齢者世帯は、全5,431万世帯の16.1%にもなる873万世帯です。単身高齢者は賃貸住宅を借りにくいという問題があります。

 

賃貸人が躊躇するのは、賃借人の死亡後、賃借権と居室内に残された家財(残置物)の所有権は、その相続人に承継されるため、相続人が所在不明などの場合、賃貸借契約解除や残置物処理が困難になるからです。

 

そこで、単身高齢者の居住の安定確保を図るため、国土交通省と法務省とで「残置物の処理等に関するモデル契約条項」が下記の内容で策定されています。

 (1) 賃貸借契約の解除…受任者に対し、賃借人の死亡後に賃貸借契約を解除する代理権を授与。
 (2) 残置物の処理…受任者に対し、賃借人の死亡後に残置物の廃棄や指定先へ送付する事務を委任。受任者は、賃借人の死亡から一定期間が経過し、かつ、賃貸借契約が終了した後に、「廃棄しない残置物」以外のものを廃棄。

当然、これで問題がすべて解決ではありません。当社にもご相談頂くことがありますので、引き続き情報収集いたします。
  

続く住宅ローンのマイナス金利             2024年7月28日(日) 

住宅ローン利用での住宅購入の場合、必ず確認する住宅ローン控除。現在は毎年の年末時点での借入残高の最大0.7%を最長13年間にわたり、所得税や住民税から控除するというものです。以前は最大1.0%が控除されていました。しかし、当時の変動金利が約0.6%~0.7%(優遇後)と、実質マイナス金利状態で問題視され0.7%控除に変わりました。

 

ところが、その後も金融機関間の競争激化などで金利は下降し、条件を満たせば0.3%程の金利もありますので、実質的マイナス金利は続いています。ただし、変動金利は半年に一度金利を見直し、元金返済額と利息額の割合は動いています。5年間の金利動向で6年目からの返済額が決まるのが一般的ですが、最近は金利上昇即返済額に反映する金融機関もあり、詳細確認が必須です。

 

金利上昇局面では賃金も上昇だから返済できる理屈ですが、どうでしょうか。変動金利のローン利用は手元に繰上げ返済用資金を確保などの対策が必要です。ご相談いただければ、お客様の状況により個別に住宅ローンのご説明をいたします。

有料老人ホームの運営会社が倒産したら        2024年7月27日(土)

高齢者向け施設は、公営施設と民間施設に大別できます。民間の高齢者向け施設は倒産することがあります。入居している有料老人ホームが倒産したら支払い済の入居一時金などはどうなるのでしょうか。

 

全ての有料老人ホームには一時金の保全措置が義務付けられていて、500万円が限度に入居一時金の一定割合額が保全されます。また(公社)全国有料老人ホーム協会に加盟している有料老人ホームは、事業者と入居者で入居契約追加特約を結ぶことで、入居生活保証制度という500万円を限度に保証される制度があります。

 

このほかに、他の運営会社が施設を引き継いだり、他の施設に移転する選択肢が提供されることもあります。また、有料老人ホームが倒産した場合、法的な手続きを通じて債権の回収が試みられることがあります。ただし、他の債権者と競合するため、全額回収できるとは限りません。

 

利用料の支払い方式などとともに、不測の事態の場合にどのような保証があるかを、契約時の重要事項説明書で確認し、不明な点は納得いくまで説明を受けることが大切です。

人口減少しない自治体は全国で8つだけ            2024年7月26日(金)

「人口戦略会議(民間有識者で構成)」が4月発表の報告書によると、全国の744の自治体(市区町村)が消滅する可能性があり、これは全自治体の4割超にあたるそうです。理由としては、これらの自治体では、子どもを産む中心世代(20~39歳の若年女性)が2050年までに50%以上減り、人口減少に歯止めがかからないからとしています。

 

そんな中、全国に8つだけですが、2050年まで若年女性が増えると予測された自治体があります。東京都港区、東京都中央区、茨城県つくばみらい市、千葉県流山市、東京都御蔵島村、埼玉県滑川町、東京都江東区、茨城県守谷市の8自治体です。

 

港区、中央区、江東区は、まあそうかなと思えます。他の4自治体(御蔵島以外)の特徴は「子育て支援」に注力し、成功している点。そして、価格含めて移住するための住宅政策がうまく機能している事。加えて、東京都心の職場に通勤圏内である立地も関係していることが理由のようです。あらためて、住宅価格・子育て環境・通勤時間は街の発展・存続に影響すると感じる報告書です。

不動産業者に相続知識が必要な理由           2024年7月25日(木)

なぜ、不動産会社が相続コンサルティングも行えるほうが良いのか。答えは相続財産に占める不動産の割合が一番多いからです。

 

国税庁「令和4年分 相続税の申告事績の概要」によると、相続財産の金額の構成比は不動産(土地と家屋)が37.4%で最も高く、現金・預貯金34.9%、有価証券16.3%、その他11.4%と続きます。

 

相続の3大対策は「遺産分割対策」「納税資金対策」「節税対策」。遺産分割対策は遺言書作成や財産整理。納税資金対策は明日相続発生の場合に、相続税納税が必要か、必要なら遺産の現金・預貯金で支払可能か。節税対策は相続税が現金・預貯金で不足の場合に節税策を講じ土地などを減らさずに済む対策は、となります。

 

順番的にも分割⇒納税資金⇒節税と対策を考えるのが一般的ですが、相続対策は節税でしょ、とばかりにいきなり節税を切り口に営業をかける業界や会社もあるので注意が必要です。まずは財産総額の把握から。不動産の評価は少しわかりにくい面もあるので、相続コンサルもできる不動産会社への相談を検討してみてください。

 

共有不動産の問題点               2024年7月22日(月)

ペアローンで自宅を夫婦で共有でなはく、相続の際に兄弟姉妹が相続人になったため、遺産である不動産が共有名義になっている場合を想定しています。共有状態である不動産は、下記のような問題を引き起こす可能性があります。

 

1.相続の問題…相続された場合には新たな相続人が加わるので更に共有者が増え、権利関係が複雑化し、意見の相違や遺産分割の際にトラブルが発生することがあります。

 

2.売却が難しくなる…原則的に共有者全員の同意が必要なため、反対者が一人でもいると売却が困難になります。

 

3.費用分担の問題…共有不動産の維持管理費用や修繕費用などの分担にも問題が生じることがあります。各共有者の経済状況や意見が異なる場合、公平な費用分担が難しいことがあります。

 

問題点を解決するには、共有不動産の管理に関する明確なルールを定めたり、共有者間でのコミュニケーションを円滑にする努力が必要です。また、売却などで資金化して分配したり、共有者の一人が単独所有になるように他の共有者の持分を売買するなどの方法があります。

 

 

賃貸マンションの家賃上昇          2024年7月21日(日)

東京23区の賃貸マンション家賃が上昇しています。ある不動産検索サイトの調べでは、東京23区内の30~50㎡の賃貸マンション家賃は約15万円で(2024年5月)、前年同月比+約1万円でだそうです。6月時点の中古マンション平均売出価格は5,888万円で平均専有面積は50.65㎡(レインズ市況データより)です。

 

これまでの家賃同額を返済額として住宅ローンを組むと、35年返済・変動金利0.475%で約5,800万円借入可能です(年収比率や年齢は考慮せず)。

 

購入にかかる諸費用を8%とし、総額は約6,360円。必要自己資金は6,360万円-5,800万円=560万円です。

マンションなので他に管理費と修繕積立金、それに固定資産税も毎年かかります。住宅ローン控除があっても、面積広くならずに負担は増えます。さらには、平均5,888万円のマンションの平均築年数は約29年なのです。リフォーム費用もとなると購入はきついかな、でも住み替えはしたいから賃貸マンションへ。需要増で家賃上昇、これが現状かもしれません。

高齢者施設の主な3つの契約形態          2024年7月20日(土)

有料老人ホームなどの高齢者施設は、住宅としての居住空間と、介護や生活支援などのサービス部分で成り立っています。この2つを1つにまとめた契約形態が①利用権方式です。終身契約で相続権はありません。

 

あとの2形態はどちらも借地借家法の建物賃貸借方式に基づいていて、入居時に敷金、礼金などを支払い、家賃相当額を毎月支払うことで住宅に居住できます。ただし、介護サービスは別契約が必要です。入居時に利用料前払いがなく、初期費用はおさえられます。また、夫婦で入居していて夫が契約者の場合、夫が亡くなっても妻に借家権が相続され継続して入居できるのが一般的です。数年ごとに契約更新のための更新料などの支払いが発生することがあります。②建物賃貸借方式と、③終身建物賃貸借方式があります。③は都道府県知事から終身建物賃貸借事業の認可を受けた事業者の実が解約可能です。契約者の死亡により契約は終了しますが、同居者がいる場合は同居者の申し出により終身入居が可能です。

【不動産査定】見た目で価格は変わりますか     2024年7月19日(金)

不動産は見た目で査定額が変わります。最寄駅からの距離と築年と道路付けと面積だけの簡易査定なら別ですが、見た目の良し悪しや使用状況を確認し、データ上だけではないアピールポイントを見つけるために訪問査定をします。

 

木造一戸建てで築20年位までなら、既存(中古)住宅として売却したいところです。でも、新築時から何も手入れをしていないと、外壁では汚れやクラックなども目立つようになりますし、キッチンなどの水回りは、日常のお手入れ具合がすぐにわかります。

 

査定時にはいつも申し上げるのですが、買い手の立場で観てください。自分が買い手で何件か不動産を見学に行ったら、他物件と比較検討しますよね。最終的に2つの物件に絞られ候補に残った時、やはり丁寧に手入れがされていた物件が選ばれる可能性が高いです。

 

不動産会社に査定してもらう時から販売活動は始まっています。何もお金をかけてリフォームをとは言いませんが、まずは「室内外ともに、築年数の割にとってもきれいですね!」と不動産会社に言われることを目指してみると良いと思います。

【不動産売却】査定と同時に概算手取額も把握を       2024年7月18日(木)

自宅の買い替えも、相続不動産売却して資金化にしても、不動産売却目的の大半は売却益を手にすることです。そう考えると、売れそうな価格の査定と、売出価格の設定はもちろん大事ですが、売却後に手元にはいくら残るのか(手取り)も把握しておくことが重要です。

 

不動産を売却し、取得費や譲渡費用を控除した後がプラスであれば課税されることがあります。この場合の税金は所得税と住民税です。こちらは分離課税なので、比較的計算式もわかりやすいです。納税額は税理士や税務署に確認となりますが、一般的なケースに引き直してなら、不動産会社やFPも説明できます。この場合は、計算するのはお客さん自らです。

 

注意点は、税額を計算するしないの前に、税金の特別控除制度や不動産の保有期間によって譲渡税率が異なるなどがあり、当該売却不動産に該当するものの判別が必要だという事です。所有期間5年以内・5年超・居住用なら10年超なのか、建物は減価償却分を差し引いた額が取得費、居住用は3,000万円控除に該当するか、などがポイントになります。

相続税のあらまし        2024年7月14日(日)

相続の情報は、一般的な説明で結局自分はどうしたら良いかがわからないとの声を聞くことが多いです。

 

国税庁ホームページ「相続税のあらまし」より「相続税」について抜粋です。注釈は省略しています。

〈相続税の申告・納税〉相続人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地の所轄税務署に申告・納税する必要があります。

〈物納制度〉延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があるときは、その納付を困難とする金額を限度として、相続した財産で納めることができます。

〈被相続人の所得税・消費税の申告〉所得税等・消費税及び地方消費税の申告をすべき方が年の途中で亡くなった場合は、相続人は、被相続人が死亡した日の翌日から4か月以内に、被相続人の住所地の 所轄税務署に確定申告をします。

 

とにかく申告・納税まで時間がありません。そのため元気なうちから準備が必要です。まずは、専門家に相談し、自分の状況での問題点の把握、対応必要ならば早めに手を打つことをお勧めします。

【年金】財政検証が公表されました       2024年7月13日(土)

公的年金の定期健康診断ともいわれる財政検証の結果が、2024年7月3日に厚生労働省より公表されました。財政検証は、5年ごとに人口や経済の実績を織り込み、新しい見通しを作成します。

 

「所得代替率」がポイントで、これは現役男子の平均手取り収入額(2024年度は37万円)に対するモデル年金額(同22.6万円)の比率をいい、2024年度は61.2%でした。

 

「次の財政検証までに所得代替率が50%を下回ると見込まれる場合には、給付水準調整の終了その他の措置を講ずるとともに、給付及び負担の在り方について検討を行い、所要の措置を講ずる」としています。モデル年金は「夫が厚生年金で40年間就業し、その配偶者が40年間にわたり専業主婦の夫婦である場合の2人分の基礎年金と夫の厚生年金の合計額」です。

 

今回の検証では、過去30年と同じ程度の経済成長が続いた場合でも50%以上の所得代替率を維持できると見込まれています。注目されていた65歳まで年金保険料納付の延長は見送られています。

 

生命寿命・健康寿命とともに資産寿命も延ばしましょう   2024年7月12日(金)

物価やサービスの価格が上がり、相対的にお金の価値が下がるインフレ。日本は2021年後半頃に、デフレからインフレに変わったと言われています。

 

日本人の2024年の生命(平均)寿命は男性81.05歳、女性87.09歳で、健康寿命は男性72.64歳、女性75.58歳です。世界的にも高水準です。でも、インフレ下のお金の価値は年々下がります。今年1万円で買えるものが、毎年2%ずつの価格上昇で、10年後には12,190円です。だから、デフレの時にファイナンシャルプランを作成した方は、生活費などの上昇率を低く設定しすぎていないか確認が必要です。

 

新たな収入源の確保や、年金の受給開始時期を遅らせ年金増額。また、生活費の見直しを行い、インフレ影響を軽減させることも大事。さらに、高齢期には医療費や介護費用が増加する可能性があるため、健康管理が重要です。健康寿命を延ばし、生活の質を高めることができます。そして、資産寿命も延ばすことを目的に、資産運用なども検討すると良いでしょう。

 

 

「土地は資産として有利」61.8%(H5年)がR5年には…   2024年7月11日(木)

6月18日に「令和6年版の土地白書」が閣議決定されました(国土交通省HP)。「土地・不動産の所有・利用・管理に関する意識」の移り変わりが興味深いので一部ご紹介します。

 

平成5年度は「土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産か」という問に「そう思う」61.8%「そうは思わない」21.3%「どちらともいえない」11.4%でした。令和5年度には「そう思う」21.8 % 「そうは思わない」23.2%「どちらともいえない」35.5%でした。平成21年度以降「そうは思わない」が「そう思う」を上回っています。

 

土地を資産として有利と考える理由は、土地はいくら使っても減りもしなければ、古くもならない、なくならない、が38.1%で最多。

土地を資産として有利と考えない理由は、土地は預貯金などに比べて、維持管理にかかるコスト負担が大きいから40.3%で最多。

 

持ち家志向か借家志向かは、土地・建物については両方とも所有したいが平成8年88.1%、令和5年65.0%と減少はしたものの、思いのほか高い割合でした。

介護保険でできる住宅改修と対象工事      2024年7月8日(月)

介護保険には住宅改修費支給の制度があります。その条件は、対象者が介護保険の要介護認定で要支援1・2、要介護1~5と認定されていることです。支給限度基準額20万円とし、利用者の所得などに応じて、費用の7~9割が介護保険から支給されます。20万円を超えたら、超えた分の全額が自己負担となります。

 

介護保険の支給対象になる改修工事の例としては、転倒事故を防ぐための手すりの取り付け、段差の解消、床や通路の材料の変更・開閉がしやすい扉への取り換え(ドア→引戸へ)・便器の取り換えなどがあります。

 

住まいは安全である必要がありますが、加齢によって安全への備えの項目も増えていきます。快適な居住環境はストレスの低減にもつながり、健康維持の大切な要素です。住宅の改修工事は費用も多額になることが多いですので、工事会社へ依頼する前に該当する制度がないかどうかを行政等に確認することが必要です。

住み替え先に戸建希望の人の傾向      2024年7月7日(日)

住み替え希望の住宅の調査によると、「 住宅を購入して住み替える際にどのような住宅を検討するかを聞いたところ、約3分の2の人が「新築」を検討すると回答、既存・一戸建を検討すると回答した人は12.6%にとどまった」そうです。さらに「住み替えを希望する住宅は現在住んでいる住宅と同じタイプの住宅を希望する傾向があり、特に一戸建・持ち家は、新築・一戸建てへの意向の強さが、他のタイプに比べて、強い傾向がみられる」という結果だったようです(国土交通省「我が国の住生活をめぐる状況等について (住まいに関する意識等に関する調査について)令和2年調査)。

 

現在、戸建て持ち家居住者が買替え先も戸建を希望する割合は80%近く。でも、よく見ると共同住宅(マンション等)持ち家居住者がマンション希望と回答も約75%。勝手知ったるタイプの住宅が良いという声は、家探しの場面でもよく聞きます。でも、マンションと戸建それぞれで育ったご夫婦は意見が対立することも。その場合は家庭平和のため、奥様の希望優先をお勧めしています。

家庭内の4大事故      2024年7月6日(土)

住まいは安らげて、安心・安全である場所であってほしいのですが、実は、家庭内の事故で亡くなった人は15,673人で交通事故で亡くなった人の約4.4倍にもなります(厚生労働省「人口動態統計」2022年)。家庭内の死亡事故は年齢別では80歳以上が57.5%、65歳~79歳が31.2%と9割近くが高齢者なのだそうです。

 

死因は多い順に「不慮の溺死及び溺水(入浴事故)」42.0%、「その他の不慮の窒息(誤嚥事故)」22.5%、「転倒・転落・墜落(転倒事故)」17.5%、「煙、火及び火災への暴露(やけどなど)」4.8%となっています。これらは「家庭内の4大事故」と呼ばれています。入浴にともなう事故では、ヒートショックと呼ばれる住宅内の温度差が原因である場合が指摘されています。国なども断熱性能や気密性能を高めた住宅の普及を目指していますが、まずは本人や家族が危険性を正しく認識し(これが結構難しいのですが)、身体への負荷がかかり過ぎないように対策をしていきたいですね。

 

寒い家は健康被害の原因にも        2024年7月5日(金)

2018年WHO(世界保健機構)発表の「住宅と健康ガイドライン」で、住まいの寒さと断熱対策、住まいの過密対策、住まいの安全対策、住まいの障碍者対策が各国に「強く勧告」されました。日本の住宅は、先進国に比べ断熱性能が劣ると言われてきました。ガイドラインでは冬季の室内温度18℃以上としていますが、国土交通省が厚生労働省と連携したスマートウェルネス住宅等推進調査(2014~2018年)では、断熱改修前の2,094件の住宅の居間の在宅中平均室温は16.7℃で、18℃を満たさない住宅が全体の6割を占めています。

 

寒い家で暮らした場合の健康被害は、高血圧、Non-HDL(悪玉)コレステロール値の悪化、過活動膀胱の発症、要介護認定推定年齢が早まる等があります。断熱性能の高い暖かい家で暮らす要介護高齢者の1年後の悪化リスクは寒い家の人に比べて約1/3だそうです。でも、建替えるのも大変です。カーテンを厚手のものにする、カーペットを敷くなど、手軽な対策を夏のうちから準備するのも良いですね。

この要因があると土地の価格が大幅ダウン     2024年7月4日(木)

売れない、または売りにくい土地に出会うことが増えたように感じます。タダでもいらないなんて言われることも…。土地をいずれ売ろうとお考えならば、その土地が以下の5つにあてはまらないか是非チェックしてみてください。

 

①建築ができない土地 ②高圧電線があるなど他人の権利がある土地 ③土地と全面道路とに高低差がある土地 ④嫌悪施設などが近くにある土地 ⑤法地や崖地を含む土地

 

このような土地の場合、一般的には売れない、もしくは著しく安い価格でしか売れない可能性があります。「うすうす気づいていたけど、そのうち調べればよいだろうとほったらかしてました。」という方も。しかも10数年前にお隣から売ってくれませんか?という話まであったと言うではないですか。この土地を買うとしたら、お隣さんだけの状況でしたが、事情が変わってその話はもう無しに。後悔先に立たず、でも悔やまれます。上記のような土地をお持ちの方はご連絡いただければお調べします。今すぐ動けば解決策があるかもしれませんので。

建ぺい率が緩和される土地と条件        2024年7月1日(月)

土地購入からの家づくりは、必要な土地面積の計算から。木造2階建て、延べ床100㎡の建物希望なら、建ぺい率50%で100㎡、60%で84㎡以上の土地が必要です。でも、建ぺい率を1割緩和してくれたら、50%(60%にup)で84㎡、60%(70%にup)で72㎡となり土地探しの幅が増えます(容積率は別途検証要)。建ぺい率10%緩和可能な土地を2種類ご紹介します。

 

まずは角地。見た目だけでなく「2つの道路が隅角120度未満で交わる角敷地」などの要件があり、建築地により異なるので、建築基準法施工細則の確認が必須です(上記は東京都練馬区の施工細則)。

 

ふたつ目は準防火地域(準耐火構造の建物建築)。2019年(令和元年)6月25日施行の建築基準法改正で建ぺい率の緩和(10%)が可能になりました。それまでは防火地域内の耐火建築物にしか適用がありませんでした。

 

二つとも土地利用度が上昇するので、土地価格にも影響があります。建築可能な面積を計算することで、坪単価だけではない土地の価値が見えてきます。

 

全国土地面積ランキングで東京が2位のものは何?     2024年6月30日(日)

東京都の土地面積は47都道府県で広い順に45番目(国土交通省国土地理院:令和6年4月1日現在)ですが、日本の人口の約1/10が暮らしています。狭いエリアに密集している印象があるかもしれませんが、国土交通省の都市計画現況調査(令和2年3月31日現在)で興味深いことを知りました。ある土地面積ランキングでは1位の愛知県112,956haに次ぐ108,087haで、東京都は全国2位の広さがあります。それは「市街化区域」の面積です。

 

都市計画法では都道府県が都市計画区域を定めることができ、都市計画区域内は以下の3つの区域からなります。

①市街化区域…「すでに市街地を形成している区域、または概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」

②市街化調整地域…「市街化を抑制すべき地域。原則として建築不可」

③未線引き区域…①②のどちらにも区分されていない地域。

 

都心の高層ビル上階から果てしなく連なる建物を見ると、東京は市街化区域が広いと実感できます。※市街化区域以外で建物建築できない訳ではありません。

 

フラット35は建物面積70㎡以上必要       2024年6月29日(土)

東京都の新築戸建(建売住宅成約事例2024年5月度レインズデータ)の平均床面積は96.85㎡(約29.3坪)です。この面積だと3~4LDKが一般的ですが、「2LDKで十分」や「個室不要」等のご要望もあります。地価や建築費が高くてもエリア優先で土地・建物面積を抑えるという理由や、ご夫婦お二人なので部屋は少なくて良いという場合も。

 

そんな場合でも押さえておきたい建物延床面積の主だった基準は下記のとおりです(居住用の戸建住宅。マンションや賃貸住宅は異なる場合があります)。

・フラット35で融資を受ける…70㎡以上

・長期優良住宅…75㎡以上(1階部分は40㎡以上)

・住宅ローン控除…50㎡以上(例外規定有)

・新築住宅の固定資産税減額…50㎡以上

・不動産取得税の1200万円控除…50㎡以上

・直系尊属からの住宅所得資金等の贈与…40㎡以上(かつ床面積の1/2以上が受贈者の居住部分)

 

建ぺい率・容積率により建物が上記基準を満たさないこともありますので注意が必要です。

この不動産、誰かの迷惑?その発想が地域価値を守るかも   2024年6月28日(金)

相続したけど使わない土地建物、子どもが小さい頃は頻繁に行ったけど今は管理だけの別荘、長期の入居者が退去し入居者募集のために多額の修繕費が必要でそのまま空室になっている区分マンションなど、原因はあれど結果的に放置に近い不動産はありませんか?それ、もしかしたら、誰かが迷惑しているかもしれません。具体的には隣の敷地に樹木の枝葉が越境、自転車置きのトタン屋根が強風が吹くとバタバタ言っている、集合ポストはテープ貼っているが玄関ドアのポストに紙のチラシがあふれている、などです。

 

誰かが迷惑しているとしたら早急に対応を。手入れ不行届きな不動産が近所にあると不動産価格が減少という民間の調査結果もあるようです。誰かの迷惑解消は、優先順位の高い大義名分です。費用が必要な場合もありますが、誰かに喜ばれる行いは損得で測るものではないはず。その行動が快適な街をつくり、結果的にご自身のも含め地域の不動産価値も上昇すると思うのです。

高齢者間の格差問題            2024年6月27日(木)

高齢者間の格差は社会問題化しています。経済的格差、健康格差、住居格差などがあります。経済的格差は、主に年金制度や貯蓄の差に起因します。この経済的差異は、健康寿命にも影響を与えることもあります。住環境の質も格差の一因です。住宅所有の有無や住宅ローンの負担も格差を広げます。

 

これらの格差解消には、社会保障制度の充実(公的年金の最低保障額の引き上げや医療費の補助)、雇用機会の拡大(高齢者が働き続ける環境の整備、再就職支援)、住環境の改善(公営住宅の提供、住宅改修の補助)、地域社会での交流促進(ボランティア活動の支援)が必要と言われています。高齢者間の格差問題は、個人の生活の質や社会全体の安定に深く関わるため、継続的な政策見直しと支援が求められます。そして何より、40代頃から自分が高齢になった時に理想の生活が送れるかどうかを考えて、備えを開始することが重要です。FP相談をしていると「老後の生活に備える」を学ぶ機会がなく、この年齢になってしまった!という声を多く聞くというのが現状です。

 

【住宅ローン】負債超過の解消は50歳以上      2024年6月24日(月)

総務省統計局が令和6年5月に発表した「家計調査報告(二人以上の世帯)」によると、平均的な負債現在高(2023年)は655万円で、そのうち住宅・土地のための負債が約91.8%の601万円、前年比75万円増加となっています。このうち勤労者世帯についてみると、住宅・土地のための負債は、941万円で、前年に比べ128万円、15.7%の増加となっています。住宅ローン返済世帯の世帯主平均年齢は46.5歳で負債現在高は1967万円、貯蓄現在高は1137万円なので負債超過の状態です。50歳以上の世帯では貯蓄超過になり、70歳以上の世帯の純貯蓄額は2321万円となっています。

 

年齢や負債・貯蓄額も平均値なので、特に東京では負債(住宅ローン)額はもっともっと多額の方が多いと思います。ライフプランのキャッシュフロー表作成時の住宅関連費は住宅ローンの返済予定額と固定資産税等ですが、作成するとこの住宅関連費が膨らむため、賃金上昇との見合いですが住宅購入をあきらめたり先送りにする方も増えていると感じます。

宅建業者の平均従業者数は3.9人     2024年6月23日(日)

宅建業免許は、知事免許で「東京都知事(○)第○○○○○号」の形式。( )には5年毎の更新回数が入り、新規は(1)初回の更新で(2)その次は(3)です。「第○○○○○号」は通し番号。免許番号( )内で何年以上営業しているかわかります。この制度は昭和40年4月からで、最古参は(17)です(平成8年までは3年更新)。

 

令和6年3月末時点での東京都の不動産業者数は25,815です(全国では130,583社)。25,815のうち従業者数が1~4人の業者数は21,154(約82%)で、100~999人は44社、平均従業者数は3.9人です。独立・開業し易い業界です。しかし廃業も多く、東京で(1)の業者数は6,497、(6)で900、(17)は147です。 先日、おかげさまで当社は(2)になりました。(1)は今年できた会社かもと思われます。(2)は5年以上続いている証しです。業者間では警戒感緩和になりますし、年数が業界内外に協力関係的な繋がりも作ってくれます。多くの素晴らしいご縁に感謝しています。

GDPの対象「持ち家の帰属家賃」って?      2024年6月22日(土)

帰属家賃とは、持ち家居住の場合に、その家を他人に貸したら得られる家賃です。この帰属家賃、実は日本のGDPの約1割という大きなウエイトを占めています。日本だけでなく多くの国が帰属家賃をGDPの対象にしています。

 

経済規模の評価には、持ち家の居住者が本来得ている利益を考慮する必要があります。また、国際的な経済指標で各国を比較する際、持ち家率が異なると単純な住宅費の比較ができなくなるため、帰属家賃を使うことで公正な比較を可能としています。

 

帰属家賃は、同じ地域・条件の賃貸物件の平均家賃や、持ち家の建設費用を元に、その家がどれだけの収益を生むかを計算します。仮に持ち家を賃貸に出したら家賃収入はどのくらいなのか?を把握しておくことはとても重要です。少し乱暴ですが、妥当な家賃が固定資産税等の保有コスト+住宅ローン返済額+建物の維持管理・リフォーム費用を上回れば、その持ち家は資産、下回れば負債との見方もできるからです(実際に賃貸に出せば、住宅ローンは事業用ローンに変更になり金利等条件も変わります)。

相続税が2割増しになる場合      2024年6月21日(金)

相続または遺贈によって財産を取得し相続税がかかる時、相続税額の2割相当金が加算される相続人がいます。これを「相続税額の2割加算」といいます。2割加算の対象になる相続人は、下記以外の人です。

・被相続人の配偶者

・被相続人の一親等の血族(代襲相続人を含む)(一親等の血族…子と両親)

 

被相続人の兄弟姉妹は二親等なので、また甥や姪は三親等なので2割加算。被相続人の養子となった孫は一親等ですが2割加算の対象です(代襲相続人を除く、ただし代襲相続人が相続放棄をしてしまうと相続人でなくなるので2割加算の対象となります)。

この制度は相続税負担に公平性を持たせるためのものです(孫は親が存命なら今回ではなく、次回の相続で財産を取得するはずで、つまり今回と次回の2回財産取得することになり、他の相続人と公平でなくなる恐れがありますからね)。

文言ではイメージしにくいかもしれませんが、「私も遺産もらえるんだ。知らなかった!」という位置関係(被相続人から見て)にある人は2割加算の可能性を確認すると良さそうです。

人口減少も世帯数増加、その後は加速度的に空き家増加か   2024年6月20日(木)

世帯総数は2020年の5,570万世帯から増加し、2030 年の5,773 万世帯でピークを迎えた後、減少に転じ2050年には2020年より310万世帯少ない5,261万世帯となります。平均世帯人員は、世帯の単独化が一層進んで2020年の2.21人から減少を続け、2033年に初めて2人を割り込んで 1.99 人に、2050年には 1.92人となります。(国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)令和 6(2024)年推計」より)。

 

空き家の増加が社会問題になって久しいですが、すでに減少が始まっている人口に加え、単独世帯の減少が本格的に始まることによって、空き家の増加に拍車がかかると予想されています。一人暮らしでも持家がある場合は、使っていない部屋があっても住み続ける人が多いと思いますが、その住民がいなくなると空き家化する可能性が高いからです。

もちろん地域差もあり、人口ピークが2040年と予想されている東京都は他の地域より遅行するかもしれません。

人口減少でも世帯数増加、今後は加速度的な空家増加も   2024年6月17日(月)

世帯総数は2020年の5,570万世帯から増加し、2030年の5,773 万世帯でピークを迎えた後、減少に転じ2050年には2020年より310万世帯少ない5,261万世帯となります。平均世帯人員は、世帯の単独化が一層進んで2020年の2.21人から減少を続け、2033年に初めて2人を割り込んで 1.99 人に、2050年には 1.92人となります。(国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)令和 6(2024)年推計」より)。

 

空き家の増加が社会問題になって久しいですが、すでに 減少が始まっている人口に加え、単独世帯の減少が本格的に始まることによって、空き家の増加に拍車がかかると予想されています。一人暮らしでも持家がある場合は、使っていない部屋があっても住み続ける人が多いと思いますが、その住民がいなくなると空き家化する可能性が高いからです。

もちろん地域差もあり、人口ピークが2040年と予想されている東京都は他の地域より遅行するかもしれません。

住宅価格の年収倍率       2024年6月16日(日)

年収倍率(所要資金を世帯年収で除した数値)は今どうなのでしょう。住宅金融支援機構の2022年度 フラット35利用者調査には、融資区分別に倍率が出ています。ここでは首都圏の数値を少しご紹介します。土地付注文住宅8.0倍、建売住宅7.4倍です。土地付注文住宅購入者の平均世帯年収は729.2万円なので所要資金は約5,830万円。建売住宅購入者の平均世帯年収は650.6万円なので所要資金は約4,810万円です。資料には無記載でしたが、東京都に絞り込めば更に所要資金が必要な状況だと思われます。

 

総返済負担率は土地付注文住宅で26.5%、建売住宅で25.3%で、手持金は土地付注文住宅549.9万円、建売住宅397.3万円です。所要資金の諸費用分は手持資金で、土地と建築費は丸々借入です。これは不動産を時価評価したら負債が資産を上回り、即債務超過状態の可能性ありです。購入前に数字で把握できれば対処法もあります。購入前(できれば早い段階から)、FPなどに相談をお勧めします。

自筆証書遺言なら保管制度もおすすめです       2024年6月15日(土)

自筆証書遺言書を作成するなら、ぜひ「自筆証書遺言書保管制度」を検討しましょう。自分だけで作成できて、費用も不要、自由度も高い自筆証書遺言書ですが、遺言書が発見されないことや紛失・改ざんされるおそれもあります。この制度は法務局での保管申請料が1通あたり3,900円かかりますが、下記のようなメリットがあります。

 

①法務局において適正に管理・保管されるため、紛失・消失、改ざん・隠匿のおそれがない。

②保管の際、遺言の形式面での確認を行うので、形式不備での無効を防ぐことができる。

③相続開始後の裁判所での「検認手続き」が不要。

④遺言者の死後、相続人などに遺言が保管されていることを通知してくれる。

⑤相続人などが全国の法務局でモニターによる遺言の閲覧ができ、相続手続きに必要な証明書の交付請求ができる。(法務省ホームページより抜粋)

2024年5月30日(木)の「自筆証書遺言書が作成しやすくなっています」もお読みいただけると嬉しいです。

 

 

戸建住宅(東京都)の販売在庫が増加       2024年6月14日(金)

レインズ市況データ(月例速報6月10日発表)によると、東京都で販売中の戸建住宅数が更に増加です。

販売中物件数は新築戸建が2年前の約1.61倍の4,771件、中古戸建が2年前の1.65倍の6,084件に。人気エリアの不動産価格高止まりと、住宅ローン金利上昇懸念による購入意欲の減退が原因のようです。また、時期をうかがっていた売主が、急ぎ新規販売登録も影響と考えています。

 

この状態が続くと、まず新築住宅から価格調整が起こり(エリアにより既に開始)価格が下がり、中古住宅がそれに続きます。「なかなか買い手がつかない」方は、物件エリアの需給バランスの動向を調べ、エリアによる2極化のどちら側かの検証もして、必要なら価格の再考も急ぎましょう。

 

戸建住宅や用地の売却検討中の方は、不動産業者の査定額提示時、1~2年前の取引事例をもとに算出しているだけの査定額は実態と乖離の可能性ありますので、査定額根拠の確認をしっかり行い、疑問点は別の業者にも確認するなど慎重かつ迅速な対応を心がけたいですね。

国有財産の公売 2024年6月13日(木)

国有財産は「行政財産」と「普通財産」の大きく2つに分類されます。「行政財産」は国が行政上の目的のために所有している国会議事堂、税務署などの庁舎やその敷地、皇居、国営公園、国道、河川などです。「普通財産」は行政財産以外の国有財産で、旧軍の財産、使用しなくなった庁舎などの跡地、相続税として物納された土地、建物です。普通財産は公用、公共用の利用要望のないものについては一般の方に売却したりしています。これが、国有財産の公売で、通常は一般競争入札によって売却されています。

 

住宅街でも「国有宅地」や「国有財産売却地」などの看板のある土地を見ることがあります。1,000㎡以上の比較的広い土地が多いのでマンションデベロッパーや建売業者が用地購入する情報のイメージがありますが、一般の方も購入可能です。関東財務局の「国有物件情報のお知らせ」で今後の入札予定物件のお知らせ(東京都)を見ると東京都で33物件(6月時点)が出ています。ご利用される場合は財務省のホームページなどで詳細をご確認ください。

不動産仲介手数料(売買)の平均率(%) 2024年6月10日(月)

米国での不動産売買仲介手数料(約6%)は売主が負担です。買主は仲介手数料を払う必要がありません。売主・買主それぞれに不動産エージェント(仲介業者)が入り、それぞれの利益のために働きます。売主からの手数料の取り分ををエージェント間で決める仕組みです。また、米国では売主・買主との両手取引が利益相反を理由に禁止されています。

 

日本では両手取引が認められています。では、どのくらいの取引が両手取引なのでしょうか。ヒントになる資料が、ある住宅誌に出ていました。不動産売買仲介を行う主要36社の受取仲介手数料額や取扱(物件)価格がありましたので、手数料率を独自に計算してみました。結果は、36社の平均仲介手数料率は4.79%でした。取引2件のうち1件以上は両手取引の計算です。会社によりばらつきがあり、最も仲介手数料率の高い会社は5.23%で、低い会社で1.94%でした。3倍近い開きがあります。ビジネス効率は5.23%の会社のほうが良いのでしょうけど、売主買主である顧客にとっては…、意見の別れるところです。

東京都の学校給食無償化の現状      2024年6月9日(日)

東京都は令和6年度より都内公立小・中学校の給食費経費を最大半額負担しています。この後押しもあり、学校給食無償化を実施する都内自治体が増え、23区全てと多摩地区の半数以上で実施しています。東京都教育委員会の「令和5年度東京都における学校給食に実態」によれば、学校給食費は小学校高学年の平均が月額4,735円、中学校が5,280円だそうです。年額にして5万円~5.8万円程になります。

 

住宅購入を自治体で選ぶという方は多い印象です。子育て支援の充実で今でも人口増加中自治体もあり、住宅選びの際かかせない項目です。ただ、東京都が半額負担しても残りの半額は自治体負担になるため、財政状況などで慎重にならざるを得ない自治体も少なからずあるようです。

ちなみに子ども一人あたり年額5万円減らせると、単純計算ですが住宅ローンを160万円程増やせます(変動金利0.475%35年返済の場合)。二人なら320万円。どこに住むかは金銭的な事だけで決めるものではないですが、自治体の子育て支援制度のチェックは必須です。

【空き地】自治体はどう見てる?     2024年6月8日(土)

全国的には所有者不明土地が増加、その面積は九州以上です。空き地を自治体は対策を含めてどのように見ているのでしょうか。

 

全国の全1,741自治体のうち1,691自治体が回答した「土地の利活用・管理に関するアンケート調査」(令和6年2月時点、国土交通省)があります。

空き地等に関する問題は「空き地等が一定の地域に多数発生している又は今後発生するおそれがある」630件、最多が「空き地等に関する問題は発生していない」744件です。

管理不全土地が周辺に及ぼしている悪影響は「雑草・雑木の繁茂、隣地・道路等への越境」745件、「ごみ等の投棄」411件と続きます。

空き地等をリスト化する仕組みは「特に設けていない」が1,307件で最多、続いて「住民から苦情があり把握した空き地等のリスト化を行っている」が188件です。

空き地等の実態把握に関する課題は「人員・予算が確保できない」834件で最多。この調査は空き地でしたが、空き家という大きな問題もあり、自治体にとっては人員・予算が最大の問題なのかもしれません。

60代にこそおすすめ!「ファイナンシャル・プランニング」 2024年6月7日(金)

今まで頑張ってきたんだから、老後は豊かなライフプランを実現したいですよね!これまでのお客様で「そんな風に思わない」と言われたことは一度もありません。

でも、「そのためのお金の見通しはどうなっていますか?」には、「あまり考えたことがない」や「年金だけでは生活が厳しいので、少し働く」など、漠然とした回答が多いのも事実です。

 

健康寿命をなるべく先まで延ばし、元気で豊かな状態でたくさんの目標を達成していきたいものです。そのために役立つのが、やっぱり『ファイナンシャル・プランニング』です。

難しく考えなくていいんです。普段の生活費を明らかにして、これからのやりたいこと『ライフイベント』にかかるお金をプラス、その合計額の用意ができているかの確認をする。

もし現状では不足しているのであれば対策を考え実行に移す。それだけです。

初めは細かいことを気にせず、おおまかに把握していくことがコツです。今はネット上に書き込むだけでほぼ完成する便利ツールも多数あります。ご自身の好みに合ったものを探してみるのも良いですね。

地役権設定のある土地      2024年6月6日(木)

地役権とは、自分の土地(要役地:ようえきち)の便益のために、他人の土地(承役地:しょうえきち)を利用する権利です。公道に出入りするために他人の土地を通行する「通行地役権」が良く知られています。ほかにも、眺めが悪くならないよう建物の高さを制限するなどの「眺望地役権」、高圧送電線下の「送電線路敷設地役権」、他の土地から水を引くために地下埋設管等を設置する「引水地役権」などがあります。

 

地役権者は承役地上の建物の収去請求権や明渡請求権を有しています。一方で、承役地の引渡請求権や返還請求権は有していません。

要役地の売買がなされ所有権が移転すると、地役権も一緒に移転します。土地を購入して建物を建てようとしても、地役権が設定されている部分にかからないように建築する必要が出てくるかもしれません。

 

地役権は物権で、その権利は強力です。不動産購入検討時には物件の販売図面を小さい文字までチェックし、意味が解らない文言がある場合は担当者や専門家に確認することが大切です。

 

そんなことある?「取得時効」      2024年6月3日(月)

土地の取得時効とは、他人地を所有の意思持って占有し、善意無過失10年、悪意20年で所有権の取得時効が完成することです。

 

実際にある?取引上で数件ですが経験があります。

東道路に接道するAさん宅を売却することになりました。西側隣地Bさん宅は、Aさん敷地北側に通路がある旗竿地でした。公図では、通路部分は道路と直角に接してますが、現地はAさん敷地の北東角部分に隅切りがあります。その敷地はAさんのお父様が数十年前に購入、直後にBさんの両親が引っ越して来たとのことですが、隅切りの経緯はご存じありませんでした。結果的に隅切り部分は分筆してBさんが取得しました。Bさんも購入したのは親なので詳細は知らないとのこと。車の出し入れ等考えて、善意でAさんお父様がBさん家に無償で貸していたのかもしれません。Aさんは関連書類が見当たらず、その状態は20年以上続いていてBさんの取得時効が完成となりました。

 

「思いもよらなかった」とAさん。自宅相続時は書類上手続きで完了できますが、後々を考え詳細調査をお勧めします。

これ言うと嫌がる人も…「住宅購入は売ること前提で」のお話し 2024年6月2日(日)

家を買うぞ!!と決意したあなたが、私から「売るときに、売れそうな家を買ったほうがいいですよ」って言われたら、会社を変えようって思うかもしれません。「あなたは住宅ローン返済が滞り競売にかけられるかもしれないし、離婚して家を売るかもしれないから」と聞こえてしまう人もいるからです。

でも、住宅購入は幸せな人生の手段に過ぎなくて、人生には変化の時もあって、その変化に対応するためと考えれば、なるほどと思ってもらえる方もいるのではないでしょうか。

私たちはそんな考え方で相談依頼者さんに接しています。

 

住宅購入時には、5年後10年後に売る考えがないのが普通ですが、せめて買うエリアのこれまでとこれからの人口動態や小中学校の統廃合予定や大型スーパーの閉店懸念、路線バスの廃止の可能性などなどの調査を提案します。もちろん未来のことなので、断定できることばかりではありません。それでも、この作業をされてから住宅購入された方は満足感が高い印象です。もちろん調査はお手伝いいたします。

「東京住まいの終活ガイドブック」     2024年6月1日(土)

東京都が発行していて、東京都住宅政策本部のホームページから無料で読むことができます(令和6年3月第1刷発行)。

放置空き家を増やさないための、「住まいの終活」を行うために必要な情報が記載されています。shuukatsu_guidebook_01.pdf (tokyo.lg.jp)

 

内容は「家財整理の進め方」「住まいの利活用・処分方法の検討」「空き家の適切な管理」「役立つ関連制度」「相談窓口」「住まい・土地の現状把握ノート」です。巻末資料込みで40ページの小冊子ですが、読みやすく親切に、わかりやすくまとまっていると思います。特に、いざというときに備えるための関連制度 (1)成年後見制度 (2)民事信託 (3)遺言 (4)生前贈与 (5)死後事務委任契約(6)財産管理制度(7)特別縁故者制度 (8)相続土地国庫帰属制度はわかりやすいです。巻末資料(2)相続手続(3)すまい・土地の現状把握ノートや家系図のフォーマットはすぐにでも使えそうです。

気になった方は一読してみてはいかがでしょう

【相続】遺留分制度の見直し         2024年5月31日(金)

遺留分は、相続人の最低限度の取り分です。民法では被相続人の意思を尊重していますが、一方で相続人の権利にも配慮されています。全財産を相続人の見ず知らずの人に遺贈するという遺言書があっても、遺留分減殺請求をすることで相続人は権利を行使できます。

 

この「遺留分減殺請求」が民法改正で2019年7月1日より後の相続では「遺留分侵害額請求」に変わっています。改正されるには理由があります。「遺留分減殺請求」の問題点は、例えば被相続人が全財産を相続人でない誰かに遺贈、それが自宅不動産だった場合に、相続人は遺留分を主張します。でも、遺贈された人から取り戻したのは自宅不動産の共有持分です。この場合、資金化するためには売却するしか選択肢がない場合もあり、まず揉めます。そこで「遺留分侵害額請求」に改正し、権利の取り戻し方を共有持分でなはく金銭にしました。亡くなった人の意思と相続人の権利のバランスを取りつつ、更なるトラブル回避を考えた落としどころを探った結果の改正とも言えそうです。

自筆証書遺言書が作成しやすくなっています     2024年5月30日(木)

自筆証書遺言書は公正証書遺言書に比べて費用が掛からず手軽に作成できます。費用が掛からないという事は、保管は自分で、遺言者の死後に裁判所による検認必要などの労力が必要になるという事でもあります。また、遺言者自身で遺言書形式の理解や、誰に遺言書の存在を伝えておくかの判断などの気遣いも必要です。遺言書は円満な相続を目的としているのに、遺言書があるために争いが起こることもあるからです。労力という点では全て自筆のため、財産が多いと相当な労力が必要で、遺言書を書き始めたが途中で断念、という事もあるようです。

 

自筆証書遺言書作成の負担軽減のために2019年1月13日の改正民法により、本文は自筆ですが、財産目録作成については自筆でなくパソコンでも良くなりました。財産目録の中には預貯金通帳の写しや不動産全部事項証明書の写しも含まれます。注意点は、財産目録は本文ではなく、添付されたものなので、余白のスペースに自筆で本文を書いてはならないことと、財産目録のページ毎に遺言者の署名と押印が必要なことです。

競売不動産の物理的特徴(個人的感想含みます)       2024年5月27日(月)

20年以上前のことです。競売不動産を落札した不動産会社から、販売を依頼されていました。不動産の競売手続きとは「債権を有している人の申立てにより、裁判所が、債務を弁済することができなくなった人の所有する不動産を差し押さえて、これを売却し、その代金を債務の弁済にあてる手続き」(裁判所HPより)です。今でこそ法整備が進み、個人も入札する競売不動産ですが、当時は落札しても商品化するまでに色々(詳細省略)あって大変でした。

 

当時、競売(予定含む)不動産を見ていて、物理的特徴で「共通することが多いな」と感じていたことがあります。それは、建物内外の手入れが行き届いていない、というかできていない、ということです。整理整頓身だしなみは収入に影響すると言われます。不動産もしかりだなと感じていました。室内も建物外観も庭も綺麗にして、不具合がない状態にしておくにはそれなりに費用がかかります。購入時は、資金計画に維持管理・修繕の費用も計画すると共に、不足の事態への備えをしておくことが、やはり必要だと思うのです。

 

「リ・バース60」の利用は1,382戸       2024年5月26日(日)

住宅金融支援機構の提携金融機関が取扱う「リ・バース60」というローンがあります。特徴はリバースモーゲージ型の住宅ローン、つまり毎月支払いは利息のみ、元金は契約者死亡後に土地建物売却資金で返済します。

 

2023年度の「リ・バース60」付保実績は1,382戸で金額は218億円でした。申込者の平均年齢は69.5歳、年収は359万円、年金受給者が53.2%で最多です。資金使途は注文住宅32.6%、戸建リフォーム22.3%、新築マンション15.9%、借換え15.6%、既存マンション8.4%。平均融資額1,643万円、毎月支払額38,000円、ノンリコース型(相続人は担保物件売却代金が債務額未満でも残債務の返済不要)99.2%です。

 

60歳以上、融資額は土地建物評価額の50%または60%まで(最高8,000万円)、期間は終身(亡くなるまで)などに加え、各取扱金融機関独自の条件もあります。

リバースモーゲージとの違いは使途は自身が居住する住宅に関するもの限定で、生活資金には使えない等です。

【固定資産税】住宅を建て替える土地の特例措置(東京23区) 2024年5月25日(土)

固定資産税と都市計画税は1月1日(賦課期日)の土地・建物等所有者に課税です。空家の報道時に聞く事も多い、建物を取壊すと固定資産税が6倍になる話があります。これは200㎡以下の土地(小規模住宅用地)に専用住宅が建っていると土地の課税標準が1/6になるからです。そのため建替えの為、年末に旧建物を取壊し、1月1日時点で建物がないと単純計算で固定資産税が6倍になります。要件を都税事務所で確認できた場合は住宅用地の特例が継続されます。

 

主な特例要件は①昨年の1月1日時点で住宅用地である②今年の1月1日現在に住宅の新築工事に着手又は建築確認申請されていて且つ3月末日までに新築工事に着手している③建替え前の住宅の敷地と同一の敷地である④建替え前の住宅所有者と同じ建主であることです(東京都主税局HPより一部要約抜粋)。

 

申告書提出期限が住宅を取壊した翌年の1月31日まで、などの条件もあります。該当しそうな場合は各区の都税事務所へ、多摩地区は各市町村役場へお問合せください。

自筆証書遺言書保管制度の利用状況     2024年5月24日(金)

令和2年7月10日に始まった自筆証書遺言保管制度の利用状況は、令和6年3月までの利用(保管)件数で71,033件(法務省民事局)です。直近1年(令和5年4月~令和6年3月)では、20,013件でした。

他に遺言書のデータとしては、遺言公正証書の作成件数があり、令和5年1月から12月までの1年間の作成件数は118,981件です。時期がずれますが、合わせて138,994件です。

自宅や銀行貸金庫、弁護士事務所に保管の遺言書件数は不明ですが、1月に1万件以上の遺言書が作成されています。

 

令和4年の被相続人(死亡者)数は1,582,033人(厚労省)です。遺言書は財産が多いから作成するものではありません。遺産が5,000万円以下の調停が約76%(2018年「遺産分割事件の認容・調停成立件数」裁判所HP)というデータもあります。「遺言書を書きました」というお客様に何人もお会いしました。遺言書の方式も様々です。書式にも決まりがあります。自己流で作成して無効、という事がないように、事前に専門家へ相談するのが良いです。

高齢以後の住まいの選び方      2024年5月23日(木)

一戸建てにお住まい(女性・70代)から、住まいのご相談がありました。ご主人は他界されていて、三人のお子さんもそれぞれ持家、延べ床面積約120㎡、最寄駅よりバス便、築35年の家は一人では広すぎるし管理も大変になってきたので、とのことです。

 

大きく3つの選択肢が考えられます。①現居売却→新居購入②現居売却→高齢者施設含めた賃貸住宅に入居③現居に住み続ける。相談者様は家の維持管理は大変だけど、住み心地はとても気に入られてます。正解はどの視点で見るかによります。不動産会社の目だと、築35年は今後不具合も出て維持管理に費用もかかるので買替え。建築会社だと、お子さんとの2世帯住宅に建替え。リフォーム会社なら、バリアフリー住宅へ改装して住み続ける、といった具合です。ご本人が決めることですが、老後資金の必要額を余裕をもって試算して、本人もお子さんたちも安心できる方向性を見つけることが大切です。また、何よりもご本人が後悔のない決断をした、と思えるような過程が必要です。

ファイナンシャルプランナーの資格       2024年5月20日(月)     

名刺交換した方から「1級ファイナンシャル・プランニング技能士とCFP®の違いは?」と質問されました。最近でこそテレビCMや新聞記事で目にしたりしますが、一般的にはわかりにくい資格・職業だと思います。ちなみにCFPはCertified Financial Plannerの略です。

 

ざっくりですが、1級FP技能士は国家資格、CFP®は国際資格です。CFP®は米国発祥の資格で世界27か国に約22万人(2023年)、日本には26,092人のCFP®認定者がいます。受験にはAFP(アフィリエイテッド・F・P)資格者、FP実務経験3年以上、「金融資産運用設計」「ライフプランニング・リタイアメントプランニング」「タックスプランニング」「不動産運用設計」「リスクと保険」「相続・事業承継設計」の6科目合格でCFP®となります。

CFP®は金融や保険業界に多い印象です。不動産業界で宅建士に加えCFP®と1級FPとなると、自分で言うのも何ですが割と珍しい存在のようです。

配偶者居住権の簡易な価値評価      2024年5月19日(日)

配偶者居住権とは、配偶者が被相続人所有建物に居住していた場合に、配偶者が賃料負担なくその建物に住み続けられる権利です。

 

配偶者居住権の具体例が法務省HPにあります。

事例)同年齢の夫婦が35歳で自宅(木造)を新築。妻が75歳時に夫が死亡。その時点での土地建物の価値4,200万円。この場合、建物敷地の現在価値4,200万円-負担付所有権の価値2,700万円=配偶者居住権の価値1,500万円です。

負担付所有権の2,700万円は、妻の終身の間の配偶者居住権を設定として計算。75歳女性平均余命は簡易生命表より15年。事例では、配偶者居住権消滅時の建物価値が0円、土地価値4200万円を法定利率年3%で15年分割戻したものです。4200万円÷1.55796(終価係数)=約2700万円。4200万円の土地建物全て相続だと、居住はできても預貯金は子らに行き生活が困窮という事がありました。配偶者居住権で4200万→1500万と約35%に圧縮できたので、預貯金も配偶者が相続できる可能性が増えたこととなります。

新設住宅着工戸数      2024年5月18日(土)

2023年度の新設住宅着工戸数は80万176戸です。これはリーマンショックの影響を強く受けた2009年度の77万5277戸以来の低水準だそうです(国土交通省「建築着工統計調査報告」)。80万176戸のうち持家は21万9622戸、2009年度の持ち家着工戸数は28万6993戸でしたから、持ち家は2009年をも下回ります。物価や資材価格の上昇による消費者マインドの低下が原因とされています。

 

一方で空き家の件数は2018年の前回調査より51万戸増加して900万戸になったそうです(総務省「2023年住宅・土地統計調査」)。空き家数には賃貸・売却用や二次的住宅(別荘など)も含まれており、それを除いた空き家は前回より37万戸増の385万戸でした。

日本の人口は既に減少し続けていて、2070年には8700万人になる見通しなので、減ったとは言っても80万戸超の着工戸数は実は凄いことかもしれません。

 

人口減少とともに問題視されていることに高齢化率の上昇があります。高齢者向けの住宅(施設含む)は足りていない状況です。国土交通省は、空き家を改修してセーフティネット住宅とする対象事業者の募集をするなどして対策を打ち出しています。

「低廉な空家等の売買の媒介における特例」が改正予定です 2024年5月17日(金)

空家の増加をおさえるためには、流通活性化も必要です。空家は取引価格が低額なことが多く、仲介(媒介)業者は報酬額が採算に合わず、取引の停滞を生じさせています。仲介業者への報酬(仲介手数料)は取引価格×3%+6万に消費税です。仮に200万円の物件なら、10万円(200万円までは5%)+消費税が売主または買主どちらか一方から受け取れる報酬の上限です。

 

平成年30年1月1日に宅建業者が宅地や建物の売買等に関して受領できる報酬の額の特例が施行されています。これで、現地調査等に要した費用相当額を報酬に加算して受け取れるようになりました。上限は18万円と消費税です。200万円の物件では10万円の報酬+8万円の費用まで受領可能になりました。ただし、400万円までの物件で、売主から受領するものに限定されています。これが今年の7月にも改正され、800万円までの取引に引き上げ、30万円+消費税が上限になる見通しです。

 

空家を含め不動産の売買に慣れている方は少ないです。法律や制度の変更時には金額や割合(%)などだけでなく、なぜそうなるのかという理由にも注目してみてください。

 

働きながら介護をしている人は365万人      2024年5月16日(木)

政府は仕事と介護の両立支援に取り組んでいますが、2021年10月からの1年間での介護離職者は106,200人(総務省「就業構造基本調査」)にのぼるそうです。「介護離職ゼロ」を目指してはいるものの、労働者の両立支援制度への理解不足や、企業側からは従業員が介護をしていることを把握しにくいなどが原因とされています。

 

2025年には団塊世代が後期高齢者になることもあり、75歳以上が人口の18%を占めます。要介護者や認知症患者の増加に介護を支える介護職員は全く足りない状況です。厚生労働省のHPによると、2025年に必要な介護職員約243万人に対し約32万人の不足、2040年には約280万人に対し約69万人不足します(第8期介護保険事業計画)。厚労省はこの事態を解消するために、介護報酬の引き上げを決定したり、外国人労働者の積極受け入れなどの対策をしています。しかし、要介護・要支援高齢者は680万人でその家族介護者は650万人、うち働きながら介護している人は365万人という状況があります。

 

制度利用で負担軽減しつつ介護すればいい、という単純な問題ではないですが、どんな支援があるのかは知っておくと良いですね。

日本の高齢者人口割合は世界一        2024年5月13日(月)

高齢者が国の総人口に占める割合で、日本は世界一です(2018年総務省)。総人口に占める65歳以上人口の割合は、1位日本28.1%、2位イタリア23.3%、3位ポルトガル21.9%です。一般的にこの比率が7%超で高齢化社会、14%超で高齢社会、21%超で超高齢社会と呼ばれています。日本は超高齢社会ですが、21%を超えている国は日本含め6か国です。

2065年の推計では世界平均でも19%超、1位日本38.4%、2位韓国37.7%、3位イタリア32.8%です。2018年にはトップ10に入ってなかった韓国が40年後には世界2位の超高齢社会になるようです。韓国は合計特殊出生率が2021年で0.808と世界で191位です。このことが推計の根拠となっているようです。同年の日本の出生率は1.300で183位です。

 

健康寿命(日常生活に制限のない期間の平均)のトップ3は、1位日本74.1歳、2位シンガポール73.6歳、3位韓国73.1歳。

平均寿命(0歳時の平均余命)のトップ3は、1位日本84.3歳、2位スイス83.4歳、3位韓国83.3歳。

平均寿命と健康寿命の差を見ると、高齢者人口割合の高い国は概ね10年程です。

健康で長生きが理想とすれば、日本は理想を実現するに最適な国だと思うのです。健康でいる期間を延ばす努力をしていきたいですね。

ご自宅は耐震改修等の助成金対象かもしれません     2024年5月12日(日) 

東京都耐震ポータルサイトでは、各区市町村における建物の耐震化助成制度を調べることができます。

木造建物の助成は耐震基準・診断・補強設計・改修・建替・除却と項目があり、さらに建物が旧耐震基準・新耐震基準かによって助成内容が異なります。23区全てで何らかの助成制度がありますが、旧耐震建物(昭和56年5月31日以前に建築されたもの)しか対象でなかったり、除却(解体費用)が対象でないなど区により様々です。

 

例えば渋谷区では、旧耐震建物で診断・改修・除却、新耐震建物で診断・改修に対して助成があります。

具体的には、旧耐震建物は無料で木造住宅耐震診断コンサルタント派遣(個人所有の一戸建て、平屋または2階建ての木造軸組工法の建築物、建築基準法に適合していること等の条件有)を受け、診断の結果で改修費や除却費の助成金の対象になる可能性があります(年度予算有)。

一度ご自身の建物にあてはまる助成制度を調べてみてください。住宅は安全・安心できることが最低条件です。また、空家の場合は活用や場合により除却の判断材料にもなります。

 

東京都区部の中古戸建住宅も価格上昇中      2024年5月11日(土)      

レインズ((公財)東日本不動産流通機構)2024年4月度月例報告)によると、東京都の中古住宅成約件数は区部が231件で前年比プラス15.5%の2ケタ増、多摩が157件でプラス11.3%でした。

成約価格は区部で平均7,014万円の前年比プラス15.0%で前年同月を上回りました。多摩では3,858万円でこちらは前年比5.2%下落となっています。

 

中古マンションの成約件数は区部1,515件で前年比プラス19.0%で、多摩は297件でプラス3.8%です。成約価格(㎡単価)は48ヶ月連続で前年同月を上回っていることから、特に区部においてはマンションは新築・中古共に価格高騰していて、購入先を戸建住宅に変更する動きも出ているようです。

 

2010年を100とした東京都の不動産価格指数(国土交通省)では、マンションは200.8(2010年の約2倍!)戸建は128.5(約1.3倍)ということも影響しているかもしれません。

ただし、小幅とは言え多摩地区の戸建成約価格の下落は、戸建も選択肢になるけど立地はなるべく都心に近くが望まれているのかもしれません。

同じ東京都内でも地域により不動産価格は異なります。ご自身が居住する不動産ですので、様々な切り口で調査・観察しましょう。

【相続対策】土地分割する場合の注意点    2024年5月10日(金)

相続財産に占める土地割合が多いとき、土地を売却して財産を分割することが一般的です。代表的な注意点は下記のとおりです。

 

1)土地を相続人が分割して売却すると、宅建業法違反になることがある。

2)そのため、相続発生前に土地分割をして分筆登記しておく選択肢も有るが

 ①各敷地が建築確認取得できる接道を確保要(基本は4m幅以上の道路に2m以上接道が最低条件)。

 ②最低敷地面積を満たす面積以上で分割要(道路後退:セットバックに注意)。

 

不動産取引を業として行う(事業の反復継続)場合は宅地建物取引業の免許が必要です。つまり、分割して何度も不動産取引したら違反の可能性大。

そのため最適使用が住宅地で複数建築できる土地は、一括売却になることが多いです。しかし相続発生前に土地を分割して分筆登記をしておけば、A土地は長男へ、B土地は長女へ、C土地は次男へなどと計画を立てられ、相続で土地取得した長男は売却、長女は自宅建築、次男はアパート建築など選択肢が広がります。

実施するには他にも多数検討事項有ります。詳細はお問合せ下さい。

認知症基本法         2024年5月9日(木)

「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」通称「認知症基本法」が2024年1月に施行されています。

この法律の目的は、認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会(「共生社会」)の実現を推進すること(令和五年法律第六十五号、第一章総則(目的)第一条より一部抜粋)です。

 

この法律成立の背景には、2025年には高齢者の5人に1人が認知症患者の可能性がある、という現状があります。

認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らせるように7つの基本理念を掲げ、国や地方自治団体が行う共生社会の実現のための基本的施策を定めています。

国民の責務としては、認知症に関する正しい知識と認知症の人に関する正しい理解を深め、共生社会の実現に寄与するよう努めなければならない、とあります。

 

今は身近に感じられない人も「こんな社会環境ならば希望を持って人生を楽しめそう」と、自分が認知症になった時のイメージをするなど、関心を持つことから始めてみることが大切ですね。

【不動産売却査定】依頼前の必須チェック事項    2024年5月5日(日) 

弊社は東京都中心に近隣県も営業範囲としておりましたが、ほぼ一人で対応させて頂いてますため4月より少しエリアを狭め、あるポータルサイトの査定対象エリアも東京都の一部だけにいたしました。そんなこともあり査定に関するお話です。

 

一括査定サイトを利用される場合、依頼フォーム送信の前に以下のセルフチェックをお勧めします。

1)売る以外の選択肢(保有し続ける、売却時期を将来にするなど)はないか。

2)まずは不動産ポータルサイトを参考に自分で売れそうな価格を予想する。

3)①その価格で売れたら手元に残る金額はいくらか計算する②売却にかける期間を決める(いつまでに)③契約条件(古屋付き土地で売却も解体は買主にしてもらいたいなど)の設定をする。

 

査定依頼前に上記をチェックすることで、査定報告内容の理解度が格段に上がります。手残り額の目安は少しハードル高いかもしれませんが、この質問を査定の担当者さんにしてみることで、経験値や税金などのスキルもわかり依頼先の選別材料を得ることにもつながります。ぜひお試しください。

教育訓練給付制度      2024年5月2日(木)

雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とした給付制度です。給付金には①一般教育訓練②専門実践教育訓練③特定一般教育訓練の3種があり、厚生労働大臣の指定を受けた講座(15,000以上の講座があります)の受講料の支給給付を受けられます。受講料の①は20%②は50%③は40%が給付されます(上限額等の要件あり)。

 

教育訓練給付は雇用保険制度の一環です。受講開始日現在で雇用保険の支給要件期間が3年以上ある、または雇用保険に3年以上加入していて退職後1年以内である人が利用できます。当分の間は初回の適用に限り、雇用保険の支給要件期間が1年以上あれば、一般教育訓練給付金の給付対象となります。

 

同業者(というかお付き合いいただいている)の不動産業、建築業、FP、各士業の方たちは勉強熱心な方が多いです。それも皆さん楽しそうに学ばれていて、それぞれのお客様の問題解決をするスキルが加速度的に向上してる感じです。

教育訓練給付制度は学びを費用の部分で応援してくれる制度です。対象になる方はぜひ活用の検討をしてみてください。

空家対策特別措置法の改正内容         2024年4月28日(日)

使用目的のない空家は、この20年で1.9倍、今後も増加し、(1998年)182万戸→(2018年)349万戸→(2030年見込み)470万戸 と予測。除却等のさらなる促進に加え、周囲に悪影響を及ぼす前の有効活用や適切な管理を総合的に強化する必要。との理由から、改正空家対策特別措置法は2023年12月13日に施行されました(改正空家法)。

 

これまでの空家法ではそのままだと倒壊して周囲に大きな悪影響を及ぼす「特定空家」だけでしたが、管理が不十分で放っておくと特定空家になる恐れがある空家を「管理不全空家」と新たに定義し、市区町村長から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例(最大6分の1減額)の適用ができなくなります。

管理不全空家の判断は「建築物物の構造部材の破損、腐朽、蟻害、腐食」「清掃等がなされておらず、飛散のおそれがあるごみ等が敷地等に認められる」「排水設備の破損等」などから、各自治体が総合的に判断するとされています。

 

管理不全空家の認定はこれからですが、心当たりのある方は空家の所在する自治体や空家等管理活用支援法人へ連絡・相談し始めることが大切です。

【教育資金設計】教育ローンと奨学金     2024年4月27日(土)

教育資金は人生の三大資金のひとつです。こども保険・学資保険で準備をしていても、予定通りにならず教育費が不足する事態もあります。補う手段としては保護者が申し込む教育ローンと学生が申し込む奨学金があります。

 

教育ローン(ここでは日本政策金融公庫)は主に保護者に対して基本的に学生・生徒ひとりあたり350万円まで利用可能です。返済期間は最長18年(条件有)で金利は融資実行時の固定金利です。奨学金(ここでは日本学生支援機構)は学生本人に対しての貸与となり、月額1万円~12万円の利用が可能で返済は最長20年までです。詳細条件はそれぞれご確認ください。奨学金の利用者は、およそ学生の二人に一人といわれています。奨学金は学生本人の返済になるため、残債があると住宅ローンの借入額に影響することもあります。

 

教育費は幼、小、中、高、大と全て公立の場合で約822.5万円、全て私立で約2,307.5万円です(日本政策金融公庫HPより)。

令和6年度から少額資金制度が改正(授業料減免等の中間層への拡大)されていますので、利用を検討する際は最新情報にご注意ください。

不動産取引の相談件数(東京都)      2024年4月26日(金)

「不動産取引に関する相談及び宅地建物取引業者指導の概要 令和4年度」(東京都住宅政策本部民間住宅部不動産業課)によると、令和4年度の相談窓口及び特別相談室における相談件数は20,482件です。平成30年度から令和4年度までの過去5年間、毎年約2万件から約2万3千件の範囲で推移しています。そのうち不動産売買に関する相談は4,204件(面談相談86件、電話相談4,118)です。

相談内容は「重要事項説明」「契約内容」「契約前相談」「契約の解除」などの相談が上位を占めています。

 

不動産売買は複雑な手続きが多く、初めて聞くような専門用語などもあるため、取引にあたり不安に感じる消費者が多いのが実情だと思っています。年に数回は私たちが関わっていない取引の相談を受けることがあり、東京都の相談窓口をお伝えすることもあります。その都度、不動産取引に関わる仕事の責任の重さを再確認し、自分たちはお客様を不安にさせるような接し方をしていないだろうか、と話し合うようにしています。

 

住宅購入時の諸費用        2024年4月25日(木)

住宅購入時に必要な諸費用の支払いは、必ずしも同時期ではありません。例えば、一度だけかかる不動産取得税は購入後3~6か月後に納税通知が届きますし、火災保険・地震保険なども1年更新型であれば毎年の支払いが必要になります。これらの諸費用の見積もりや支払時期は不動産会社の担当者が教えてくれますが、住宅ローン利用の仕方などで、個別にそれぞれの費用の額も変動します。

 

目安としては、新築一戸建(建売)で物件価格の5~8%程度、既存戸建住宅で物件価格の6~10%程度です。

内訳は、固定資産税等清算金、登録免許税、司法書士手数料、火災保険・地震保険料、印紙税、ローン手数料、ローン保証料、抵当権設定費用、仲介手数料、適合証明手数料などです。また、購入時の諸費用とは別に、毎年かかる保有費用についても把握しておくことも大切です。購入後にかかる費用は、固定資産税・都市計画税、火災・地震保険料、建物維持修繕費などです。できれば購入後のファイナンシャルプランニングを行い、キャッシュフロー表の作成もご検討ください。

建築用(木)材の自給率は49.5%      2024年4月22日(月)

2021年からのコロナ禍で世界中にウッドショックが広まり、木材不足や価格高騰が起こり、輸入材の入手が困難になりました。それにより住宅業界では「外国産材より価格が高い」「必要なときに必要な量が確保できない」などの理由で敬遠されてきた国産材への代替が進んだそうです(林野庁「令和4年木材需給表」)。

2022年の建築用材の自給率は49.5%、木材全体では40.7%で2002年の18.8%(過去最低)から回復に転じているようです。

 

日本は国土の約2/3が森林面積です。率だけを見ればフィンランドの73.7%、スウェーデンの68.7%に次ぐ高さです。ちなみに木材の自給率はマレーシア341%、カナダ303%、スウェーデン139%、フィンランド139%です((一財)国土技術研究センター)。

国は、事業者と国や地方自治体が木材利用の促進に関する協定を結び木材利用に取り組む「建築物木材利用促進協定」を推進しています。建築用材は木材含水率管理や価格等の課題もあるようですが、森林面積の約40%が杉や桧の建築用材に適した雑木林が育つ人工林を保有する日本での林業・製材業の活性化が期待されています。

 

公認不動産コンサルティングマスターの資格で     2024年4月21日(日)

(公財)不動産流通推進センターが不動産コンサルティングに必要な知識・能力に関する試験を行い、不動産等に関する一定年数以上の実務経験等要件を満たした試験合格者を「公認不動産コンサルティングマスター」として認定しています。受験可能者は宅地建物取引士資格登録者、不動産鑑定士資格登録者、一級建築士資格登録者のみです。

 

認定者には、事業・実務、法律、税制、建築、経済、金融の知識・能力が必要で、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格とも相性が良いと感じています。

 

「わが国、唯一の不動産コンサルティングの資格」でもあり、宅建業務とは分離独立した業務として報酬受領(不動産コンサルティング料)が可能です。

そのため弊社は、単なる不動産取引を行うだけでなく、不動産が関係する相続相談や不動産有効活用の提案なども業務として可能になっています。

不動産の売却相談のお客様に売らない方法をアドバイスして「お宅は不動産屋ではないのか?」と不思議がる方がいらっしゃいますが、コンサル兼業で「最善を提案する」の実践を目指しています。

セーフティネット住宅の登録件数     2024年4月20日(土)

我が国では、住宅確保要配慮者(高齢者、障害者、子育て世帯等の住宅の確保に配慮が必要な方)が今後も増加する見込みですが、住宅セーフティネットの根幹である公営住宅については大幅な増加が見込めない状況にあります。一方で、民間の空き家・空き室は増加していることから、それらを活用した、住宅セーフティネット制度が2017年10月からスタートしました(国土交通省HP)。この制度は、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」に基づいています。

 

セーフティネット住宅情報提供システムによると、全国の住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅(セーフティネット登録住宅)の総登録件数 121,292 件、総登録戸数 902,245 戸、うち東京都51,932戸(2024年4月20日現在)となっています。

 

入居者の家賃負担軽減のための補助、入居時の家賃債務(保証料など)負担補助や賃貸物件オーナーが行うバリアフリー改修費への補助がある自治体もあります。今後、単身世帯の増加や持ち家率の低下などで、当制度への関心も高まると思います。ご興味ある方は一度調べてみてはいかがでしょう。

無電柱化の進捗率        2024年4月19日(金)

東京中心に神奈川、埼玉など様々な駅やバス停を利用しますが、駅前通りなどですっきりしていて綺麗だな~と感じる所は、ほぼ無電柱化されています。また、無電柱化された分譲地は印象が良い傾向です(物件ご案内時のお客様の反応による感想)。


無電柱化は良好な景観だけでなく、災害の防止、安全・円滑な交通の確保にもつながります。

主要都市の無電柱化率はロンドン、パリ、香港、シンガポールが100%、台北96%などです。国内では最も高い東京23区で8.2%、大阪市5.6%、名古屋市5.1%(国土交通省「無電柱化率調査」2020年度)です。

 

電柱は令和3年4月から12月の9ヶ月で、約3.3万本の電柱が増加していて、約8割が家屋新築等に伴う供給申込によるもののようです。「無電柱化の推進に関する法律」で新設電柱を増やさない方針ですが、供給エリアが拡大し続けるので困難な事のようです。

それだけに無電柱化された分譲地などでは査定時にプラス要因になることもあります。不動産探しの際、時には電柱にも注目してみてください。

【相続】戸籍全部事項証明書などの広域交付が始まりました 2024年4月18日(木)

相続税の申告期限は死後10か月以内と時間がありません。遺言書や遺産の確認とともに、法定相続人の確定も速やかに行う必要があります。それには故人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本が必要ですが、本籍地のある役所でしか発行できませんでした。転居を繰り返していた場合、戸籍の書類を集めるだけで何日もかかっていました。

 

令和6年3月1日に施行された、戸籍法の一部を改正する法律により、本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍全部事項証明書、除籍全部部事項証明書、改製原戸籍謄本を最寄りの市区町村の窓口で請求できるようになりました。これを「広域交付」といいます。欲しい戸籍の本籍地が全国各地にあっても、1カ所の市区町村の窓口でまとめて請求できます。

 

請求できるのは、本人、配偶者、父母や祖父母など(直系尊属)、子や孫など(直系卑属)です。その他の必要書類などは請求する役所にあらかじめ確認してください。

 

相続発生前にできることをやっておきたい場合には、手続きの時間短縮ができる、2017年創設の「法定相続情報証明制度」の活用もご検討ください。

建築協定 2024年4月15日(月)

建築協定とは、住宅地などの一定の区域内に権利をお持ちの皆さん自らが、建築物に関するルールを定めることができ、お互いがルールを守りあうことを約束する制度です。区域内の全員の合意と区長の認可をもって成立します。ただし、建築基準法で定められた基準を緩和するような内容の協定は、全員の合意があっても定めることができません。私的な契約と位置づけられ、協定者の皆さんで自主的な運営を行う必要があります。公法上の権利制限ではありません(目黒区役所HP)。

 

東京都における建築協定認可地区は令和5年3月31日現在で98地区(築面積100.16ha)あります(東京都整備局「建築統計年表」)。


建築協定が締結されると、その区域内における建築物の「外壁面から隣地境界線までの距離を1m以上とする」「土地の最小面積135㎡以上とし、細分割は不可」「地階を除く階数は2以下とする」「一戸建個人専用住宅とする」などの「敷地」「位置」「構造」「用途」「形態」「意匠」「建築設備」に制限がかかります。建築基準法より厳しくなりますので、建築計画に支障がないか詳細の確認が必要です。

【戸建住宅】床面積や間取りに変化も     2024年4月14日(日)

2024年3月の東京都中古戸建の在庫(販売中物件)は6,014件(前年比+20.6%)で平均建物面積106.04㎡、平均築年23.53年です。

新築戸建は在庫4,859件(前年比+21.5%)で平均建物面積93.57㎡です(レインズ市況データより)。

一年前より在庫が増加していますが、今回は建物面積から推測した間取りについてです。既存住宅も新築住宅も約32坪~28坪なので、その間取は3LDK~4LDKと推測できます。

3~4LDKが多いのは家族構成3人~5人ほどの子育て世帯に向けて間取りプランをしているからだと考えられます。

 

2033年に1世帯あたりの平均人数が1.99と初めて2人を下回るそうです(日本の世帯数の将来推計(令和6年推計)国立社会保障・人口問題研究所)。

単身世帯の増加が原因のようです。そうすると、戸建住宅の間取りプランにも2LDKで十分などの変化があるかもしれません。

 

ちなみに中古マンションでは在庫25,118件(前年比-6.1%)で平均専有面積51.36㎡、平均築年28.74年です。平均専有面積が小さめなのは戸建と異なり投資物件としての1Rマンションも多数流通や単身世帯用分譲商品等も多いためと思われます。

不動産ID          2024年4月13日(土)

我が国の不動産には共通のID(番号)がありません。住所・地番の表記ゆれにより、不動産関連情報の提携・蓄積・活用における課題になっています。

 

そこで「不動産ID」のルールを整備し、不動産関連情報の連携・蓄積・活用や消費者への的確な情報発信を促進することで、不動産業界全体の生産性及び消費者利便の向上を図るとともに、不動産DXを強力に推進する上での情報基盤整備の一翼を担う。電気・ガス・水道・通信等のインフラ、まちづくり、物流分野等のより広い社会における活用も期待。と国土交通省「不動産IDルール検討会 中間とりまとめ概要」にあります。

 

不動産売買時、対象不動産の各種調査は複数の役所窓口等で行う必要があり、また過去の住宅履歴情報(売買価格など)が即時に取得できれば不動産業者の生産性向上になりそうです。一方で、情報の管理方法や個人情報保護法との関係の周知など留意点もあります。

実際の運用時期は試験運用後のようですが、ID情報を不動産分野以外にも活用できて、より生活しやすい社会環境の実現を期待したいですね。

【人生100年時代】60代後半の就業率は半数以上     2024年4月12日(金)

あなたは何歳まで働きたいですか?私は、ミスが増えたりしてご迷惑をかけるようになるまでは、年齢に関係なく働きたいと願っています。しかも実務の現場で。

先日、20年以上前にご自宅建築をお手伝いした方にお会いしました。ご自宅のすぐそばで売却査定の依頼があり、その帰りだったのですが、「まだ現役なの⁈」と驚かれました。瞬時に、「その年齢でまだ現場に出ているの?」と「その年齢で引退していないの?」という2つの意味が含まれていると思いました。

 

内閣府「令和5年版高齢社会白書」に就業率(15歳以上人口に占める割合)の推移のデータがあります。65~69歳50.8%、70~74歳33.5%、75歳以上でも11.0%の方が働いているとあります。10年前と比較してもすべての年代で就業率が上昇していて、特に65~69歳は13.7%の上昇です。

 

健康寿命も延びて働ける身体があり、人生100年時代に備え収入をできるだけ長く得る、もしかしたら人手不足でやめられないという場合もあるかもしれません。多様な働き方ができる時代は良いですね。最近、優先する仕事はまず健康維持なのかも、と思い始めています。

建物古くても固定資産税は0円になりません    2024年4月11日(木)

「家屋(木造建物)が古い(築後30年以上)のに家屋の固定資産税が0円にならないのはなぜ?」と質問頂きました。戸建住宅査定の際、築30年以上の木造建物は価格を付けるのが難しく、むしろ土地として売却となった場合は解体費分がマイナスになる可能性もあるという話の流れでのことです。

 

お答えとしては、家屋の固定資産税を決定するための固定資産評価額は築年数が古くなっても0円にはならないからです。

【固定資産評価額×1.4%=固定資産税額】なのですが、この建物の評価は再建築費を基準として評価する方法を採用しています。この方式は、評価の時点において、評価の対象となった家屋と同一のものをその場所に新築するものとした場合に必要とされる建築費を求め、その家屋の建築後の経過年数に応じた減価を考慮し、その家屋の価格を求めるものです。構造及び用途等の区分に応じて、下限(最終残価率)が2割として設定されています(東京都主税局のホームページより要約)。

つまり計算で求められた額が0にはならないので、基本的には建物固定資産税も0にはならないのです。

持ち家比率の全国平均は61.2%      2024年4月8日(月)

2018(平成30)年10月1日現在の我が国の総住宅数は6,240万7千戸あります。

居住世帯のある住宅(以下「住宅」)は、持ち家が3,280万2千戸で住宅総数に占める割合(持ち家比率)は61.2%です。

借家は1,906万5千戸で住宅総数に占める割合は35.6%です。総住宅数には空き家を含んでいます「平成30年住宅・土地統計調査」(総務省統計局)。

尚、年齢が高くなるほど持ち家率は高くなります。

 

上記、持ち家比率は全国平均の値です。都道府県別では持ち家比率が一番高いのは秋田県(77.3%)、富山県76.8%、山形県・福井県(74.9%)と続きます。持ち家比率が低いのは沖縄県(44.4%)、東京都(45.0%)です。沖縄県は30代から40代の世帯の持ち家率が全国に比べて約20%低いことを、東京都は住宅価格の高さを持ち家率の低さの原因として考えられているようです。

 

また、人口推計(2020(令和4)年10月1日現在「総務省統計局」)によると、15歳未満人口の割合が最も高いのは沖縄県(16.5%)。15~64歳人口の割合が最も高いのは東京都(66.1%)。65歳以上人口75歳以上人口の割合が最も高いのは秋田県(それぞれ38.1%、19.9%)というデータも持ち家率と関係がありそうですね。

土地と建物では1坪の大きさが違う? 2024年4月7日(日)

注文建築ご希望のお客様に売地をご紹介する際、イメージをふくらませていただく為に建物参考プランを作成することがあります。

以前「土地の坪数の計算方法で建物を計算すると参考プランの坪数にならないけど、なぜ?」という、なかなかレアなご質問をいただいたことがあります。

 

100㎡の土地の坪数は、100×.03025で計算します。土地は100㎡=30.25坪です。0.3025がどこから出てきたかというと、1坪は1.818181m×1.818181mで3.30578㎡。1㎡÷3.30578=0.3025。1㎡は0.3025坪だからです。この計算式で㎡から坪に換算しています。

 

建物の設計時に使用する基準寸法(モジュール)は尺貫法を使う場合の1坪は、1.82m×1.82mで3.3124㎡です。あれ?土地と値が違いますね。

新築戸建の不動産広告には建物の坪数も土地の計算方法で算出していることが多く、1階と2階あわせて99.372㎡の場合、30.06坪と表記されていることが多いです(99.372×0.3025)。99.372㎡(30坪×3.3124)は0.3019をかけると30.00坪です(1÷3.3124)。

この時は、建物の坪換算を0.3019でしていました。ちょっと細かすぎる話でした。

 

建築のモジュールには、メーターモジュール(1,000mm)などもありますので、ご興味あればぜひ深堀してみてください。

消費者契約法と宅地建物取引業法との関係 2024年4月6日(土)

消費者契約法は、情報の質、量、交渉力で事業者よりも劣る消費者の利益を保護するために定められました。不動産取引にも適用されます。消費者保護の手段として、消費者と事業者との間の契約において、事業者の一定の行為によって消費者が誤認したり、困惑したりした場合にその契約を取り消すことができるなどとしています。

 

消費者と事業者との間で締結される契約は、不動産業者が売主となり、マンション・一戸建住宅・宅地を法人でない個人の一般顧客に分譲する契約や、賃貸マンション・アパート・貸家の経営者が個人である賃借人と締結する賃貸借契約などです。

 

契約が取消しになる例は、①不実告知による取消し②断定的判断の提供による取消し③不利益事実の不告知による取消しなどがあります。

 

民法と商法以外の法律と消費者契約法が適用される場合には、消費者契約法以外の法律が優先されることになっています(消費者契約法第11条第2項)。宅建建物取引業法と消費者契約法が競合する場合、原則として、宅地建物取引業法が優先して適用されることになります。

日本の社会保障制度      2024年4月5日(金)

厚生労働省のHPに『社会保障制度は、国民の「安心」や生活の「安定」を支えるセーフティーネット。①社会保険②社会福祉③公的扶助④保健医療・公衆衛生からなり、人々の生活を生涯にわたって支えるものである。』とあります。

 

①社会保険(年金・医療・介護)…医療保険、年金制度、介護保険など

②社会福祉…社会福祉、児童福祉など。

③公的扶助…生活保護制度。

④保健医療・公衆衛生…医療サービス、保健事業、母子保健、公衆衛生など。

 

先日成立した2024年度の一般会計予算は112兆5717億円。うち社会保障関係費は37兆7193億円と過去最高です。約1/3が社会保障関係費です。

社会保障制度の維持にこれだけの予算をかけていますが、社会保障制度の内容を詳しく知らない方が多すぎるように思います。例えば高額医療費制度や傷病手当金、遺族年金制度などなど。知識があれば入る保険も掛ける保険金も変わります。ということはファイナンシャル・プランも変わります。基本的に社会保障制度は申告制なので、まずは自分に該当するものがないか調べてみてください。

建物状況調査に関する法改正     2024年4月4日(木)

既存住宅売却時、媒介契約書に建物状況調査(インスペクション)を実施する者のあっせんの有無を記載します。

法改正が行われ、2024年4月1日から宅建業者が建物状況調査をあっせんしない場合は、その理由を記載する事になりました。

 

建物状況調査とは、既存住宅状況調査技術者研修を修了した建築士が実施するもので、調査対象部位は建物の構造耐力上主要な部分及び雨水の流入を防止する部分です。

売主からすると、調査費用がかかる(買主が費用負担の場合もあり)のと、調査により建物の不具合が発見されることにより建物価格が下がってしまう懸念などから、消極的になってしまうこともあるようです。

 

しかし、調査住宅の取引は取引後のトラブル発生を抑制することにつながります。買主は、調査結果を参考にリフォームやメンテナンスを行え、さらに一定の条件を満たせば既存住宅売買瑕疵保険に加入可能なこともメリットです。

 

【相続時精算課税】使い勝手向上でも注意点あり       2024年4月1日(月)

2024年1月から相続時精算での生前贈与が改正されています。贈与時に税金が発生しない制度は2種あります。

①贈られる額が一人につき毎年110万円まで課税されない暦年贈与。

②累計2,500万円に達するまで課税されない相続時精算。

2つは併用できず、一度相続時精算を選んだら暦年贈与には戻れません。

 

昨年までの相続時精算課税制度は、贈与税の基礎控除が受けられない、贈与のたびに申請が必要などであまり使われてきませんでした。

令和3年分の贈与件数443,429件のうち暦年課税分401,007件、相続時精算課税分44,167件(財務省「相続税・贈与税に係る基本的計数に関する資料」)。

 

改正後は相続時精算でも毎年110万円の基礎控除が受けられるようになり、控除された価額は相続時の財産価額からも除かれます。

 

相続時精算を利用するにあたっての注意点は「この制度で宅地を贈与された場合は小規模宅地の特例の適用が受けられない」「一度この制度を選ぶと暦年課税に戻れない」などです。

相続対策は状況や目的により選択が異なりますので、ご自身で判断せず専門家へ相談してください。

不動産仲介と不動産コンサルティングの違い 2024年3月31日(日)

不動産の仲介とコンサルティングの違いは何でしょう。両者では、不動産取引における役割やサービス内容が異なります。仲介は売買などの具体的な取引の手続きや交渉を行い、不動産コンサルティングは戦略的なアドバイスや専門知識を提供します。

 

仲介は、取引を仲介する役割を果たします。交渉や契約締結の支援を行い、報酬は仲介手数料として受け取ります。

コンサルティングは、売買・建替・土地活用等における戦略的なアドバイスや専門知識を提供します。市場調査や分析、不動産売却か建替かのアドバイス、資産評価、ポートフォリオ管理、不動産開発プロジェクトの計画や実行に関する助言などを行い、取引の直接的な仲介は行いません。基本的にコンサル内容の見積もり→業務委託契約→成果物の受け取りとなり、報酬は時間単位やプロジェクトごとのコンサルタント料となります。

 

弊社は、不動産仲介と不動産コンサルティング、そしてFP相談も承っています。「どう方向性を決めたらいいか、わからないんだよね」という方、まずは様々な選択肢を知ることから始めましょう。ご連絡は問い合わせフォームからメールでお願いします。

2022年の土地売買は約143万件      2024年3月30日(土)

2022年1年間の土地売買件数は約143万件、取引面積は約1,566k㎡です(2023年土地保有・動態調査(2022年取引分)国土交通省2024年3月27日)。

取引件数の買主の構成比は、個人60.4%、法人34.8%、国・地方公共団体4.8%で、売主の構成比は個人61.8%、法人36.8%、国・地方公共団体1.4%でした。

個人の土地取引で買主の最多年代は30~39歳、売主は60~69歳が最多です。

 

目的別では、購入目的の上位から「自分(または親族)が住む建売住宅(の敷地)を購入」「自分(または親族)の住宅建設のための更地購入」「自分(または親族)が住むマンション(の敷地)を購入」と続き、売却目的では多い順に「管理できなくなったため売却」「買主または仲介者から希望されたため売却」「日常の生活費に充てるため売却」となっています。

 

個人の取引で売却の件数は約143万件のうち61.8%なので約88万件ですが、「買主または仲介者から希望されて」が約16万件と約5件に1件あることに驚きました。「売り物件募集中」のチラシや手紙が良くポストに入る訳も納得できますね。

ライフイベントの費用             2024年3月29日(金)

自分自身や家族の、現在から将来にわたる生活設計をライフプランと呼んでいます。ライフプランを実現するために経済的(金銭的)な備えを数値化したものをファイナンシャル・プランといいます。住宅購入や老後の生活費などライフイベントにかかる費用を想定したライフプランが必要です。

 

おもなライフイベントにかかる費用の目安は次のとおりです(日本FP協会参考資料)。

・結婚費用 約304万円(挙式、披露宴)

・出産費用 約47万円

・教育資金 約1,002万円(子供1人当たり、大学のみ私立の場合)

・住宅購入費 約3,605万円(建売住宅) 約4,528万円(マンション)(全国平均)

・老後の生活費 約38万円(夫婦でゆとりある生活費)

もちろん想定する内容や居住地域によっても大きく価格変動します。そのほかにも、海外旅行費や自動車購入費、介護費用といった項目も必要に応じて計上します。

 

人生100年時代といわれるようになりました。人生経営する期間も長くなる可能性があります。かた苦しく考えず、まずは楽しくライフプランを立ててみてください。

【地価公示】一物四価の基準、どう決まる?     2024年3月28日(木) 

全国の標準地26,000地点の今年1月1日時点の公示地価が3月26日に国土交通省から発表されました。

他の三価(相続税評価額(路線価)、固定資産税評価額、基準地標準価格)の基準になる価格であり、毎年注目されます。

東京圏の住宅地は3.4%上昇ですが、そもそも公示地価にはどんな目的があり、誰がどうやって決めているんでしょう?

 

地価公示法の第一条(目的)によれば、「都市及びその周辺の地域において、標準地を選定し、適正な地価の形成に寄与することを目的とする」(一部抜粋)とあります。土地売買の目安額を公示することですね。

1標準地を2名の不動産鑑定士が更地(建物があっても、ないものと仮定)として鑑定評価したものを、国土交通省に置かれた土地鑑定評価委員会が審査し決定するとあります。

鑑定評価の方法として地価公示法の第四条に「近傍類地の取引価格から算定される推定の価格」(一部省略)としています。

実際の土地取引にも指標となりますが、当然のことながら上昇率などを鵜吞みにせず、その時点での鑑定や査定を依頼することが必要だと考えています。

 

健康寿命は平均寿命と比較しても伸びが大きい     2024年3月25日(月)

「人生100年時代らしいから、心身ともにできるだけ長く健康でいたい!」というお声を本当によく聞くようになりました。自分にはもう少し先の感覚かなと思っていましたが、最近少し体調を壊してから、とてもとても共感しております。そんなことから、健康寿命は何歳くらいなのかと思い調べてみました。

 

「令和5年版高齢社会白書(内閣府)」によれば、健康寿命は、令和元年時点で男性が72.68 年、女性が75.38年です。それぞれ平成22年と比べて延びていて(平成22年→令和 元年:男性2.26年、女性1.76年)、同期間における健康寿命の延びは、平均寿命(令和元年時点で男性が81.41歳、女性が87.45歳)の延び(平成22年→令和元年:男性1.86年、女性 1.15年)を上回っているそうです。それは良い傾向ですね。

 

ちなみに、健康寿命とは、健康上の問題で日常生活に制限のない期間の平均です。健康寿命が延びている理由のひとつは高年齢の方の運動習慣の向上にあるようです。いつまでも、心と身体そして経済面でも健康な状態を目指したいですね。

「相続土地国庫帰属制度」開始から1年、実績は?       2024年3月24日(日)

令和5年4月27日に開始された、相続土地国庫帰属制度。令和6年3月21日に実績の速報値が法務省から発表されました。

建物がある土地、境界が明らかでない土地、一定の勾配・高さの崖があって管理に過分な費用・労力がかかる土地などなど、引き取ることができない土地の要件(却下事由・不承認事由)が複数あり、実績が気になっていました。

 

令和6年2月29日現在の申請件数は1,761件です。地目別では田・畑:670件、宅地:655件、山林:255件、その他:181件。

そのうち帰属件数は総数150件(申請に対し8.5%)。宅地:66件、農用地:33件、森林:5件、その他:46件が承認されたようです。

 

相続した土地のご相談が増えていますが、「この制度って本当に引き取ってくれるのですか?」と良く聞かれます。今回の発表で参考ではありますが、実績をお答えできるようになりました。

申請できる人の要件は、「相続などによって土地を取得した人」限定ですが、時期の制限はなく数十年前に相続等で取得した土地も対象です。この制度を利用するには費用も必要ですが、お悩みの方は調べてみる価値があると思います。

 

【フラット35】子育てプラス 2024年3月23日(土)

日本銀行がマイナス金利を解除して利上げしたことにより、変動金利の住宅ローンも金利上昇が予測されています。

 

では、固定金利はどうなんでしょうか。固定金利といえば、まず思い浮かぶのが住宅金融支援機構のフラット35ですが、『子育てプラス』という金利優遇の新メニューが今年の2月より始まっています。

18歳未満のこどもの人数に応じたポイントにより、当初5年間~10年間の金利を引き下げる支援策です。ほかの金利引き下げメニューとの併用も可能です。

例えば、『若年夫婦またはこども1人の家族でZEHかつ長期優良住宅を取得する場合』子育てプラスで1ポイント、ZEH(住宅性能)で3ポイント、長期優良住宅(維持保全)で1ポイントの合計5ポイント。1ポイント当たり金利優遇5年間0.25%ただし4ポイントが上限で0.25%×4ポイントの1.0%の金利優遇。残りの1ポイント(0.25%)は6年目から10年目に金利優遇となります。

 

住宅ローン固定金利か変動金利か?この20年程、結果的には変動金利型が有利でしたが、今後変わる可能性もあります。選択にあたっては様々なケースでのシミュレーションをし、納得のうえで判断されることが必要です。

 

土地売買契約前の地盤調査 2024年3月22日(金)

住宅建設のための土地売買契約時、なぜ事前に地盤調査はできないのですか?と聞かれることがあります。売主の承諾で地盤調査を行うことは可能ですが、一般的には売買契約前に地盤調査を行うことはありません。軟弱地盤だった場合、地盤改良工事費用分を減額交渉に使われる可能性を、売主は排除したいのが主な理由です。

そのため、資金計画書には軟弱地盤に備え地盤改良・補強工事の予算取りをします。

 

土地売買契約書には、下記のような特約条項が入ります。

『対象不動産土地に、建物を建築する際、建築を依頼する住宅メーカーから地盤・地耐力調査を要請されることがあり、その結果によっては地盤補強工事等が必要となる場合があります。地盤補強工事等については、建築する建物の構造・規模・重量および依頼する住宅メーカーにより異なります。また地盤補強工事等については費用が発生します。』

 

実際には地盤調査をしないと確定はできませんが、地盤の情報収集方法は様々ありますので、土地購入エリアがどんな地盤なのかも忘れずに調べてください。

宅建士は5人に1人必要、その範囲は?    2024年3月21日(木)

不動産会社(宅建業)に従事する者の5人に1人は専任の宅地建物取引士である必要があります。ということを聞いたことがあるかもしれません。ここだけ聞くと、あとの4人は宅建持ってないの?と思われるかもしれません。

 

「業務に従事する者の範囲について」が国土交通省「宅地建物取引業法・解釈について」で説明されています。宅建業のみを営む場合をみてみますと

 

~(1) 宅地建物取引業のみを営む者の場合については原則として、代表者、役員(非常勤の役員を除く。)及びすべての従業員等が含まれ、受付、秘書、運転手等の業務に従事する者も対象となるが、宅地建物の取引に直接的な関係が乏しい業務に臨時的に従事する者はこれに該当しないこととする。~

 

宅建業専業なら、間接部門の従業員も含めた5人に1人は専任の宅建士が必要です。不動産仲介業は小人数の会社が多く、代表者含め10人の会社なら2人の専任宅建士が必要です。宅建資格保持でもかならずしも専任になる必要はありません。でも営業担当は全員(新人除く)が保有必須資格であってほしいと思っています。

令和6年度は固定資産評価替えです       2024年3月18日(月)

固定資産である不動産を賦課期日(1月1日)に所有している個人や法人に、固定資産の所在地の市町村(東京23区は東京都)が課税する税金が固定資産税です。

固定資産の評価替えとは、総務大臣が定めた「固定資産評価基準」に基づき、3年に一度、土地・家屋の評価を見直すことをいいます。令和6年度は評価替えの年です。

なぜ3年に一度かというと、「膨大な量の土地、家屋について毎年度評価を見直すことは、実務的には事実上不可能であることや、課税事務の簡素化を図り徴税コストを抑える必要もあること等から(武蔵野市HP)」です。

 

一定の期間(武蔵野市では4月~5月)に納税者は縦覧帳簿を見ることができます。これは、自分の土地・家屋と他の土地・家屋の価格を比較し、固定資産課税台帳に登録された価格が適正であるかを判断するための制度です。価格等に不服がある場合は、不服審査の申し立てをすることもできます。縦覧する際は、市役所の資産税課などに必要な持ち物などを確認してから行くようにしてください。

遺言書の作成件数       2024年3月17日(日)

民法第961条に「十五歳に達したものは、遺言することができる」とあります。では、実際に遺言書を書いている人ってどのくらいなのでしょう。

「我が国における自筆証書による遺言に係る遺言書の作成・保管に関するニーズ調査・分析業務報告書」(平成29年度法務省調査)に「自筆証書遺言・公正証書遺言の経験」についてのアンケート結果がありました。回答者数7659人(55歳以上)です。

 

それによると、公正証書遺言を書いたことがある3.1%、自筆証書遺言を書いたことがある3.7%だそうです。

日本公証人連合会のHPでは公正証書遺言の作成数を公表していて、平成28年は110,191件です。

自筆証書遺言は実数確認できませんので参考数ですが、家庭裁判所での遺言書の検認事件件数、平成28年は17,205件です。

平成28年の相続発生件数は1,296千人です。時期のずれはありますが、約10人に1人が遺言書を書いていたこととなります。

 

公正証書遺言の作成数は年々増えていますが、令和4年は111,977件なので微増です。それに対して相続発生件数は令和4年で1,582千人で286千人増加です。

円満な相続のためにも、遺言書作成を検討してみてはいかがでしょうか。

【不動産売買】契約不適合で売主が負担する責任    2024年3月16日(土)

令和2(2020)年4月1日施行の改正民法で、重要な改正点の一つが、瑕疵(かし)担保責任から契約不適合責任へ転換されたことです。

改正前は売買の目的物が通常有すべき品質や性能を欠くことを瑕疵(かし)と呼んで、隠れた瑕疵があった場合に売主が瑕疵担保責任として損害賠償や解除の責任を負うとされてました。

改正後は売買の目的物を現況で引き渡すだけでは不完全で、売主は契約の内容に適合したものを引き渡す契約上の債務を負うという考え方を前提に制度が改められました。

 

目的物が「種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないもの」であるとき、買主は売主に対し①追完請求②代金減額請求③損害賠償請求④契約解除の権利ができるとされました。売主が担保責任を負わない旨の特約は民法上は有効ですが、売主が知りながら買主に告げなかった事実については免責されません。売主としては、認識している建物の不具合について重要事項説明書や物件状況等報告書に明確に記載することが、後の紛争を予防するために重要です。

【住宅ローン】5年・125%ルールがないローン増えてます 2024年3月15日(金)

変動金利の住宅ローンには「5年ルール」と「125%ルール」があります。

金利は半年に一度見直し、金利上昇で返済額も増えます。ですが、5年間は返済額を変えないのが「5年ルール」です。

金利上昇で返済額不足すると次の5年間の返済額増加です。でも、毎月10万円の返済が毎月15万円になると困ります。そこで、どれだけ金利上昇してても次の5年間の毎月返済は最大で1.25倍までが「125%ルール」です。これなら10万円が12.5万円がMAXですから安心でしょ、というものです。

 

数年前から、このルールがない住宅ローンが増えています。金利上昇があればすぐに返済額も増える、1.25倍なんて上限も設けないよ、というものです。

5年・125%ルールには、元金返済が遅くなったり未払い利息が発生する場合もある、というデメリットもあります。それなら元金返済も早く進めて金利含めた返済額も増えないようにしたほうが良い、という理由のようです。

 

住宅ローン金利上昇もそろそろかもしれません。住宅購入時は検討→決定する事が山積みで大変ですが、仕組みを理解して選択するようにしましょう。

相続税の納税者は33万人   2024年3月14日(木)

令和4年分の被相続⼈数(死亡者数)は 1,569,050 ⼈(前年対⽐ 109.0%)でした。そのうち相続税の申告書の提出に係る被相続⼈数は 150,858 ⼈(同 112.4%)(国税庁:令和4年分相続税の申告事績の概要(令和5年12月))。

 

課税割合は前年(令和3年)の9.3%→9.6%に増加しています。ちなみに東京都に限ると課税割合は18.1%(令和3年分)となっていて、相続税がかかるのは遺産が多い一部の人たちという認識は誤りであることがわかります。

 

相続税の納税者である相続人数は329,444人で、相続人1人当たりの相続税額は1,855万円だそうです。

 

被相続人数(死亡者数)は平成25年の約127万人→令和4年の約157万人。相続税がかかる人数はH25が約5.4万人(4.3%)→R4年は15.1万人(9.6%)に増加しました。

 

相続財産の金額の構成比は、現金・預貯金等が34.9%、土地が32.3%、有価証券16.3%、家屋5.1%です。

 

国立社会保障・人口問題研究所による将来人口推計によると、死亡者数は2040年に167万人でピークを迎え、その後も2070年頃まで年間150万人以上だそうです。

相続の対策は認知機能の衰えがあると自らの判断で決定できないこともあります。心身ともに元気なうちからの準備が必要です。

 

【戸建住宅】販売在庫が2年前から倍増  2024年3月11日(月)

2024年1月度の中古戸建住宅の流通データから一部をご紹介します(公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)月例速報)。

 

首都圏(1都3県)の新規登録件数は5,972件で前年同月比プラス25.2%の大幅増で、13ヶ月連続で前年同期を上回っています。

在庫(販売中物件)数は20,654件で前年比プラス35.0%とこちらも大幅増で、17ヶ月連続増です。2022年1月は在庫数が約10,000件でしたので2年で倍増したことになります。

 

東京都に限定しても、新規登録件数は1,763件で前年比プラス14.6%です。在庫は6,049件で23年1月度の4,774件から14.2%増加でした。

東京都の中古戸建住宅の成約数は1月度で300件、平均価格5,607万円、平均土地面積103.03㎡、平均建物面積100.08㎡、平均築年数19.52年でした。

 

局所的には例外もありますが、在庫件数が増えると、販売価格は全体的には下げ傾向となります。

中古戸建の成約までに要する期間は平均約3ヶ月ほどです。

これから売却をお考えの方は、いたずらに弱気な価格で売り出す必要はありませんが、物件エリアの動向の見極めが必要です。

【建築】居室の平均天井高      2024年3月10日(日)

居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のため継続的に使用する室、これが居室の定義です。そして居室は平均天井高が2.1m以上なくてはなりません。納戸は居室ではないので(非居室)天井高が2.1mに満たなくても良いことになっています。

 

居室でなく納戸でもなく、床面積に算入しなくても良いのが小屋裏収納や床下収納です。これらは内法(天井までの高さ)を1.4m以下にすることと、小屋裏収納を設置する階の床面積の2分の1未満であることなどの要件があります。

また、小屋裏収納へ上るのも常設の階段で良い場合と、梯子でなければならない場合と行政により異なります。

 

「小屋裏収納の天井高が1.4m以上あるため本物件は容積率超過の可能性があります」という戸建住宅の販売図面を見たことがあります。この場合は小屋裏収納の面積が床面積に算入されるので、この部分にも固定資産税がかかります。そして違反建築扱いになれば売却にも影響します。小屋裏収納の天井高が低いのにも意味がありますのでご注意ください。

公的年金の受給額        2024年3月9日(土)

高齢者世帯の平均総所得は318.3万円。うち公的年金・恩給の占める割合が62.8%(199.9万円)です。所得が公的年金・恩給のみの高齢者世帯は44.0%です(厚生労働省「2022(令和4)年国民生活基礎調査」)。

 

公的年金・恩給以外の所得は稼働所得80.3万円、企業年金・個人年金など9.0万円、財産所得(利子、配当、賃貸料等)17.2万円となっています。

 

公的年金の受給開始は原則65歳からですが、60歳以降で75歳までなら受け取り開始時期を選べます。65歳より前に受け取る場合は1ヶ月繰り上げるごとに0.4%減となり、60歳から受け取るなら65歳時の76%に減額です。逆に繰り下げた場合は1か月あたり0.7%増額で、70歳から受け取りなら65歳時の142%、75歳からなら184%になります。

なるべく長く働き、公的年金受給を繰り下げるのが良さそうにも見えますが、受け取る額が増えると社会保険料や税金も増える可能性があるので、試算するなどし納得の上で受給開始時期を選ぶようにしましょう。

2040年まで人口増加するのは東京都だけ     2024年3月8日(金)

人口動態は地価や家賃などの不動産価格にも大きな影響を与えます。

2023年の出生者数は75万人で自然減は83万人です。

全国的に人口は減っていきますが、東京都だけは2040年代まで人口増が続くと推計されています(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」)。

 

2020年の人口を100とした場合、東京都の人口は2040年頃に最大で103.2です。東京都以外の道府県は2025年の国勢調査時には全て人口が減少となるようです。

当然、東京都でも人口増加する区市町村もあれば、減少していく区市町村もあります。

2040年に人口増加を予想されているのは、中央区、千代田区、港区、文京区などです。減少するのは江戸川区、葛飾区、足立区、荒川区などです。

多摩地区では増加が稲城市、武蔵野市、調布市などで、減少は奥多摩町や青梅市などです。

 

マイホームも投資用不動産にしても購入する時は、いつか売却するかもしれないという視点も必要です。将来の不動産価格のヒントになり得ますので、お探しまたはお住まいのエリアの人口動態もチェックしてみてください。

 

空家を相続予定 事前にやっておきたいこと       2024年3月7日(木)

相続開始し相続税を納付するまでの時間は10ヶ月しかありません。

相続した空家を売却した資金で納税をお考えの場合、以下の事前準備をしておくことをお勧めします。

・確定測量

・現状建物に法令違反がないか確認

・現在の所有者と登記が合致しているか確認

・建物内外の断捨離

・ご近所さんとの良好な関係を維持

・空家に係る特別控除の適用可否確認

 

これらができていればすぐに売却活動に入れます。上記で要する時間が読みにくいのは「確定測量」です。敷地に接している隣地所有者との境界確認が必要ですが、必ずしもお隣に居住しているとは限らず、その場合は現地まで来てもらう必要があります。日程調整であっという間に時間が過ぎます。また、公道に接している場合は行政との立ち合いが必要になるときもあります。こちらも場合によっては数か月かかります。

 

様々な制度が関係しますので、状況により事前準備項目も増減します。ご自身の場合はどうなのか?の確認をしておくことをお勧めいたします。

 

財産管理委任契約と任意後見契約(移行型)     2024年3月4日(月)

2030年には65歳以上の20.2%(約5人に1人)が認知症になるとの将来推計があります(令和5年版 厚生労働白書 認知症の人の将来推計)。

認知症が進行し意思能力不十分と診断されると、預金口座の管理や不動産の売買契約、施設入所の手続きなどができなくなる可能性があります。

その段階では、本人に代わって契約行為などを行う法定後見人制度の利用が一般的です。法定後見人は本人の財産の保全・管理を目的とするため自由に財産を使うことができなくなります。

 

そこで、元気なうちに配偶者や子どもに財産管理委任契約と任意後見契約(移行型)の締結をするという方法があります。

ポイントは認知機能は問題ないが身体的理由から財産管理を受任者に依頼し、認知機能低下時に任意後見に移行することで、自分の意向が反映されやすいことです。

 

注意点もあります。財産管理委任契約に対応していない金融機関がある、財産管理の受任者以外の親族(推定相続人)から疑念を抱かれるなどです。

制度をよく理解したうえで、関係する方にも納得してもらっておくことが必要です。

 

 

定期借家契約へ切り替えできる?     2024年3月3日(日)

アパートオーナーの方から、新築から30年経つのでそろそろ建替えを考えているが、普通借の契約を定期借家契約(定期建物賃貸借)に切り替えることは可能?という質問がありました。

定期借家契約の特徴は更新がなく契約期限で確定的に終了することです。一方、普通賃貸借契約は正当理由がなければ更新を拒むことができません。建物の老朽化は正当理由と認められることが少なく、結果的に正当理由を補完する意味合いの立ち退き料を賃借人に支払い退去してもらうのが一般的です。

定期借家契約にできれば契約期限で必ず退去してもらえますので、今すぐではないけど数年後に建て替えなど検討している場合に質問されることがあります。

 

「定期借家に切り替えができる場合とできない場合がある」が質問への答えです。2000(平成12)年3月1日に借地借家法の一部改正があり、その時に定期借家契約ができました。

2000年3月1日以前の賃貸借契約は切り替えができず、それ以降の賃貸借契約は貸主・借主の合意で定期借家契約に切り替えることもできる、ということになります。

【耐震診断】長く住み続けるために 2024年3月2日(土)

木造の一戸建て住宅で、2000(平成12)年よりも前の建築でしたら、まずはご自身で「誰でもできるわが家の耐震診断」(監修 国土交通省住宅局 / 編集 一般財団法人 日本建築防災協会)の診断テストをやってみてください。こちらは簡易的なものですので質問に答える資料がない等、気になったら安心・安全に暮らしていくためにも専門家にご相談ください。

 

専門家が行う診断は「一般診断法」と「精密診断法」があります。自治体による耐震診断や耐震補強工事の補助も用意されている場合が多いので、一度お住まいの自治体へ確認してみてはいかがでしょうか。また、耐震補強工事をを行うと税制や火災保険の減額などが受けられることもあります。

 

旧耐震設計基準というと1981(昭和56)年以前の建物を言いますが、木造住宅は2000(平成12)年の建築基準法改正により、基礎・接合部・壁配置が強化され、地盤調査も必要になったことで耐震性能が高まっています。

建替えをご検討の場合であっても、現在の建物を活かすという候補案が浮上するかもしれませんね。

「空き家にしておく理由」が想定と違いました 2024年3月1日(金)

空家が増加しています。建物を取壊したら固定資産税が高くなるし、と思いながら見た国土交通省「令和元年空き家所有者実態調査」の結果に驚きました。

「空家にしておく理由」の結果は次のとおりです。

 

複数回答可の質問です。最多の理由は「物置として必要だから」60.3%、次に「解体費用をかけたくないから」46.9%、以下「さら地にしても使い道がないから」36.7%、「好きなときに利用や処分ができなくなるから」33.8%、「古い、狭いなど住宅の質が低いから」33.2%、「将来、自分や親族が使うかもしれないから」33.1%と続き、やっと7番目に「取り壊すと固定資産税が高くなるから」となっています。

 

いずれ使用するので今はとりあえず空家のままにしておく、「固定資産税も高くなるから」を予想しましたが予想に反してました。

空家なった家は傷みが早いと言います。年数が経てば相続などで所有者(共有者)も増え、ますます放置される可能性が高まります。

時間が進むほど、対応策も減っていきます。専門家などにこのまま放置するとどうなるかの相談を早めにされることをおすすめします。

敷地の一部売却は「敷地の二重使用(状態)」に注意  2024年2月29日(木)

自宅などを建築した後に、その敷地の一部をお隣りさんから売ってほしいと依頼がありました。

2世帯住宅を建築したいが敷地が狭く、要件を満たす建物を建てるために敷地を広くしたいとか。

 

敷地の一部を売却し、得た資金で住宅ローンの繰り上げ返済をしたら残債も減らせるし、合理的にみえます。

 

でも、この案を実行に移す前に確認しなければならないことがあります。

それは、売却し残った敷地上の建物が建築違反状態にならないかどうかです。

容積率が80%の地域で延べ面積120㎡の建物であれば必要な敷地面積は150㎡です。

この150㎡のうち50㎡を売ってしまったら残りは100㎡。100㎡×80%=80㎡。

そうなんです。100㎡の敷地に120㎡建っていたら容積率超過で違反建築物となってしまいます。

その後、お隣さんが取得した土地も含めて建築確認申請したら、敷地の二重使用となります。

 

実際には、売る土地を分筆する際に銀行に抵当権抹消の相談をした時点で発覚するはずですが・・。

そのほかにも、敷地の一部譲渡は譲渡税の控除が使える場合とそうでない場合があり注意が必要です。

 

求むチラシ(売却物件募集)が多いのは  2024年2月26日(月)

不動産売買仲介会社の売上は売主さん・買主さんからの仲介手数料です。

仲介手数料は成功報酬です。何十件案内が入っても、成約しなければ売上になりません。

 

昔は不動産会社に行かなければ、売却物件を知る術はありませんでした。

だから、仲介手数料に占める多くの部分が物件紹介料という位置づけもあったのだと思います。

今は誰でも、ネットで素早く新規売出しの不動産情報が手に入ります。

そのため、今は物件を購入するにあたっての情報整理・提供と、購入希望者の望んでいる条件とのマッチング度合いを精査し、住宅ローンの賢い組み方などのコンサルティングも行い、その報酬としての仲介手数料に変化したと感じています。

 

とは言え、物件情報は大事です。好条件の物件情報があれば、買主さんは自然と集まります。その物件を買うために現居を売るという連鎖が起こることもしばしばです。

だから、不動産会社は売却依頼(媒介契約)が欲しいのです。弊社も例外ではありません。「売物件求めてます」のチラシが頻繁なのはそんな理由からです。

 

住宅ローン特約条項で売買契約が失効・解除、仲介手数料はどうなる?  2024年2月25日(日)

買主が、住宅ローンを利用する不動産売買契約に付されるローン(特約)条項。

ローン不成立なら買主は売買代金を支払えません。なのに支払い義務違反で手付金没収などの事態を回避するための条項です。

 

ローン条項には2つのタイプがあります。

①ローン不成立でも、当然には売買契約の効力は失われず、買主の解除権行使によって契約効力が失効する「解除権留保型」。

②ローン不成立なら、当然に売買契約の効力が失われる「解除条件型」。

 

①は契約時に借入を予定していた金融機関では融資不可の場合でも、約定期限までなら別の融資可能な金融機関を探すことができます。

一方②は契約時に指定した期日、金融機関、ローン額での融資が不成立の場合は当然に契約失効します。

実務では①の「解除留保型」の条項を採用するケースが多いです。

 

買主が契約後速やかに金融機関に必要書類出などの義務を履行し、買主の責めに帰すことのできない事情で、ローン条項により契約が失効または解除された場合、媒介業者の媒介報酬(仲介料)請求権も消滅します。契約時に仲介手数料の一部を支払っていたとしても返還されます。

隣地から竹木の越境 切っても良いのは根?枝?  2024年2月24日(土)

あなたの所有地にお隣の竹木の根が入ってきたら、所有者の承諾なく切っても大丈夫です(注意点あり)。

でも、枝の場合は所有者の承諾なく切ってはいけません。この場合はお隣の方に催告して切ってもらうか、承諾を得てから切除することとなります。

 

2023年4月に民法が改正され、お隣から越境してきた枝も、あなたの手で切除することができるようになりました。ただし、この場合は次の条件のどれかにあてはまる必要があります。

①竹木の所有者に催告したが相当の期間(2週間程度)内に枝を切ってくれない場合。

②竹木の所有者が不明、または所有者の居所がわからない場合。

③急迫の事情がある場合。

 

ちなみに切除した枝の処分は切除した人がしなければなりません。また、切除にかかった費用は竹木の所有者に請求することができることとなっています。

ご近所さんとの関係は、お互いの快適な生活環境のためにも良好にしておきたいものです。上記のような知識も不要なトラブル回避に役立ちます。

戸建住宅にも修繕積立金の発想を  2024年2月22日(木)

修繕積立金は、主にマンションの共用部分について行う修繕工事に備えての積立金です。専有部分で各区分所有者が行うリフォーム費用は含まれません。国交省「マンション修繕積立金に関するガイドライン 2021年9月改定」では、20階建未満・延建築面積5,000㎡未満での専有面積(1㎡当たり)平均額は毎月335円です。

専有面積70㎡のマンションだとすると毎月23,450円、年間で281,400円です。

 

戸建住宅の販売現場で不動産会社の営業の方の「戸建は修繕積立金が不要なので毎月の費用負担が抑えられます」というトークを何度か聞いたことあります。

でも、〈不要〉ではないですよね。戸建住宅購入・建築時には購入時費用だけでなく、建物価値を維持する観点から自主的な修繕積立をおすすめします。

10年後に外壁・屋根・一部内装工事が200万円だとすると、毎月16,700円を積み立てれば用意できます。年利3%の複利運用で積み立てれば毎月14,500円ですみます(税金等無考慮)。

ここでもぜひキャッシュフロー表をご活用ください。

 

【相続】少ない限定承認  2024年2月19日(月)

相続が開始したとき、相続人は①単純承認(プラス・マイナスどちらの財産も相続する)②限定承認(プラスの財産を限度として相続する)③相続放棄から選択することができます。

限定承認と相続放棄は3か月の熟慮期間内に家庭裁判所に申述が必要です。何もせず、熟慮期間内を経過すると単純承認したとみなされます。

 

明らかにプラスの相続財産よりマイナスの相続財産が多ければ、相続放棄が選択肢になるでしょう。しかし、3か月の熟慮期間中に被相続人の財産が多種などで、債務超過なのか判断がつかない場合もあります。ならば、限定承認が良さそうな気がしますが、利用する相続人は少ないようです。

 

理由としては、全相続人の共同申請が必要、すべての財産目録を提出、不動産処分があるときは形式的競売にする(任意売却不可)、これらを実行するため弁護士に依頼するようになり費用負担がかかること等があるようです。

 

ちなみにどれくらい少ないかというと、令和2年の相続放棄件数234,732件に対して、限定承認件数は675件です(家事審判・調停件数の事件別新受件数 家庭裁判所HP)。

住宅購入の失敗パターン(資金面)  2024年2月18日(日)

・家賃と比較した住宅ローン返済額で購入する。

・設定予算オーバー物件を根拠なく何とかなると思い購入する。

・ライフプランを考慮せず購入する。

 

住宅購入にはメリットもデメリットもあります。でもそれは、あなたにとってどうかで、誰にでも共通な事ではありません。

だから、持家か賃貸か得なのはどっち?なんていうのは、条件が自分のケースに近いなら参考にするくらいでいいと思います。

大切なのは自分にとって、資金的に、この物件を購入して良いかどうかだと思うんです。

 

例えば、不動産チラシで見かける「今の家賃と比べてください」というのがありますが、これは前提条件がおかしいです。賃貸は家賃+2年毎の更新料・火災保険位ですが、持家は住宅ローン+固定資産税等の保有税+5年毎の火災・地震保険+建物維持のためのリフォーム代と、住居費の項目がそもそも違います。だから家賃と比べるのではなく、住居費での比較が必要です。

 

少しの手間が危機管理につながります。不動産取引に詳しいファイナンシャルプランナーに相談することもご検討ください。

 

【不動産売買】告知書の重要性  2024年2月17日(土)

不動産売買契約時に売主から買主に告知書が交付されます。実務では、物件状況等報告書として使用されています。

 

国土交通省「不動産の売主等による告知書の提出について 」では、告知書へ以下の記載をし紛争防止に役立てることが望ましいとしています。

① 土地関係:境界確定の状況、土壌汚染調査等の状況、土壌汚染等の存否又は可能性の有無、過去の所有者と利用状況、周辺の土地の過去及び現在の利用状況

② 建物関係:新築時の設計図書等、増改築及び修繕の履歴、石綿の使用の有無の調査の存否、耐震診断の有無、住宅性能評価等の状況、建物の傾き、腐食等の存否又は可能性の有無、過去の所有者と利用状況

③ その他 :従前の所有者から引き継いだ資料、新築・増改築等に関わった建設業者、不動産取得時に関わった不動産流通業者等 など

以上、一部分抜粋です。

 

注意する点は、告知書は売主の買主に対する告知義務を果たすための書類だと認識することです。売主の立場ならご自身で記載する、買主の立場なら売主自ら記載したかどうかの確認を怠らないようにしてください。

「高齢者が不安に感じること」の調査結果  2024年2月16日(金)

「高齢者の日常生活に関する意識調査」(令和3年度、内閣府)というものがあります。

その中から『あなたは、将来の自分の日常生活全般について、どのようなことに不安を感じますか』への回答結果をご紹介します。

 

①70.3% 自分や配偶者の健康や病気のこと

②60.3% 自分や配偶者が寝たきりや身体が不自由になり介護が必要な状態になること

③31.9% 生活のための収入のこと

④29.7% 子どもや孫などの将来

⑤22.8% 家業、家屋、土地・田畑や先祖のお墓の管理や相続のこと

⑥20.5% 頼れる人がいなくなり一人きりの暮らしになること

⑦17.4% 社会の仕組み(法律、社会保障・金融制度)が大きく変わってしまうこと

以下略

 

この順位は、前回(平成26年度)調査とほぼ同じですが、⑤の相続のことだけ前回7位から2段階順位が上がっています(前回16.9%)。

不安に感じることには、普段どうしても目を背けて後回しになることが多いかもしれませんが、一度きちんと向き合うことで対策や解決方法が見つけられる近道となることもあります。じっくりと考える時間を作ってみてはいかがでしょう。

 

違いをご存じですか「違反建築物」「既存不適格建築物」 2024年2月15日(木)

戸建住宅の販売図面備考欄に「本物件建物は既定の建ぺい率・容積率を超過しています。建替えの際には同規模の建物は建築できません。」との文言を見たことがあるかもしれません。

この建物は、ほぼ違反建築物か既存不適格建築物のどちらかです。

 

違反建築物とは・・「建築基準法令の規定等に違反した建築物」を言い、建築時の違反だけでなく、検査済証を取得後に法令に反する増改築・用途変更等をした建物も違反建築物です。

 

既存不適格建築物とは・・建築時には適法に建築されたが、その後の法令改正等によって現行法規には適合していない状態の建築物の事を言います。

 

建ぺい率・容積率も、その土地上に用途境がある場合などで変わります。

また、どう計算しても容積率を超過している建物であっても、適法なこともあります。これは、地下室(1/3まで)やビルトイン駐車場(1/5まで)の容積率緩和という規定があるからです。注文・建売にかかわらず、土地を有効に活用して建築されている建物も多くあります。上手に見定めるようにしたいですね。

【土地売買】代金固定型売買と実測売買  2024年2月11日(日)

数十年も前に登記された土地は、登記簿記載面積(公簿面積)と今の実測(実際に測量した)面積とは異なることがほとんどです。ということを不動産業者は知っています。

ところが実際に土地売買をする一般の方は、公簿と実測とが一致するものと思っている場合が多いのです。

 

測量技術の進歩でより正確に測量できるようになったなど、公簿・実測面積が一致しない原因は様々です。

 

売買時の土地面積の決定方法は2つあります。ひとつは新たに実測をした面積を契約面積とするもの。もうひとつは代金固定(公簿売買)型です。

実測売買で契約時に実測未了のときは、「測量した面積が契約上の面積(登記簿面積)と1㎡以上の差異があった場合は㎡当たり○○円にて清算する」といった特約を付けます。

また、確定測量ができない場合は契約を解除するといった条項も良く見るようになりました。

安易に代金固定型売買をすると、実測し面積不足だった場合に売主は契約不適合責任を負うことがあります。契約前にしっかり確認をしたい事項です。

 

【住宅ローン】完済までの平均期間は16.0年⁉  2024年2月10日(土)

住宅ローンの約定貸出期間(借入期間)は平均で27.0年だそうです(住宅金融支援機構「民間住宅ローン貸出動向調査」2020年)。

 

そして、完済までの平均経過年数は、16.0年です!

みんな、そんなに早く返済できてるの?繰り上げ返済のペース早すぎない?と思いますよね。

 

実は、貸出27.0年には借換えの方への融資が含まれています。平均完済年数にも借り換えた方が含まれています。

つまり、平均16年で一括返済しても、残債が無くなったのではなく、金融機関が変わった方もいるということです。

ちなみに、12.9%が新規貸出額のうち借り換えた割合だそうです。

 

住宅ローンの借換え割合は、2016年には25.9%でした。借り換えメリット(借入時金利より低い+まだ完済まで長期)があった時期です。今は当初借入時も低金利なので(商品によりますが)、借換え検討の際は登記料のなどの経費も含めより綿密なシミュレーションが必要です。便利なサイトも多数あります。もちろん弊社でもご相談いただけます。

【相続】そもそも,どんな制度   2024年2月9日(金)

相続は、口にしにくい縁起でもない事、のような時代もあったようです。

今は、ネガティブなイメージよりは良くわからないもの、と捉えられている事のほうが多いと感じてます。

 

「相続」は、民法の第5編(第882条~第1044条)で、人が死亡したときにその人の権利や義務を誰がどの割合で引き継ぐのかなどを定めた制度です。

相続人は被相続人(死亡した人)が有していた預貯金や不動産、債券などの積極財産(プラスの財産)だけでなく、借金などの債務である消極財産(マイナスの財産)も承継する事になります。

被相続人の配偶者は常に相続人になります。配偶者とともに相続人になる人は相続順位で決まります。第1順位は子(実子、養子)、第2順位は父母等、第3順位は兄弟姉妹です。第1順位がいれば第2、第3順位は相続人になりません。第1順位がいない場合は第2順位が、第2順位もいなければ第3順位が相続人になります。

 

相続対策と言われるものは①争族対策②相続税納税資金対策③相続税節税対策です。何のために対策をするのか、もっと言えばその対策は本当に必要なのかも検討してください。

 

 

【相続税】小規模宅地の特例で申告必要な場合  2024年2月8日(木)

ご夫婦+子供2人(独立、各持家)で夫に相続発生しました。この場合の基礎控除額は4,800万円。

一般的に遺された財産が4,800万円までであれば、相続税はかかりません。

 

では、遺産が夫名義の評価額が4,000万円の不動産と預貯金4,000万円、合計8,000万円だったらどうでしょう。

8,000万円-4,800万円=3,200万円が相続税の対象になります。

 

遺産分割で妻であるお母様が自宅不動産、お子さんは預貯金を各2,000万円相続すると、小規模宅地の特例を適用できたら相続税はかかりません。

4,000万円×80%の3,200万円分評価を下げることができるからです(実際は建物評価額が加算されます)。▲20%ではなく▲80%です。

これにより4,000万円-3,200万円+4,000万円(預貯金)=4,800万円で基礎控除内のため無税になる仕組みです。

 

注意点としては、小規模宅地の特例を適用しないと基礎控除におさまらないのですから、そのことがわかるように申告が必要になります。

 

※ご注意下さい。文字数の関係で、考え方重視で詳細計算ではありません。また、実際にはお母様の生活費の問題もあり、違った遺産分割(配偶者居住権の検討含め)になると考えられます。

 

高齢者向けの住まい   2024年2月5日(月)

人生の先輩(ご本人やそのご家族)から「施設に入ることになったら、その時も相談にのってね」と言って頂くことがあります。

不動産会社の人間としてだけでなく、ファイナンシャルプランナー(FP)としても信頼してくださることに感謝しかありません。

 

「介護施設入居に関する実態調査」㈱LIFULL senior(2020年11月)の調査結果を興味深く読みました。

この調査は、家族・親族の中で 1 年以内に介護施設⼊居者がいる、または家族・親族の介護施設の情報収集や選定に関与した⽅を対象に行われたものです。

 

高齢者施設に入居した年齢は、80代が46.4%で最多、90歳以上23.8%、70代21.8%です。

要介護度は、要介護1が17.6%、2が16.3%、3が14.7%です。

認知症の症状の有無は、有りが80.8%だそうです。

入居した介護施設は、介護付き有料老人ホーム39.3%、特別養護老人ホーム16.7%、介護付き老人保健施設8.1%と続きます。

 

要介護度が1や2が上位なんですね。認知症の症状が施設入居へのタイミングのようです。

高齢者施設への入居を検討される際は、施設の費用やサービス内容と合わせて、財産管理や相続の方針も専門家に相談されることをおすすめしています。

立地適正化計画制度 東京でも9市町が取組中  2024年2月4日(日)

都市再生特別措置法に基づく「立地適正化計画制度」への具体的な取り組みが、全国686都市で行われています(令和5年7月31日現在、国土交通省HP)。

これは、①高齢者や子育て世代にとって安心できる健康で快適な生活環境を実現する②財政面及び経済面において持続可能な都市経営を可能とする、という課題解決のため医療・福祉施設、商業施設や住居等がまとまって立地するなど都市構造を見直し『コンパクト・プラス・ネットワーク』という考え方で進めるということだそうです。

 

一読すると、地方都市のお話かと思われるかもしれませんが、実は東京都も9の市町で取組中です。うち八王子市、福生市、狛江市は既に立地適正化計画を作成・公表済みです。

 

立地適正化計画が実行されると、都市計画の見直しがされることもあって、市街化区域が調整区域になり不動産の価格に影響がでることもありそうです。

所有不動産所在地や購入検討地域に対して、行政がどのような方針でいるのかを把握しておく必要がありそうです。

【不動産価格】いろいろあります減価要因  2024年2月3日(土)

毎営業日、販売図面・現地を合わせて数十件の不動産を見続けています。

特定エリアでの物件探しご依頼も多いので、当然そのエリアの相場観が身につきます。ぱっと見で価格の高い、安いがある程度わかるようになります。

でも、時に図面では理由不明な「なぜ、こんなに安いんだろう?」というものも。

 

そんな時はとにかく現地確認です。移動中、安さの原因を考えます。

「告知事項有り」と記載ないので心理的瑕疵はひとまず除外。

地図アプリで見た現地上空に高圧線もないし、がけ地や法地(のりち)を含んでもない。

物件周辺は土壌汚染の指定もないし、嫌悪施設も見当たらない。では、いったい何?もしかしたら掘り出しものなのかな?いやいや何年不動産やってんだ。なんてしていて現地到着。

 

私がこれまで実際に何度か経験した「安さの原因は、これか~。なるほど納得!」は物件のお隣に、いわゆるゴミ屋敷や倒壊しそうな放置空家があるケースでした。

販売図面に写真も出てたけど、そういえば不自然にある方向からの写真がなかった、と後で気付くこともあります。

マイホームを売った時の3,000万円特別控除  2024年2月2日(金)

個人がマイホーム(居住用不動産)を売却した際、譲渡所得がある時は他の所得とは分けて計算する分離課税として課税対象になります。

譲渡所得がある場合とは(詳細な計算式は割愛します)、売った金額-買った時の金額がプラスになった時です。

 

マイホームには様々な税金の軽減措置が準備されています。有名なのは3,000万円の特別控除ですね。

これはマイホームを所有した期間にかかわらず、課税譲渡所得から3,000万円を控除して税金の計算をしてくれるものです。

不動産は所有した期間で課税率が異なるものが多いです。所有5年以下の短期譲渡だと税率は所得税と住民税合わせて39.63%です。でもマイホームにはそんなことしないよ、という制度です。

 

3,000万円控除をしてもなお課税所得が残る場合も、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていれば、6,000万円以下の部分は14.21%(本則は20.315%)の軽減措置が受けられます。

 

注意点としては、3,000万円控除と住宅ローン控除は併用できないことです。この場合はどちらを利用したほうが有利かの試算が必要です。

 

サービスルームってなに?    2024年2月1日(木)

マンションだけでなく、戸建住宅でも見かけるサービスルーム。

「2SLDKって、なんで3LDKじゃないの?」高確率で頂く質問です。

 

では2SLDKの2は何でしょう?答えは「居室」です。

「居室」として建築確認を受ける基準があります。満たさないと居室と表記できません。

サービスルーム(S)とは居室に求められる基準を満たしていないスペースの事です。「納戸」などで建築確認を申請します。

 

サービスルームが満たしていない代表的な居室基準は「採光」基準です。

住宅の場合、その部屋の床面積の1/7以上の「採光上有効な窓」が確保できない場合は居室として建築確認が取得できません。

7帖の部屋なら畳1枚分以上の窓です。ただし「採光上有効な窓」です。これは隣地との距離や、部屋の直上の建物の高さにより変化します。

一戸建てで良く見るサービスルームは、あまり広くない敷地に3階建て・道路側にビルトイン車庫・玄関脇に洗面と浴室・その奥に小さめな部屋という配置が多いです。

この部屋は部屋の広さの1/7の窓がついていても高確率でサービスルームとなります。

【地震保険】ポイントのおさらい   2024年1月29日(月)

地震・噴火やこれらよる津波が原因の火災や建物の損壊等による損害は、火災保険では補償されない事になっています。

地震保険では上記のような場合の火災・損壊・埋没・流失による被害を補償します。

 

・地震保険は政府と連携して被災者を補償する仕組みのため、どの保険会社でも保険料や補償内容は同じです。

・地震保険だけの契約はできません。火災保険に付帯します。後から加入中火災保険に付帯も可能です。

・保険金額は、火災保険の保険金額の50%から30%の間で設定し、上限額は建物5,000万円、家財1,000万円までです。

・地震保険の対象は居住用の建物および生活用動産に限られます。

 

東京都所在建物(ロ構造(木造))の保険金額1,000万円、保険期間1年あたりの保険料率は41,100円です。

耐震等級割引など最大50%の割引があります。

 

不動産購入・建物建築は決めることが多くあります。地震保険は終盤且つ後から付帯可なので、とりあえず火災保険だけという方もいるようです。

結果そうなるにしても仕組みをしっかり理解することを心がけたいですね。

木造住宅建築費1.33倍に  2024年1月28日(日)

2023年10月の木造住宅建築工事費は2015年を基準にすると1.33倍だそうです(一般財団法人建設物価調査会による物価指数調査)。

2015年に坪単価65万円で建築可能だった木造建物が、今建築すると坪単価86.45万円です。30坪の建坪なら差額は約640万円にもなります。

 

地価推移をみてみます。中野区新井2丁目住宅地の2015年地価公示価格は坪当たり約174万円でしたが、2023年には約238万円まで上昇しました。

30坪の土地購入差額は(238-174)×30=1920万円となります(実際は公示価格を上回る場合が多いのでもっとですが・・)。

 

建物差額+土地差額は640万+1920万=2,560万円です。強引ですが2015年時に土地建物7,170万円だったのが2023年時には9,733万円必要な計算です。

これに諸費用が必要ですから1億円の予算では足りないという事になります。

懸念は、建築費に関しては人手不足と資材費の高止まりにより、価格が下がる要素が見当たらないことです。

 

時代が要請する住宅性能など、過去の価格と単純比較できない部分もあります。

短時間で調べられる有益な情報は数多あります。それにより打つ手も複数見つかります。

とは言え、必要な情報は人それぞれです。考えの整理が必要な時はご連絡ください。

【売土地見学】何をどう見ます?  2024年1月27日(土)

建築のコンサルご依頼者さんから「土地を見に行くのでチェックするポイントを教えて」と言われることがあります。

個別的な要素や周辺環境以外で見るべきは、次のようなところを見ておくと良いです。

 

「前面道路の幅員」「接道間口」「道路との高低差」「地形」「方位」「電信柱位置と電線位置」「隣地植栽の状況」「隣家の窓位置」

 

これらは住宅建築の際に間取りプランや追加工事の発生などの予測に役立ちます。目的は土地購入ではなく理想の住宅を建築することです。

道路が狭い、道路から高低差あって重機が入らないなどで運搬費等が追加でかかることもあります。

道路や隣地との高低差がある敷地は現在の擁壁(ようへき)を造り直さなければ建築確認が受けられない場合もあります。

これらは周辺に比べて安価な土地を見たとき、何が原因なのかを探るためにも必要です。

 

建築時に懸念される土地の状況をご理解し、建設会社や建築家の方に伝えることで、あなたの真剣さに応えてくれる解決策が提案されることもきっとあります。

ハザードマップ図示なければ安心?   2024年1月26日(金)

お住まいの地域のハザードマップ(水害関連)内容をご存じでしょうか。

ハザードマップは令和2(2020)年8月28日から不動産取引時の重要事項説明の対象項目になっています。

具体的には、水防法の規定に基づき作成された水害ハザードマップにおける対象物件の所在地についての説明が、宅建業者に義務付けられています。

 

不動産をご紹介する時にはハザード情報もお伝えするようにしていますが、ご自身でも内水と洪水に関しての情報、特に浸水歴の有無は重要ですのでチェック必須です。

対象地に浸水歴がある場合でも何らか対策済の場合もあります。一方で、ハザードマップでは対象地に図示されていないから安全というわけでもありません。

 

購入された土地に住むのはあなたご自身です。気になった場合には不動産会社からの情報だけでなく、ご自身でも区役所などで確認することが大事です。

水害以外に「土砂災害」「震度被害」「火山」などのハザードマップが作成されている場合もありますので、地域の特徴を理解するうえでも関心を持つようにしたいですね。

 

相続不動産登記の義務化  2024年1月25日(木)

所有者が不明な土地の面積は九州よりも広いそうです。

原因は相続時の所有権変更登記が任意だったことにあります。

結果的に放置される土地が増えて周辺環境や治安悪化を招き、土地利用の妨げになったりしています。

所有者不明土地をなくすため令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化されます。

 

・相続で不動産を取得した相続人は、相続の開始があったことと所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

・遺産分割が成立した場合、不動産を取得した相続人は遺産分割成立の日から3年以内に相続登記をしなければなりません。

・申請義務期間に正当な理由なく申請しない場合は10万円以下の過料の適用対象となります。

・令和6年4月1日以前の相続開始についても、3年の猶予期間はありますが義務化の対象です。

 

不動産を相続したら、まだ3年あるからと考えずに早めに登記申請しましょう。

所有者不明土地を増やさないことは巡り巡って、自分の土地価値を維持する事にもつながるものですから。
 

住宅取得資金贈与は住宅ローン控除に影響も  2024年1月22日(月)

令和6年度税制改正で住宅取得資金に係る贈与税の非課税措置の適用が3年間延長されることになりました。

非課税限度額は「良質な住宅」要件(新築住宅の省エネ性能要件をZEH水準にする)を満たせば1,000万円です。
 

この「住宅所得資金の贈与」と「住宅ローン控除」の両方を受ける場合には、住宅ローン控除の上限に注意が必要です。

 

例えば、要件を満たした良質な住宅を2024年中に取得、住宅価格4,000万円、借入金の年末残高3,500万円、贈与受けた資金1,000万円の場合。

「住宅取得価格」-「非課税制度を受けた贈与額」(4,000万-1,000万)=3,000万円がローン控除上限となります。

3,500万円×0.7%(ローン控除率)=24.5万円ではなく、3,000万円×0.7%=21万円(ローン控除額)となります。

 

住宅購入時には種々の制度が用意されていますが、それぞれが複雑に影響していることが多々あります。「知らなかった!」で後悔しないようにしたいですね。

土地購入時の諸費用計上で気をつけたいこと  2024年1月21日(日)

土地購入時の資金は土地代金+諸費用です。住宅建築時も建物本体工事+付帯工事+外構工事費のほかに諸費用が必要です。

土地建物の依頼を同一ならトータル資金計画書ですが、土地は不動産会社を通して、建物はハウスメーカーなどでと別々の場合は諸費用項目に抜けがないか確認しましょう。

 

例えば、住宅ローンの費用です。不動産会社はハウスメーカーで見てるだろう、ハウスメーカーは不動産会社で、ってなると保証料や抵当権設定費用、事務手数料、印紙代などが抜けてしまってることも。また土地部分のみや建物部分のみの費用計上になっていないかもチェックを。ローン仮審査時に発覚するとは思いますが・・。不明点は面倒がらずにとにかく質問することがとっても大切です。

 

不動産会社もハウスメーカーもあなたを困らせようとしているわけではなく、ただ単に担当者さんが良く知らないだけのケースも多いです。

でも実はそんなときほど後でトラブルになったりします。悪気がない嘘や勘違いは割とありますが、こちらも疑ってないので見抜くのは結構大変だからです。

土地+注文建築 見切り発車は失敗のもと   2024年1月20日(土)

土地購入と建物の両方に住宅ローンを利用する資金計画は細心の注意が必要です。

注文住宅は仕様決め完了前に土地購入の決断をしなければならない事も。

他の土地探しの方も購入を検討している土地の場合は早いもの勝ちになりがちです。

 

建築費の高騰もあり、建築中に資材などが値上がりしてしまうこともあります。

条件に合う土地はなかなか見つからないので、建築の話に進めない焦りも手伝って想定土地代金を越えていても建物で調整するからと考え購入に踏み切る方も。

資金計画の内訳は「自己資金+住宅ローン」がほとんどです。土地購入後に建物の細部を詰めていったら思いのほか見積金額が増えてしまったという事は良くありますが、この場合は自己資金割合などにもよりますが、住宅ローン増額ができないこともあります。

 

せっかく楽しみにしていたのに、予算の都合により妥協した建物になってしまうのは悲しいことです。

土地探しと建物部分も含めたトータルの資金計画は不動産・建物の双方の知識と経験がある会社・担当者にご依頼すること強くお勧めします。

 

【相続】令和6年1月変更点に注意 空き家の3,000万円特例   2024年1月19日(金)

相続や遺贈で取得した被相続人居住用家屋等の売却。要件に合えば譲渡所得の金額から3,000万円まで控除することができます。

該当する建物と敷地の相続人が建物を取り壊して売却した場合の要件(一部)と変更点をご紹介します。

 

①取り壊す建物が昭和56年5月31日までに建築されたこと。

②区分所有建物登記がされている建物でないこと。

③被相続人以外に居住していた人がいなかったこと(相続開始の直前において)。

 

上記の要件にあてはまれば譲渡所得から相続人一人当たり最高3,000万円まで控除できる可能性があります。

令和6年1月1日以降は相続人が3人以上のときは、一人当たり最高2,000万円までに変更になっています。

また、建物取り壊してから売却の条件でしたが、こちらは建物とその敷地の取得者が取り壊しても適用になります。

 

この特例は要件が複雑で間違いやすいです。

詳細は国税庁ホームページで「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」などをご覧いただくとともに、検討にあたっては関係書類をご準備の上、税理士さんにご相談ください。

レインズデータで見る売買不動産在庫 2024年1月18日(木)

東京都全域(島嶼部除く)2023年1年間の取引データから在庫(販売中物件数)状況です。

(2024年1月12日レインズ市況データより抜粋)

 

【在庫件数】

土地      2022年12月1,750物件→2023年12月2,696物件(1.54倍)

中古戸建    同3,603件→同4,713物件(1.30倍)

新築戸建    同9,246件→同11,371物件(1.23倍)

中古マンション 同24,789物件→25,793物件(1.04倍)

 

東京23区+多摩地区においてレインズ公開中の物件数推移です。中古マンションは横ばい。売りに出されれば売れている状態です。

土地と中古戸建の在庫は、2022年末頃から増えてきたなあという印象でしたが、データでもそのとおりの結果でした。

上記は東京都全域データです。もちろんもう少し絞り込んでみると、在庫が少ないエリア(すぐ売れるエリア)も存在しています。

エリア限定で土地や戸建住宅をお探しであれば、ご依頼中の不動産会社さんにお聞きし現状把握と見通しの見解を確認しておくことも大切です。

住宅の定義      2024年1月15日(月)

「住宅に必要なもの」をご存じでしょうか。

 

実は建築基準法には住宅の定義がありません。一般的には総務省統計局の住宅・土地統計調査での用語の定義を準用しているようです。

 

平成25年住宅・土地統計調査での用語の解説〈住宅〉には次のように書かれています(一部抜粋です)。

 

一戸建の住宅やアパートのように完全に区画された建物の一部で、一つの世帯が独立して家庭生活を営むことができるように建築又は改造されたものをいい、次の四つの設備要件を満たしていることをいう。

(1)一つ以上の居住室 (2)専用の炊事用流し(台所) (3)専用のトイレ (4)専用の出入口(玄関)

 

いかがでしょう。何か足りない気が・・。そうなんです。浴室は住宅の絶対条件ではないんですね(フラット35は要件ですのでご注意ください)。

この調査は、昭和23年以来5年ごとに実施されていて、令和5年住宅・土地統計調査で16回目になるようです。

ちなみにシェアハウスは専用のトイレなどがないので、寄宿舎になります。

 

【生産緑地】どうなったの?2022年問題  2024年1月14日(日)

生産緑地とは、1992年(平成4年)の改正生産緑地法による土地制度です。

農業継続・地積500㎡以上等を条件に固・都税の税務優遇があります。

当時、指定要件外農地は宅地並み課税で保有コストが上がるため、アパート等への転換が増えました。

 

当初期限30年後の2022年に元生産緑地の土地が大量に市場に出回り、土地が供給過剰になり不動産価格下落を招くのでは?と不動産業界内でも話題でした。

 

結果的に10年間延長(特定生産緑地)が可能になり、国土交通省の資料によると、東京都で10年延長指定をされなかったのは6%(143ha)です。94%(2,233ha)の生産緑地が指定を受けました。

 

「隣の畑、生産緑地って書いてあるけど、ずっとこのままですか?」不動産ご案内時に頂く質問です。

「陽当り良いからこのままが嬉しい」「砂埃気になるからちょっと・・」ネガ・ポジ捉え方も様々です。

もちろん第三者所有地ですから断定的な物言いはダメですが、以前は2022年以降には農地でなくなるかもしれませんとはお伝えしていました。

今後は・・背景をご説明し「いつまで、このままかわかりません」と申し上げます。

【相続】物納申請、2000件に1件へ激減   2024年1月13日(土)

国税庁ホームページの「物納制度のあらまし」より一部抜粋です。

〈国税は、金銭で納付することが原則ですが、相続税に限っては、納付すべき相続税額を納期限まで又は納付すべき日に延納によっても金銭で納付することが困難な理由がある場合には、 申請により、その納付を困難とする金額を限度として、一定の相続財産で納付すること(物納) が認められています。 

 

この物納(ぶつのう)により相続税を納めようとする件数が減っています。

2003年にされた物納申請件数は4,775件で相続税課税件数44,438件の10.75%です。約11人に1人が物納申請していました。

2013年には物納申請件数167件、課税件数54,421件の0.31%。

2022年には物納申請件数63件、課税件数134,275件で0.05%まで減りました。約2100人に1人です。

 

背景には、2006年度から物納制度が見直され、「物納申請を一応しておく」人の減少があるようです。

また、地価の回復で売却して金銭で納税を選択するケースも増加したとも考えられます。相続税納付のためのご売却の相談も増えました。

物納という相続税の納税方法も過去のものになりつつあるのかもしれません。

 

 

戸建賃貸(新築)の在庫が増えているようです  2024年1月12日(金)

戸建賃貸。一戸建てを1~複数棟建て賃貸事業を行うことです。

立地などでアパ・マンには適さない場合等に検討され、土地活用の一手段として認知されています。

 

数年前にコンサルとして数現場に関わらせて頂き、その時からの習慣でレインズの戸建賃貸(新築)・東京都在庫数を毎日チェックしています。

 

2024年1月のある日の戸建賃貸在庫数は516件です。月額賃料は12万円~80万円超まで。この在庫(募集中)数は2年前に比べおよそ倍増です。

レインズで成約検索すると過去1年以内(新築と表記できる期限)に成約(入居者が決まった)件数は70件です。

成約登録がされないケースもあるので実質成約件数を3倍の210件としても、300件超の物件が1年以内に入居者が決まらない可能性があります。

 

テレワークが増えた際、仕事部屋としてもう1部屋あったらニーズがあるからと、強気な家賃設定も見られました。

そうしなければ建築費高騰の折り、利回りが魅力的でなかったのかもしれません。

年初から3月頃が賃貸の繁忙期です。この時期に入居者が決まってほしいと願う大家さんも多くいらっしゃるのではと思います。

 

「住宅購入」は保険見直しの好機です  2024年1月11日(木)

住宅ローン利用時に団体信用生命保険(団信)に加入した場合は、加入中の死亡保険を見直すタイミングです。

 

団信とは、住宅ローン利用者が死亡または高度障害の状態になった場合に保険が適用され、住宅ローンの残高を支払う必要がなくなるものです。家族はそのまま住宅に住み続けることができます。

 

団信の保険料は特約部分以外は金利に含まれていることがほとんどです。万一の場合は保険会社から金融機関にローン残債額が保険金として支払われます。保険金が加入者やご家族に支払われるものではありません。

 

その時点で加入している死亡保険が必要額である場合、団信加入後は保障を減額させて問題ない場合が多いです。住宅購入後の必要保証額をしっかり計算し、必要以上の保障は見直すことをおすすめしています。

 

必要保証額の計算はざっくりですが、お子さんが独立するまでの生活費・それ以降の配偶者の生活費・教育費などと、遺族の収入・公的遺族年金・勤務先からの死亡退職金・預貯金の差額です。

 

年代別 住宅購入動機の調査  2024年1月7日(日)

「なぜ、あなたは家を買いたいと思っているのですか?」住宅取得予定者の購入動機調査です。

(住宅金融支援機構「住宅ローン利用予定者調査」2023年4月調査より)

 

この調査の選択項目は「結婚、出産を機に家を持ちたい」「子供や家族のため、家を持ちたい」「老後の安心のため、家を持ちたい」「もっと質の良い住宅に住みたい」「もっと広い家に住みたい」など「その他」を含め19肢です。

 

「結婚~」「子供や家族~」は20歳代・30歳代で多く、「老後の~」は40,50,60歳代が購入動機として多くあげています。

20,30歳代は住宅を初めて購入のための選択、年代が上がるほど家族構成の変化や介護のためという理由が増えるのかもしれません。

 

この調査は「住宅購入を考えている人」への調査ですし、「子供や家族のため~」という選択肢は「それは当然!」という気もします。

「住宅購入は考えていない人」が増加しているとの調査結果もあるようです。

どちらにも一長一短ありますので、ご自身の状況により方向性を見出していかれることが大切ですね。

 

 

令和6年度税制改正の大綱 住宅ローン控除は?   2024年1月6日(土)

昨年末に政府・与党がまとめた「令和6年度税制改正大綱」。住宅ローン控除関連は下記のようになります。

 

住宅ローン控除対象の借入限度額を引き下げる予定でしたが、次の条件にあてはまる場合は据え置きになりました。

「18歳以下の子がいる」「夫婦どちらかが39歳以下」の世帯。

これにより借入限度額は最大5,000万円(長期優良、低炭素住宅)になります。対象期間は1年間で、その後も限度額が維持されるかどうかは令和6年末に決定される予定です。

 

建築資材価格・人件費高騰の影響により、建築・住宅価格は上昇しています。子育て世帯の住宅取得意欲の減退が各種アンケートにも表れており、その対策のためのようです。

 

上記条件にあてはまらない世帯は、令和4年度大綱どおり限度額が最大4,500万円に引き下げられます。

 

住宅取得については多くの税優遇があります。だからと言って、当然ですがどんな住宅を購入しても大丈夫という事ではありません。

「今年こそ家を!」という方は、総合的視点で判断をするために、建築・不動産・FPなど各分野の話をぜひ聞いてみてください。

 

 

おさらい 2023年4月施行5つの民法(土地関連)改正  2023年12月25日(月)

今年(2023年)4月に施行の改正点です。

 

『相続土地の国庫帰属制度』相続土地は、売りにくい・現居から遠いなどがあると放置されがちで、所有者不明土地増の要因とされています。相続・遺贈の土地を手放し、国庫に帰属させる制度です。

 

『財産管理制度』所有者不明土地は事実上、活用や売却不可でしたが、利害関係者が地裁へ申し立てることで管理人選出が可能になりました。土地取引等の活性化が期待されています。

 

『相隣関係の規定の見直し』隣地所有者不明の場合でも、越境した竹木の枝を切る・境界調査などで隣地使用などができる道が開けました。

 

『遺産分割新ルール』被相続人死亡から10年経過後に行う遺産分割は、原則法定相続持分または遺言で行うというものです。

 

『共有制度の見直し』共有状態の土地は売却などに共有者全員同意を要します。売却も賃貸もできない状態解消のため、地裁に申し立て・決定で共有関係解消も可能になります。

 

2024年も登記の義務化など相続関連の改正があります。基本的に、これまでの問題点を解消するために改正されます。

ご自身にあてはまりそうなものがあれば、深堀りして調べてみてください。

【土地探し】価格よりも先に確認したいこと  2023年12月24日(日)

土地探しのお客様から「販売図面で一番に見るべきはどこ?」と聞かれることがあります。

 

価格・土地面積・駅距離・陽当たり・用途地域・学区域などなど確認項目数あれど、「まずは道路、もしくは備考欄をよく見ましょう」とお伝えしています。

 

「土地探し」の目的は建物を建てることです。気に入っても、建物が建てられないなら買わないですよね。建築可能か否かは道路が鍵の場合が多いのです。

図面に小さく「建築不可」や「再建築不可(古屋付土地の場合)」と書いてあったら要注意です(というかアウトの可能性が高いです)。

 

「ただし建築基準法42条2項2号の許可で建築可」とある場合、可能性の確度とリスク(住宅ローンに与える影響など)を販売担当者から理解できるまで説明してもらってください。良くわからない場合は危険な事と思ってあきらめることも必要です。

 

ただ、悩ましいのは上記のような土地は販売価格が他と比べて安価なことが多いんですよね。

「どうしても買いたい」ってなってしまったときは、いつか売る事になった時に売れるのか?の視点での検討もお忘れないように。

【住宅ローン】低金利だけでなく団信の充実度も重要  2023年12月23日(土)

住宅金融支援機構2023年6月発表の【住宅ローン利用者調査(2023年4月調査)】より。

住宅ローンを選んだ理由(「全期間固定型(フラット35)」以外の利用者)は、1位「金利が低い」70.6%、2位 「住宅・販売事業者の勧め」19.6%、3位「団体信用生命保険の充実」18.8%となっています。

 

2023年12月現在の変動金利住宅ローンは0.1%台からあります。金融機関では低金利に加え団信の充実度も競争要因になっているようです。

 

団信の特約には次のようなものがあります。

・3大疾病保障特約 ・8大疾病保障特約 ・がん保障特約 ・失業保障特約 ・就業不能保証特約 ・介護保障特約 ・自然災害保障特約

 

通常、特約を付保するには住宅ローン金利に0.1%~0.6%程度の上乗せ金利が条件になります。

無料(金利上乗せがない状態)でどこまでの内容なのかを比較することも重要です。

キャンペーン等で通常は金利上乗せ条件の特約が期間限定無料でつくこともありますので、ぜひご自身でも情報チェックしてみてください。

また、現在加入中の生命保険をそのままで良いのか、団信加入の際に見直すのか、その検討もお忘れなく!

 

建売住宅と注文住宅 建物の違い     2023年12月22日(金)

建物のデザインや仕様といった部分についての「建売と注文の建物の違い」です。

 

それぞれの特徴、まず建売住宅は

・3~4人の子育て世帯向けに企画され、3~4LDKのような間取(部屋数)になる。

・コストを抑えるため、見たことあるような外観デザイン・外壁素材・内装・設備になる。

・性能面は住宅ローン控除適用可能になっている。

 

注文住宅

・自由な発想での間取になる。

・デザインも自由で設備も既製品を使用しないことが多いため、高額になる事も多い。

・独創的なことをやりすぎると性能面(耐震性など)が低い基準になることもある。

 

20年程前までは、子育てが終わった建売住宅を注文住宅で建替えたいとのご要望が多かったですが、今はいきなり注文住宅に挑戦される方も増えた印象です。

上記はそれぞれの違いのほんの一部です。土地購入からの方は立地等の検討も必要ですし、住宅ローン含めて資金計画の熟慮も欠かせません。

建売が良いか注文が良いかだけでなく、新居でどんな暮らしをしたいのか、できるのかを一緒に考えてくれるパートナー探しも検討されると良いと思います。

 

【不動産広告】いつまで新築と言っていい?    2023年12月21日(木)

不動産広告表記のルール(不動産公正競争規約)では、広告に新築と表記してよい基準が明確に定められています。

 

新築と言って良いのは、「建築後1年未満であって、居住の⽤に供されたことがないもの」です。

 

つまり一度でも入居された物件は、建築後1年以内であっても「中古戸建住宅」や「中古マンション」との表記になります。

 

「購入して1年以内に売りに出すことなんてあるの?」ごもっともな疑問です。

実際に新築後1年以内の物件を仲介させて頂いたことがあります。当社は購入者さん側の仲介業者という立場でした。その時の売主様の売却理由は「離婚のため」でした。

中古といっても数か月の入居期間のためほぼ新築です。売主さんが速やかに新たな人生のスタートをきりたいとのことで、購入時より価格を下げて販売されてました。

そのため購入者さんには「良い物件を紹介してくれて!」と感謝されましたが、色々と考えさせられるお取引だったことを覚えています。

相続土地の売却 税金は?       2023年12月18日(月)

土地売却時の税金計算は①課税譲渡所得の計算②所得税と住民税の計算で算出できます。

 

①課税譲渡所得は「売却価額-(取得価額+譲渡費用)」です。相続した土地は被相続人(亡くなった人)の取得価額を引き継ぎます。

②所得税・住民税は保有年数で異なります。長期保有のほうが税額的には有利です。こちらも被相続人の取得日を引き継ぎます。

 

例)譲渡年月2023年12月、譲渡価格8,000万円、譲渡費用300万円、取得年月1978年3月、取得費4,000万円

①課税譲渡取得 8,000万-(4,000万+300万)=3,700万円

②所得税=3,700万円×15%=555万円 住民税=3,700万円×5%=185万円 税額=555万+185万=740万円

 

上記の手残り額=譲渡価額-(譲渡費用+税額)=8,000万-(300万+740万)=6,960万円

 

※復興特別所得税は考慮せず、相続人の所得控除なども考慮していません。

 

上記は一般的な計算式であり、特定のものではありません。条件や状況により各価額は大きく変化する可能性があります。税額については税理士さんへご相談ください。

 

 

 

部屋を借りる時、はずせない条件は?  2023年12月17日(日)

「不動産会社をしています」と言うと、人により反応が様々です。

「私は○○駅が最寄りですが、坪いくらで売れますか?」→それだけの情報では何とも・・。

「私は投資マンションは買いません!」→うちは住宅専門ですが、なんか警戒されてる感じ・・。

 

一時期「引っ越そうと思ってます。賃貸もやってますか?」がなぜか多かったです。

最近も知り合いから「部屋選びのアドバイスをしてください」というものが。

 

そこで、部屋(この場合はアパ・マン)を借りる場合の条件を考えてみました(新婚カップルの二人入居、半年後に第一子出産予定)。

①RCのマンション(S造もマンション表記できるので注意!)

②リフォーム済(内装だけでなく、できれば水回りも)

③4階以上(一般的に蚊が少ない)

④分譲タイプ(ゴミ置き場や敷地内がきれい・賃貸マンションより設備仕様が良いこと多い)

 

以上、住宅売買専門のスタッフ目線の条件でした。

なかなか条件厳しいかもですので、賃貸業者さんに言う時は「絶対条件ではないけどできれば~」くらいから話すと良いかもしれません。

平均寿命は0歳児の平均余命 主な年齢の平均余命は   2023年12月16日(土)

日本の平均寿命は男性81.05歳・女性87.09歳です(令和4年)。

では平均余命とは。あなたが女性であれば87歳-現在年齢を自分の余命と思いそうですが、少し違います。

 

厚生労働省が毎年公表の「簡易生命表の概況」(令和4年版)に詳しいですが、実は平均寿命は0歳児の平均余命です。

 

年齢により平均余命は異なり、現在60歳女性の平均余命は28.84年、60歳女性の平均寿命は88.84歳です。

70歳、19.89年で89.89歳。80歳、11.74年で91.74歳です。

男性は60歳で23.59年で83.59歳。70歳、15.56年で85.56歳。80歳、8.89年で88.89歳です。

 

また、寿命中位数というデータがあります。これは同い年生まれの人の半数が生存すると期待される年数です。

令和4年のデータでは、男性83.93年・女性89.96年です。

 

ちなみに健康寿命のことも少しだけ。厚労省「健康寿命の令和元年値について」データです。

令和元年の健康寿命は男性72.68年・女性75.38年。

平成22年の数値より男女ともに健康寿命年が伸びています。

 

人生の先輩方に「とにかく健康が一番。健康なら何でもできるんだから!」と言われてました。50代になり、健康一番の意味を実感しています。

【住宅ローン】利用者調査結果では変動金利が多いけど・・  2023年12月15日(金)

住宅ローン利用者実態調査(2023年4月調査)住宅金融支援機構2023年6月発表をご紹介します。

 

2022 年10 月~2023 年3月の間に住宅ローンの借入れをされた方を対象とした調査を取りまとめたものです。

回答数:1,500 件住宅ローン利用者調査(2023年4月調査)

 

利用した住宅ローンの金利タイプ

・「変動型」:72.3%(2022 年10 月調査69.9%)
・「固定期間選択型」:18.3%(同20.1%)
・「全期間固定型」:9.3%(同10.0%)

 

金利リスク

今後1年間の住宅ローン金利見通しについて、約4割が「現状よりも上昇する」と予想 
<今後1年間の住宅ローン金利見通しについて(全体)>
・「現状よりも上昇する」:38.4%(2022 年10 月調査41.7%)
・「ほとんど変わらない」:49.9%(同46.3%)
・「現状よりも低下する」:2.9%(同3.9%)
・「見当がつかない」:8.7%(同8.1%)

 

金利見通しを現状よりも上昇と38.4%の方が予想しているけど、72.3%が変動金利で住宅ローン借り入れてるんですね。興味深いです。

「住宅ローンを選んだ決めて」のダントツ1位が金利の低さ(70.6%)、2位が営業マンの勧め(19.0%)です。

金利上昇時の対策をされているか少し心配です。せめて仕組みは理解しておきたいですね。

リースバックとリバースモーゲージ   2023年12月14日(木)

最近、耳にすることも増えました「リースバック」と「リバースモーゲージ」。

どちらも「リ」で始まりますが当然、全くの別物です。

 

「リースバック」・・所有している家を売却し、購入者から賃借すること。立場は所有者から賃借人に変わりますが、ご近所からは変化がわからない。所有権ではなくなるので、リフォーム等するにも大家(購入者)の承諾をするなど自由度は下がります。

 

「リバースモーゲージ」・・自宅を担保に資金借り入れを行い、家の建て替えやリフォーム資金にする。借入後は毎月金利分を支払い、借入元金の返済は死後に自宅を売却し行う。住宅ローンからの借り換えもでき、その場合は元金返済分が無くなる(先送りできる)分、返済額が抑えられ生活資金にゆとりが生まれる効果もあります。

 

「リースバック」の注意点・・通常の売却額より低くなることが多く、家賃上昇も有り得ます。

 

「リバースモーゲージ」の注意点・・基本的に売却して借入金を返済なので、お子さんなどに相続できません。ご利用には推定相続人の理解も必要です。

「相続した土地を売りませんか」って、なんで知ってるの?  2023年12月11日(月)

「不動産屋さんから手紙がきます。ときには自宅まで訪ねて来て、相続された不動産を売りませんか?」って聞かれるんだけど、なぜ知っているんですか?

 

ご事情をお聞きすると、相続登記を最近しましたとのこと。その登記情報を不動産屋さんが見たんですね。

登記事項証明書というものに土地の面積や住所(この場合は地番)や地目などに加え、登記上の所有者の氏名・住所も記載されています。さらに相続登記をした日付もあります。

これは誰でも申請できます。

 

不動産会社はとにかく、まだ市場に出ていないけどもう少ししたら販売されるかもしれない「売り出し間近」物件が大好きです。

自社で直接購入するも良し、建売業者さんや個人のお客様に仲介しても良し、だからです。

 

ルールで認められているので、個人情報の漏洩だ!などと言っても仕方ありません。

売るつもりがあればですが、いくらくらいで売れるかなどの情報収集に活用するよう割り切って考えてみても良いかもしれませんね。

「複利は人類最大の発明」byアインシュタイン博士    2023年12月10日(日)

「複利は人類最大の発明。知っている人は複利で稼ぎ、知らない人は利息を払う。」との言葉を残されています。

FPの例などで複利の計算をしたりすると、確かにその力はすごいって思います。

 

当然ですがある程度の金利がつかないと威力発揮できません。

複利で預けた資金が倍になる期間は「72の法則」で簡単に計算できます。

例えば、金利6%だったら72÷6=12年。100万円預けたら12年後に200万円(税引前です)に!

そんな金利ある訳ない?今から30数年前、ある銀行には金利6%超えの定期預金があったようです。

 

でも、残念ながら今の銀行の普通預金金利は0.001%位ですね。なんと倍になるまで72,000年。

少し前に10年定期預金金利を100倍の0.2%にする!という銀行がありましたが、それでも360年。

 

う~ん。せめて働いている期間の約40年で!を逆算すると1.8%。

でもこれは最初に預けた資金を40年間複利運用した時なので、若いときにそんなまとまったお金はなかなかないですよね。

それなら積立投資用の法則で計算するのが良いです。2年前に「積立投資126の法則」が発表されています。ご興味ある方は調べてみてください。

不動産相場はレインズ取引情報で調べましょう 一般の方もOK 2023年12月9日(土)

レインズという不動産会社でなければ見ることできない不動産物件情報サイトがあります。

レインズでは販売中不動産物件以外にも、たくさんの情報を見ることができます。

なかでも成約事例は不動産売却依頼を受けた時の査定の参考にしたり、購入希望の方には実際の取引相場から予算に合うエリアなどの絞り込みに使用できる大変便利な情報です。

 

実はこの成約情報は不動産会社でない方もある程度は見ることができます。

REINS Market Infomation(レインズ マーケット インフォメーション)というサイトです。

「成約価格を基にした不動産取引情報提供サイト」と、うたっています。

売買専用で、マンションと戸建の実際の成約事例(個人情報に配慮し丁目までですが)を誰でも閲覧できます。

詳細はここでは省きますが、検索の仕方次第で土地にも対応できます。

 

相場を知りたいだけで不動産会社に聞くのは気が引ける、という方は試してみてはいかがでしょうか。

良い物件=良い○○   2023年12月8日(金)

良い物件ってなんでしょう?

 

あなたがイメージする「住むための良い物件」は?

陽当良好、南道路で整形地、駅徒歩5分、公立小中学校近く、買物便利で治安も良い。

 

上記を満たしていたら、売主さんはこう考えるでしょう「この物件ならほしい人がたくさんいて高く売れそうだな」と。

それでは、陽当たりは良いけど、駅からはバスで30分ならどうでしょう。これはマイナスポイントだから売値も低そうだと考えるのでは?

 

つまり、良い物件=良い価格。買主希望条件に対し、売値が安いのが良い物件です。

売主さんがマイナス点を過度に減額して、買主さんにはそのマイナス点はたいした事でない場合、買主さんにとっては良い価格になる可能性大です。

テレワークが増えた時、郊外や地方に住宅購入する人が増えました。通勤がないので職場までの手段が条件にならなかった、という例です。

 

「価格のゆがみ」なんて表現することも。購入希望者としては、やみくもに指値(値引き)交渉をするのではなく、マイナス点含め買いたい物件の価格妥当性を吟味して売主さんに話すことが大切です。

3大相続対策 優先すべきは      2023年12月7日(木)

相続対策と聞いて「自分には相続税かかるほどの財産はないから必要ないよ」と思われた方、確かに相続税対策(節税)は不要かもしれません。

相続対策として真っ先に思い浮かべる方が多いのが、相続税対策(節税)です。でも、相続対策って節税だけではないのです。

 

相続税対策が1番とすると、2番は相続税納税資金対策(納税資金準備)、そして3番が争族対策(遺産分割対策)です。

 

なんとなく莫大な遺産を相続すると争族になるイメージがあるかもしれません。

そこで実際はどうなのか裁判所ホームページで「遺産分割事件で扱う財産額(2007年)」を見てみました。

それによると、財産額1,000万円以下が2,044件で全体の29.1%。財産額5,000万円以下が3,083件で全体の44.0%。

合わせて全体の73.1%と実に争族になってしまった約4件のうち3件が財産額5,000万円以下の相続です。

 

このデータを見ると、財産の多寡は争いに関係ないということになります。むしろ相続税がかからない財産額のほうが調停や訴訟になってしまってます。

上記の順番は実は反対で、3番(相続対策)を優先しないといけないのかもしれません。

一物五価?切り口で異なる土地価格    2023年12月4日(月)

「いちぶつしか」(一物四価)や「いちぶつごか」と言います。

不動産の価格のお話です。

 

下記で四価。実際に売買される実勢価格を加えて五価です。

 

公示価格・・地価公示法。土地鑑定委員会が公示。1月1日の標準地(全国に約26,000地点) の「一般の土地取引の指標」などに使用する価格。

基準地価・・国土利用計画法施行令。都道府県が調査。7月1日の基準値(全国に約22,000地点)は上記標準地に重なっている地点もあり公示地価の補完的役割も果たす。

固定資産評価額・・各市町村が決定する固定資産税・都市計画税などの算定基準になる価格。公示価格の70%水準。

路線価・・相続税評価額とも。1月1日時点の相続税、贈与税の課税指標として国税庁により示される。公示価格の80%が目安。

 

不動産購入検討時の物件比較に役立ちます。価格がついている数が圧倒的に多い「路線価」を参考にするのがおすすめです。

国税庁路線価図 https://www.rosenka.nta.go.jp/

不動産業者間では「○○区の○○町のこの物件、販売当初は路線価の○.〇倍だって」なんていう会話も。

これは査定の際の成約事例との比較の参考としても活用できます。

駅まで徒歩6~7分!そんな曖昧あり?不動産広告表示   2023年12月3日(日)

不動産の広告には「○○駅徒歩10分」のように表記されています。

徒歩1分は80メートルです。不動産公正取引協議会のルールでは、0~80メートルまでを1分としています。ですので、徒歩0分という表記は不動産広告では有りません。

 

この表示規約が2022年9月1日に改正されました。

最近「○○駅徒歩6~7分」のような表記を見るようになりました。これは、多棟現場(区画)などで駅に一番近い物件は6分(400m超~480m)で一番遠い物件は480m超~560m)で7分という事です。改正以前は一番近い物件の表記で問題ありませんでした。歩くスピードも人それぞれだよね、ではありませんのでご注意ください。

 

ちなみに、80メートル1分は直線距離でなく、実際に歩く道上をたどった距離です。信号や踏切待ちは考慮しません。また坂道の上り下りの歩くスピードの変化も無視しています。

 

もちろん歩くスピードや距離の遠近の感じ方は、それこそ人それぞれなので物件購入を検討する時はご自身の足で「駅まで」と「駅から」を複数ルート歩いて確認することをおすすめします。

 

人生の3大資金 教育資金・老後資金あとひとつは?   2023年12月2日(土)

あなたがファイナンシャルプランナー(FP)にライフプランニング相談をしたら、この話から始まるかもしれません。

人生で大きなお金を必要とする3大資金、あとひとつは、そうです「住宅資金」です。

 

住宅資金は、教育・老後資金とは違い、生きている限りかかります。

 

もうひとつ、教育資金と老後資金が重なって必要になる方は少ないですが、教育資金と住宅資金は期間が重なることが多いです。

しかも年齢的もまだ若く収入もこれから上がっていくという時期に住宅購入を検討される方も多いです。

 

バブルの時のように「多少気に入らなくても家買っちゃって、どうしても我慢ならない時は売却しよう。必ず買った時より価格上がってるんだから」という時代ではないです。

今はあなたにとっての3大資金は具体的にどれくらいかかるのか?それぞれのバランスをどう考えればよいのか?買いたい家があるけど感覚的に予算オーバーっぽい、などの疑問や不安があったら、ぜひご自身でライフプラン作成にチャレンジしてみてください。無料で作成できるサイトも数多ありますので。

 

【購入】「物件探し」条件に優先順位をつける方法   2023年12月1日(金)

比較的早く物件が見つかる方には共通する特徴があるように思います。

①あれもこれもと条件を広げ過ぎないこと。

②探すエリアの土地価格相場観をつかむのが早いこと。

③条件と相場を合わせる決断ができることです。

 

もちろん、「条件を妥協するなら今は買わない」の判断になることも。

それはそれで次の動きに繋がるので無駄ではありません。

 

「希望条件に優先順位をつける」にはご家族で住宅購入する真の目的を共通した認識としておくことが大切です。

種々の住宅購入者アンケートを見ると「家賃がもったいない」「いつかは家を購入したいと思っていた」「低金利だったから」が上位に並んでいます。

確かにそうでしょうけど、それが本当に1番なの?と思いませんか。

 

住宅購入は、家族の思い出が作られる場であり、お子さんには将来相続する実家ができることでもあります。

ご家族で方向性が定まらない場合、専門家に相談し上手に見出してもらうのも一手です。

不動産会社でも建設会社でも良いので、話の整理能力が長けてそうな担当者がいたら相談してみてください。

相続が争族になってしまう割合 2023年11月30日(木)

相続をきっかけとした不動産売却仲介を依頼されたことが何度もあります。

争族という言い方もすっかり市民権を得てしまった感があります。ふと、争族のデータってあるのかなと思い調べてみました。

 

参考にしたのは、裁判所HP「家庭裁判所における家事事件及び人事訴訟事件の概況及び実情等」です。

それによると令和4年の遺産分割事件数(審判+調停)は16,687件。同年の死亡者数は1,569,050人です。

相続100あれば、そのうち1件ほどは争族となっているということでしょうか。

 

この数字どう感じましたでしょうか。不動産売却のお手伝いをする仕事をしていると者の感覚としては、「いやいや、調停・審判件数はそうかもしれないけど、争い自体はもっと多いのでは?」というのが正直なところです。当初の打ち合わせでは相続人であるご兄弟全員が同席だったのに、時間が経つにつれお互いに顔も見たくないとなり、個別の打ち合わせになってしまった、という事もあります。遺言書など争わないようにする対策はありますが、近しい関係であるがために絶対に譲れないとなってしまうこともあるようです。

 

住宅ローン控除適用には省エネ性能が必須になります   2023年11月27日(月)

①2024年1月以降に建築確認の新築住宅に住宅ローン減税を受けるには省エネ基準に適合する必要があります。
②省エネ性能に応じて住宅ローン控除の借入限度額が異なります。
③住宅ローン減税の申請には省エネ基準以上の「証明書」が必要になります。

〖国土交通省の住宅ローン減税チラシから抜粋〗

 

国は「2050年カーボンニュートラルの実現」を目指しています。そのため住宅部門でも、最終エネルギー消費量の14.0%(2019年度)を占める数値を下げる必要があります。原則、省エネ基準に適合しない新築住宅は2024年以降住宅ローン減税が受けられないこととし、省エネ促進を進めていくという方向性です。

 

省エネ基準も3段階に分かれていて、3,000万円・3,500万円・4,500万円と住宅ローン減税の上限が違いますので注意が必要です。税金(所得税・一部の住民税)からの控除ですので、上限額×0.7%が13年貰えるものではないことも再確認しておきましょう。

 

新築住宅を購入・建築予定の方は、仲介業者さんや工務店さんの担当者に減税上限額と源泉徴収票などを見てもらい実際の控除額を把握しておくと良いでしょう。

子育てエコホーム支援事業                2023年11月24日(金)

国土交通省は「こどもエコ住まい支援事業」の後継事業名称が「子育てエコホーム支援事業」に決定したと令和5(2023)年11月14日に公表しました。

 

この制度は目的を「エネルギー価格などの物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯(18歳未満の子を有する世帯)・若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが39才以下の世帯)による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、 住宅の省エネ改修等に対して支援することにより、子育て世帯・若者夫婦世帯等による省エネ投資の下支えを行い、2050年カーボンニュー トラルの実現を図る」としています。

 

令和5年度の「エコすまい~」は令和5年4月から交付申請の予約開始をしましたが、上限予算に達したため9月28日の申請を最終として締め切られました。

その後継として令和5年度補正予算案2100億円(国会での補正予算成立が前提)としたものが「エコホーム~」です。

内容的には、「エコすまい~」ZEH住宅住宅の新築一戸あたり100万円の補助でしたが、「エコホーム~」は長期優良住宅に100万円、ZEH住宅には80万円の補助となります。

その他の条件については国土交通省HPなどでご確認ください。

 

【売却】専任媒介・一般媒介どちらで依頼?      2023年11月25日(土)

専属は専任の一種と位置付けて考えます。

専任は受任後7営業日以内レインズ登録・二週間に一度以上状況報告義務・自己発見買主と直契約可・依頼は一社です。

一般はレインズ登録義務なし(登録も可)・状況報告任意・自己発見買主と直契約可・複数業者に依頼可です。

 

一般が良さそうに見えます。複数の会社が販売活動してくれるイメージです。

でも仲介手数料は成功報酬です。一般で他社成約だと、費用かけ広告していても仲介手数料は請求できません。

専任は一社限定で依頼するため、成約すれば仲介手数料を売主へ請求できます(売主自己発見客直契約以外)。

 

なので普通は、宅建業者は一般より専任物件の販売を頑張ります。

自社で買主を発見できた場合は手数料は倍、他社との共同仲介でも売主から仲介料もらえます。

 

私見は専任です。レインズで物件周知と価格妥当性等見極めでき、結果的に短期間で売却に繋がります。

ただし、囲い込みをしない(他社との共同仲介になっても売主利益第一で行動できる)会社で、担当者が忙し過ぎず相性が良い事が条件だと思っています。

住宅を建てられない用途地域もあります        2023年11月26日(日)

都市計画法では、都市計画区域内・外があり、内の場合は市街化区域、市街化調整区域または無指定(非線引き区域)に指定されています。

「調整区域では原則として住宅の建築はできない」をご存じの方も多いと思います。

 

また、建築基準法で市街化区域には13種類からなる用途地域が指定されてます。

この用途地域によって建築できる、またはできない建物や用途が細かく指定されています。

1つだけ住宅を建てられない用途地域があります。工業専用地域です。

その他は容積率など様々な制限をクリアすることで建築確認取得することで建築できます。

 

土地探しをされる方は、3階建て建築可能か?など以外に、用途地域を意識することはあまりないかもしれません。

でも、道路の反対側は10階建てのマンションやビルも建築可能な用途地域の場合もあります。

土地を検討する際には、周辺の用途地域とそこにどのような用途の建物が建築可能なのかも不動産会社さんにご確認ください。

土地情報を誰よりも早く手に入れる人がやっていること  2023年11月20日(月)

例えば、あなたは不動産会社の担当です。良い土地が出ました。複数のお客さんのうち一番に連絡するのは誰でしょうか。

①相場的に有りそうな条件で探していて②住宅ローン事前審査が済んでいて③紹介した物件に対しての返事が早いお客さんではないでしょうか。

 

良い売地は足が早いです。だから、早く情報入手し現地を見て、諸条件検討して申込するか見送るかを決めなければなりません。担当者に「このお客さんはやっぱり本気だ!」と思われることが良い物件との出逢いには必要だと思います。

 

①条件が多くても良いので、相場に対してのすり合わせ(優先順位)をきちんと担当者と話し合っておく。

②資金的に「買える人」になっておく(ローン事前審査や仮審査を通しておく)。

③検討した結果その物件は見送るとしても、情報を知らせてくれた担当者には見送る理由と感謝を伝え、また紹介してくれるようお願いしておく。

情報は人が持ってきてくれます。担当者さんも人間です。一番に連絡くれるには?を少し意識してみてくださいね。